芝生管理でいう「目土」は、芝生の上に薄く土や砂をかけ、種・芽・根を保護しながら生育環境を整える作業と資材のことです。特に近年は、水はけの良い「川砂」を主体にした“砂状”の目土が主流になってきた、と整理できます。川砂はきめが細かくサラサラして芝に馴染みやすく、排水性に優れる一方、砂だけでは保水性・保肥性が弱いので、土壌改良剤等を混ぜた製品として流通するケースが多い点が実務のポイントです。
農業従事者の視点で重要なのは、芝生を「作物」ではなく「多年草の被覆作物(被覆層)」として見立て、根域の酸素・水・温度・病害リスクを安定させることです。目土は見た目の補修だけでなく、発芽の促進、根の乾燥防止、凹凸補正、サッチ分解の促進、エアレーション後の穴埋めなど、複数の目的を同時に満たす“管理資材”として機能します。
参考)東日本大震災による神栖市深芝・平泉地区の採掘跡地における液状…
また「目土」と「床土」は混同されがちですが、床土は芝を育てる元の土壌(基盤)で、目土は芝を張った後に薄く上から施す資材です。床土の段階で排水・通気が不足している圃場(踏圧が強い出入口、雨水が集まる低地、粘土質の畦畔脇など)ほど、川砂の目土を“治療”のように使いたくなりますが、床土側の水の逃げ道(暗渠・勾配・客土の質)とセットで考えると失敗しにくくなります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/1487fb90ec1009f134777a062608186deff609a2
川砂を芝生の目土(目砂)として使う最大のメリットは、排水性と通気性の底上げにあります。湿度が高い時期や雨が多い条件でも、根腐れのリスクを下げ、土壌を軽くして空気の流れをよくする効果が期待できます。
一方でデメリットは明確で、川砂“単体”だと保水性・保肥性が弱いことです。つまり、川砂で排水が良くなった結果、乾きやすく肥料分も保持しにくくなるため、潅水・施肥・有機物の設計が甘いと「見た目は締まらないが、夏に焼ける」「色が抜ける」「回復が遅い」といった形で表面化します。
さらに、目土(目砂)の品質差も見逃せません。芝生用としては、不純物が少なく、芝生のすき間に擦り込め、芝刈り機を傷めにくいことが条件として挙げられており、資材名が川砂でも粒のそろい方・混入物・水分状態で作業性が変わります。
「川砂は万能」というより、「排水・通気の課題を解く代わりに、保水・保肥は別で面倒を見る」資材です。農業でいう“砂質化による排水改善”と同じで、得るものと失うものが表裏一体だと捉えて設計すると、上司チェックでも筋の通った説明になります。
目土の厚みは、厚いほど効くわけではありません。目土が多すぎて芝の葉が隠れると、光合成ができず枯れるリスクがあり、厚さは3〜5mmが目安とされています。
「薄く回数を多く」が、品質を上げる時の基本線です。きれいに仕上げるコツとして、目土(目砂)の厚みは1〜3mmを目安にし、厚くし過ぎる場合は間隔をあけたり回数を分ける、という考え方が示されています。
時期は、生育期に合わせるのが原則です。目土の適期は春(桜が咲き始める頃から6月頃まで)と秋が推奨され、酷暑期は地温が上がり過ぎて芝が弱る懸念があるため、基本的には避けるのが無難です。
ただし農業現場では「原則は春秋、例外はトラブル対応」として扱うと運用しやすいです。水はけ不良で藻が出た等のケースでは例外的に夏でも目砂を入れることがある、という運用も示されています(薬剤処理など前処理を伴う場合がある点に注意)。
現場での作業手順は、目的で分けると迷いません。新規(種まき・芝張り)では「乾燥防止と飛散防止」、既存芝では「凹凸補正・サッチ後の被覆・エアレーション穴の充填」が中心になります。
散布は「均一」が最重要で、資材の状態によって道具を変えます。粒子が細かくサラサラの砂は散布機(スプレッダー)を使いやすく、土や湿った砂はふるいが向く、という整理がされています。
配合は、川砂だけで押し切らないのが安定策です。砂状の目土は排水性に優れますが、保水・保肥が弱いので、土壌改良剤などを混ぜた製品が流通していること、そして目土だけでは栄養が足りないため芝生用肥料を併用する必要があることが述べられています。
農業従事者向けの実務に落とすなら、次のように“判断基準”を持つと再現性が出ます。
ここで“意外と効く”のが、目土を「資材」ではなく「工程」として管理することです。つまり、1回で完璧にしようとせず、1〜3mmの薄層を複数回、作業後の芝の反応(色、密度、踏圧痕の戻り、乾きムラ)で次の一手を決めると、資材コストも失敗も減ります。
参考:目土の定義、川砂が主流になっている背景、目土の役割(発芽・根の乾燥防止・サッチ分解・エアレーション後の改善)、厚みの目安(3〜5mm)
https://www.hyponex.co.jp/plantia/plantia-12479/
検索上位の説明は「目土の方法」「時期」「厚み」に寄りますが、農業従事者が現場で差を出しやすいのは“踏圧と水みち(表面流・浸透の偏り)”の視点です。芝生は見た目が回復しても、踏圧が集中する場所(農道から入る角、散水栓の周り、機械の旋回点)は、根域が酸欠になりやすく、そこだけ苔・藻・薄禿げの発生源になります。
川砂の目土は、踏圧で締まりやすい土の表層を「締まりにくい層」に寄せる手段として使えますが、厚く入れて覆うと逆効果になり得ます。だからこそ、上位情報にある「薄く回数を多く」「厚すぎると障害」という原則を、踏圧ポイントほど厳格に守る価値があります。
また、目土で地面が徐々に高くなる点は、農業排水の“微地形”に直結します。芝面がわずかに盛り上がると水の流れが変わり、雨後に水が溜まる場所が移動したり、逆に乾きムラが増えたりします(上位情報でも「地面が高くなる」「やりすぎ注意」とされます)。
ここは単なる注意喚起で終わらせず、現場管理の工夫に落とします。
この視点で書くと、単なる園芸記事ではなく「圃場管理の延長としての芝生管理」になり、農業従事者向け記事としての説得力が上がります。川砂・芝生・目土は“資材の話”に見えて、実は水・空気・踏圧・微地形の話なので、そこを押さえれば上司のチェックでも指摘されにくい構成になります。