バイオ燃料 原料と農業残渣と未利用資源の可能性

バイオ燃料 原料として食品や飼料と競合しない農業残渣・未利用資源をどう選び、現場で持続的に活用していけるのでしょうか?

バイオ燃料 原料と農業現場での選び方

バイオ燃料原料の押さえるべきポイント
🌾
農業副産物を賢く活かす

稲わら・麦わら・剪定枝・廃食用油など、すでに手元にあるバイオマスを優先して原料候補にする視点を整理します。

⚖️
土づくりとのバランス

バイオ燃料 原料に回す量と、堆肥・すき込みに残す量のバランスを、土壌や作付体系ごとに考えるポイントを示します。

🚚
集荷と採算性

運搬コスト・含水率・保管性など、農家サイドの手間と収入を左右する条件を具体的に整理します。

バイオ燃料 原料としてよく使われる作物系バイオマス

 

バイオ燃料 原料としてまず思い浮かぶのは、サトウキビやトウモロコシ、サトウダイコンなどの糖質・デンプン質作物で、ガソリン代替のバイオエタノールに利用されます。これらは発酵の効率がよく技術も確立していますが、食料や飼料との競合が起きやすく、価格高騰や土地利用の偏りが問題視されてきました。
一方、ディーゼル代替となるバイオディーゼル燃料(BDF)は、ナタネ油・大豆油・パーム油などの植物油や、牛脂などの動物性油脂を原料とし、軽油や船舶燃料として利用されています。最近は、エネルギー作物として特別に栽培するよりも、飲食店や家庭から出る廃食用油を集めて使うケースが増え、廃棄物の減量と燃料生産を両立できる点が評価されています。
農業生産者の立場から見ると、これら「第一世代」のバイオ燃料 原料は、主産物そのものをエネルギーにするパターンと、副産物や残渣を使うパターンに分かれます。主産物を燃料に回すと収入機会は増えますが、食料安全保障や地域の飼料需給とのバランスをどう取るかが重要な検討ポイントになります。

バイオ燃料 原料としての稲わら・麦わら・竹などセルロース系資源

稲わらや麦わら、牧草、木材チップ、竹などのリグノセルロース系バイオマスは、「第二世代」のバイオ燃料 原料として世界的に研究・実証が進んでいます。これらは食用部分を収穫した後に残る茎・葉・枝などが中心で、食料との競合が小さいことから、持続可能なエタノール原料として期待されています。
東京大学などの研究では、稲わらや木質バイオマスはセルロースがリグニンやヘミセルロースに覆われた強固な構造を持つため、そのままでは酵素で糖化しにくく、前処理が鍵になることが示されています。加熱圧縮法や蒸煮、アルカリ処理などによってセルロースを露出させ、糖に分解しやすくすることで、エタノール収率の改善が図られています。
日本では、増え続ける放置竹林対策として「竹を原料としたバイオエタノール」が注目されており、竹は成長が早くセルロース含量も高いため、地域の課題解決とエネルギー利用を兼ねた資源として期待されています。ただし、稲わらや竹は飼料・敷料・堆肥原料としても重要であるため、どの程度までバイオ燃料 原料に回すかは、地域の家畜頭数や土づくりの状況を踏まえて調整する必要があります。
稲わらからのバイオエタノール生産システムを評価した日本のライフサイクル評価では、セルロース系原料は糖質作物に比べてエタノール変換効率が必ずしも高くなく、リグニン部分を燃料として活用するなど「エネルギーの総合利用」が重要と指摘されています。また、ソフトセルロース系である稲わらはリグニンが少なく酵素糖化を受けやすい一方で、ヘミセルロースが多く含まれており、この成分を無駄にしない技術開発も課題です。

 

参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/51_p5_kaisetu.pdf

農業現場での実務的な課題としては、圃場から稲わらなどを効率よく集める方法や乾燥・保管のコストが大きく、単に「余っているから原料にする」という発想だけでは採算が合わないケースも少なくありません。収穫作業と同時に細断・ロール化する仕組みや、地域内でのストックヤード整備など、物流を含めたシステム設計がバイオ燃料 原料利用の成否を左右します。

 

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/lca/5/4/5_501/_pdf

バイオ燃料 原料としての廃食用油・動物脂・微細藻類の最新動向

廃食用油は、バイオディーゼル燃料(BDF)や次世代型バイオ燃料(HVO)の代表的な原料で、日本国内でも飲食店や学校給食から使用済み天ぷら油などを回収し、燃料として再資源化する取り組みが広がっています。廃食用油を使うことで、食品や飼料との競合を避けつつ、廃棄コストを削減できるため、自治体・事業者・農家が連携したローカルなエネルギー循環の構築が期待されています。
動物性油脂(牛脂・豚脂・魚油など)もバイオディーゼル 原料として利用されており、とくに食肉センターや食品加工場が集積する地域では、まとめて回収しやすい点が利点です。これらの原料は常温で固まりやすかったり不純物が多かったりするため、ろ過・脱水・脱酸などの前処理工程が重要になりますが、適切に処理すればディーゼルエンジン用燃料や船舶燃料として有効に利用できます。
より先端的なバイオ燃料 原料としては、ミドリムシ(ユーグレナ)やミカヅキモなどの微細藻類があり、光合成で二酸化炭素を吸収しながら油分を蓄える性質を活かして、ジェット燃料やディーゼル代替燃料への応用が進められています。微細藻類を用いた燃料はまだコストが高いものの、耕地を占有せず、塩水や工場排水の利用も可能とされており、将来的に農業由来のバイオ燃料と組み合わせることで、より多様なエネルギーミックスを構成できる可能性があります。

 

参考)バイオ燃料とは・意味

意外なところでは、古紙や木材端材など、本来は燃やされるか埋め立てられていた紙・木質ごみもバイオ燃料 原料となり得ることが指摘されており、日本の研究機関ではリグノセルロース系廃棄物からのエタノール製造技術が進展しています。これらを農村部の小規模エタノールプラントと結び付ければ、林業残材や農業副産物と合わせて、地域全体で「未利用バイオマス」を掘り起こす余地があります。

 

参考)バイオ燃料って何? SAFをはじめとするエネルギー資源の基礎…

バイオ燃料 原料と土地利用・持続可能性認証(パーム油・ILUC問題)

バイオ燃料 原料の議論で避けて通れないのが、パーム油と間接的土地利用変化(ILUC)の問題です。EUは2019年の再生可能エネルギー指令改正で、パーム油由来バイオ燃料の使用を2030年までに段階的に廃止する方針を打ち出し、その理由として熱帯林や泥炭地の転換に伴う高い温室効果ガス排出を挙げています。熱帯のアブラヤシ農園拡大が、直接の造成地だけでなく他地域の土地利用にも連鎖的に影響する「間接的土地利用変化リスクが高い」と評価されたためです。
ただし、パーム油産業側は「全てのアブラヤシが高ILUCリスクという科学的根拠はない」と主張しており、RSPOやISCCなどの持続可能性認証制度を通じて、既存農地や劣化地を活用した低ILUCリスク生産を認める枠組みも整いつつあります。このように、同じバイオ燃料 原料でも、どこで・どのように生産されるかによって環境影響評価が大きく変わるため、単に「バイオだからクリーン」とは言えない時代になっています。
農業従事者にとって重要なのは、自分たちが供給する可能性のある原料が、どのような持続可能性基準や認証スキームに紐づいているかを把握しておくことです。たとえば、ナタネや大豆をエネルギー用途に出荷する場合、温室効果ガス削減量や土壌保全、肥料使用量などが評価対象となることが多く、トレーサビリティや営農履歴の記録が求められるケースがあります。

 

参考)バイオ燃料とは何か?持続可能な新エネルギーのメリット・デメリ…

逆に、稲わらや剪定枝、廃食用油など「本来廃棄されるはずだった資源」は、一般にILUCリスクが低いとみなされやすく、持続可能性の観点からも評価されやすい原料です。こうした低ILUC資源の供給を拡大することは、農業現場の副収入の確保と同時に、バイオ燃料全体の環境性能を底上げすることにつながります。

 

参考)https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/06/seiken_210611.pdf

パーム油とILUCリスクに関する詳細な分析は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの報告書が参考になります:
バイオマスエネルギーが持つ間接的土地利用変化リスクとは(MURC報告書)

バイオ燃料 原料を巡る農家の実務と意外なビジネスチャンス

バイオ燃料 原料供給は、大規模プラント向けの大量・均質な原料だけでなく、「小規模分散型」のニッチな需要と結び付けることで、農家にとって現実的なビジネスになりやすくなります。たとえば、地域のバス会社や農機具メーカー、自治体の公用車がBDFを採用している地域では、近隣農家や飲食店からの廃食用油を集約し、地元企業が精製して燃料販売する「地産地消エネルギー」の事例が増えています。このようなスキームでは、油の回収ルートづくりや品質管理、残渣の処理まで含めたビジネスモデル設計が重要になります。
また、稲わらや麦わらを一部バイオエタノール 原料として出荷し、残りを堆肥や牛の敷料として使う「複線利用」によって、価格変動リスクを分散する考え方もあります。セルロース系原料は一見かさばって扱いづらい資源ですが、乾燥・ペレット化・ロール化など、物流側の工夫によって価値が大きく変わるため、農家が自ら小規模な前処理を担うことで交渉力を高めた例も報告されています。
意外なビジネスチャンスとして注目されているのが、「規格外・非食用作物」のエネルギー利用です。たとえば、形の悪いイモ類や規格外サトウキビ、糖度が足りない果実など、通常は安値で処理されるか廃棄される作物を、バイオガスやエタノール 原料としてまとめて受け入れる仕組みをつくることで、生産者の収入源を増やしつつフードロス削減にもつながります。これはまだ大規模な統計には現れにくい動きですが、地域エネルギー会社や農協が連携して実証している例も出てきています。

さらに、微細藻類や竹など「研究段階の原料」と農業を組み合わせる試みも進んでおり、ハウス排気の二酸化炭素を藻類培養に利用したり、放置竹林の伐採とバイオ燃料 原料供給を一体的に進めるプロジェクトも検討されています。農家にとっては、単に原料を売るだけでなく、「環境価値」や「地域課題解決」とセットにした新たな収益モデルをどう描くかが、今後の大きな鍵になっていくでしょう。

 

参考)バイオ燃料とは? 種類や原料、製造方法を徹底解説

日本型バイオ燃料政策と農業・農村での位置づけについては、農林水産省の資料が体系的に整理しています:
食料と競合しない日本型バイオ燃料生産拡大対策に向けて(農林水産省)
セルロース系バイオマスからのエタノール製造技術の詳細な解説は、東京大学の研究紹介ページが参考になります:
リグノセルロース系バイオマスからのエタノール製造(東京大学生物・環境工学専攻)

 

 


ヒロバ ゼロ ECO FRIENDLY バイオエタノール 発酵アルコール 88パーセント 4L×4個