ケルパックの効果を語る上で欠かせないのが、その原料となる特殊な海藻「エクロニア・マキシマ」です 。この海藻は南アフリカのケープタウン沿岸、南極からの冷たく栄養豊富なベンゲラ海流が流れる海域にのみ自生しています。エクロニア・マキシマは、海藻類の中でも極めて成長が早いことで知られており、1日に数センチメートル以上も伸びる驚異的な生命力を持っています 。この急速な成長を支えているのが、植物ホルモンの一種である「オーキシン」です。
参考)話題の新たな農業資材「バイオスティミュラント」の効果は本物?…
しかし、原料が優れているだけでは、農業資材としての高い効果は期待できません。ケルパック66の最大の特徴は、その抽出方法にあります。一般的な海藻エキスがアルカリ加水分解や煮沸といった「熱」や「化学薬品」を用いるのに対し、ケルパックは「コールド・セルバースト製法(細胞破裂法)」を採用しています 。
参考)高濃度!海藻エキス「タスケルプ!」(エクロニア・マキシマ)南…
この製法により得られる抽出液は、海藻本来の色である緑がかった茶色をしており、pHは4.6前後の酸性を示します 。これが、ケルパックが他の海藻資材と一線を画し、世界中の農業現場で「結果が出るバイオスティミュラント」として信頼されている根源的な理由です。
ケルパック66のセルバースト製法とエチレンへの作用に関する詳細情報
ケルパック効果のメカニズムを理解する鍵は、植物ホルモンの「バランス」にあります。具体的には、オーキシン(Auxin)とサイトカイニン(Cytokinin)の比率です。ケルパックに含まれる植物ホルモンは、オーキシンが圧倒的に優位(高濃度)な比率で構成されています 。
参考)https://www.kelpak.shop/html/page1.html
一般的な植物生理学において、オーキシンは「発根」や「細胞伸長」を促し、サイトカイニンは「芽の分化」や「老化防止」に関与します。ケルパックを散布すると、以下のサイクルが作物体内で発生します。
つまり、ケルパック自体がサイトカイニンを大量に供給するのではなく、「オーキシンを与えて根を動かし、植物自身の力でサイトカイニンを作らせる」というポンプのような役割を果たしています。この自然なサイクルを利用するため、作物が徒長(ひょろ長く伸びること)することなく、ガッチリとした健全な生育が実現します 。他社の海藻エキスにはサイトカイニンを添加しているものもありますが、ケルパックはこの天然の黄金比率によって、植物の生理機能を無理なく最大限に引き出しています。
ケルパック66の植物への作用機序と増収メカニズムの図解
ケルパックの効果を確実に引き出すためには、適切な「タイミング」と「希釈倍率」が重要です。漫然と散布するのではなく、植物がオーキシンを必要としているステージを狙うことで、費用対効果を劇的に高めることができます。
推奨される希釈倍率
ケルパック66は非常に高濃度のエキスであるため、一般的な液肥よりも薄い倍率で使用します。
効果的な散布タイミング
注意点
アルカリ性の資材(石灰硫黄合剤など)との混用は避けてください。ケルパックは酸性(pH 4.6)であるため、アルカリ性資材と混ぜると成分が凝集したり、効果が減退したりする可能性があります 。一般的な殺虫剤・殺菌剤との混用は問題ありませんが、必ず事前に小規模で確認することをお勧めします。
実際の農業現場において、ケルパックの効果は多岐にわたる作物で実証されています。特に「根張り」の改善は、引き抜いて比較すれば一目瞭然の違いが出ることが多く、生産者のリピート率が高い理由となっています。
これらの事例に共通するのは、「地上部の見かけの成長」だけでなく、「地下部の根量増加」が先行している点です。根が増えることで、土壌中の肥料成分(窒素、リン酸、カリウム、微量要素)の吸収効率(利用率)が高まり、結果として少ない肥料でも高品質な作物が育つという好循環が生まれます 。
ケルパック66の果樹・野菜への具体的な増収効果事例と写真
検索上位の記事ではあまり触れられていませんが、ケルパックには「環境ストレス耐性」を高めるという、もう一つの重要な側面があります。これは、近年の異常気象(猛暑、干ばつ、長雨、低温)に対応するための強力な武器となります。
「プライミング効果」による防御
ケルパックに含まれる生理活性物質(ポリアミンやブラシノステロイド様物質など)は、植物に「適度なシグナル」を与えます。これにより、植物は「これからストレスが来るかもしれない」と予備的な防御態勢(プライミング状態)に入ります 。
具体的には、細胞内の浸透圧調整物質が増加し、干ばつ時の水分保持能力が高まったり、低温時の細胞膜の安定性が向上したりします。霜害が予想される数日前に散布しておくことで、被害を軽減できたという報告も、バイオスティミュラントの先進地であるヨーロッパでは一般的です 。
酸性pHを利用した混用テクニック
ケルパックのpHは約4.6の酸性です。これは、多くの農薬が酸性側で安定する(加水分解しにくい)性質と非常に相性が良いです。特に、展着剤や一部の殺菌剤は、pHが高い水(硬水など)で希釈すると効果が落ちることがありますが、ケルパックをタンクに混ぜることで散布液全体が弱酸性に傾き、薬剤の安定性を高める「バッファー(緩衝)」のような役割を果たすことが期待できます(※すべての農薬に当てはまるわけではありません)。
また、亜リン酸液肥との混用も推奨されています。亜リン酸は根張りを良くする資材ですが、ケルパックのオーキシン効果と組み合わせることで、相乗的に発根と花芽形成をブーストさせることができます 。このように、ケルパックは単なる「活力剤」としてだけでなく、農薬や肥料の効果を底上げする「機能性アジュバント」としての側面も持っています。