ソラマメウラナミシジミの被害と防除・対策方法

ソラマメを脅かすウラナミシジミの被害はなぜ防除が難しいのか?発生時期・産卵習性・有効な農薬選定・ネット活用まで、現場で役立つ防除の知識をまとめました。あなたの畑は大丈夫ですか?

ソラマメウラナミシジミの被害と防除・対策方法

農薬を散布しても莢の被害が止まらない場合、散布のタイミングが間違っているかもしれません。boujo+1

ソラマメウラナミシジミの防除ポイント3つ
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花・蕾への産卵が最大の問題

ウラナミシジミは花や蕾に産卵し、ふ化幼虫はすぐ莢に潜り込む。外から見えにくく、農薬が届きにくい点が防除を難しくしています。

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防除適期は「着蕾直後」

幼虫が莢に潜る前、着蕾〜開花期に薬剤を散布することが被害低減の鍵。 幼虫が莢内に入ってからでは手遅れです。

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ネット被覆で農薬頼り脱却

4mm目合い白色防風ネットで被覆すると、無処理区比で莢の被害率を大幅に低減できます。 農薬単独防除より組み合わせが有効です。

ソラマメウラナミシジミの特徴と生態を知る

ウラナミシジミ(Lampides boeticus)はチョウ目シジミチョウ科に属する小型の蝶で、翅の裏面に波紋状の模様が入るのが名前の由来です。 害虫としての顔を持ち、ソラマメ・エンドウ・アズキ・ダイズなど多くのマメ科作物を加害します。


参考)ウラナミシジミ


成虫は4月以降に現れ、房総南部などの無霜地帯で幼虫・蛹のまま越冬します。 西南暖地では年間6〜7回発生するため、秋〜冬の作型でも油断できません。


幼虫は最大で体長15mm程度に成長します。 はがきの短辺(約10cm)の6分の1ほどの大きさですが、莢の中に潜り込んで食害するため、外見からは被害に気づきにくいのが厄介です。pref.wakayama+1
被害は花・蕾・莢(子実)・葉に及びます。 莢に潜り込んだ幼虫は内部から食い荒らし、外見では正常に見えても中身がすでに被害を受けているケースがあります。


これが厄介ですね。


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ソラマメウラナミシジミの発生時期と被害が拡大する条件

発生しやすい時期は4〜11月とされていますが、ソラマメにとって特に注意が必要なのは着蕾〜収穫期にかけての秋から初冬です。earth+1
和歌山県農業試験場の研究によると、成虫の発生量は気象条件と強く連動しています。 具体的には、雨期(7月)の降水量が少なく、9月20日〜10月15日の日照時間が長いほど、10月下旬の被害株率が高くなるという予測式が導かれています。


参考)https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070100/070109/gaiyou/001/d00205145_d/fil/28k1.pdf


被害株率予測式(和歌山県農業試験場)

10月下旬の被害株率 = 14.8 − 0.109X + 0.117Y

X:7月降水量(南紀白浜アメダス)、Y:9〜10月日照時間(川辺アメダス)

つまり、秋晴れが続く年ほど要注意ということですね。 アメダスデータを参考に、発生が多い年を事前に予測できれば、防除計画を前倒しで立てることができます。


また、鹿児島県ではエンドウ類やソラマメでの被害が甚大とされており、防除体系がまだ確立されていない地域も多い現状があります。 地域の病害虫防除所に発生予察情報を確認する習慣をつけることが重要です。jstage.jst+1
参考:農業試験場による発生予測技術の詳細(和歌山県農林水産総合技術センター)
エンドウを加害するウラナミシジミの緊急防除技術開発(PDF)

ソラマメウラナミシジミへの農薬防除と有効薬剤の選び方

防除が難しい最大の理由は産卵場所にあります。 卵は花や蕾の奥に産みつけられ、ふ化した幼虫はすぐに莢へ潜り込みます。 莢内に入ってしまうと農薬が届きにくくなるため、結論は「着蕾直後からの早期散布」が原則です。


ソラマメ(未成熟)に登録のある主な農薬は以下のとおりです。



  • 🔵 アディオン乳剤ピレスロイド系):ふ化幼虫への死虫率が高く、莢への食入阻止率95%以上

  • 🔵 トレボン乳剤(ピレスロイド系):未成熟ソラマメに登録、食入阻止率100%

  • 🟡 マラソン乳剤有機リン系):卵のふ化率を抑える効果あり、食入阻止率100%

  • 🟡 パダンSG水溶剤(ネライストキシン系):食入阻止率100%で最も卵・幼虫に効果的

ただし、使用できる薬剤は5剤程度と少ないため、同一系統の連用は薬剤抵抗性を招くリスクがあります。 系統を変えたローテーション散布が必須です。


これは必須です。


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農薬を使う際は、必ず登録内容・収穫前日数・使用回数を守ってください。 地域の防除暦や病害虫防除所の指導にも必ず従いましょう。


参考:主要病害虫への薬剤情報(一般社団法人 日本植物防疫協会・防除ハンドブック)
ウラナミシジミの被害・発生・防除・薬剤情報(防除ハンドブック)

ソラマメウラナミシジミのネット被覆による物理的防除

「農薬だけで防ごうとすると、どうしても散布回数が増えてしまう」という問題があります。 そこで注目されているのがネット資材を使った物理的防除です。


これは使えそうです。



和歌山県農業試験場の試験では、4mm目合い白色防風ネットでキヌサヤエンドウを挟み込むように被覆した結果、無処理区と比べて莢への被害率を大幅に低減できたことが確認されています。 ネットは植物の両サイドから覆うように設置するのがポイントです。


このネット被覆の最大のメリットは、農薬散布回数を減らせること。 有機農業に取り組む農家や、農薬使用を最小限にしたい生産者にとって特に有効な選択肢です。dandara2.exblog+1
物理的防除と農薬防除を組み合わせることで、単独の方法に頼らない防除体系の構築が可能になります。 ネット資材は農業資材店でも入手しやすく、1シーズンの使いまわしも可能なため、長期的にみるとコスト削減にも貢献します。


参考:農薬に頼らないIPM(総合的病害虫管理)の考え方
農林水産省|病害虫の防除に関する情報

ソラマメウラナミシジミ防除を見落としがちな「地域一斉防除」の重要性

個人の圃場だけで完璧に対策しても、隣の農家が対応していなければ意味がない場合があります。 ウラナミシジミは成虫の飛翔能力が高く、4月以降に北上移動しながら広範囲にわたって分散します。


広い行動範囲を持つ虫ですね。


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特に露地栽培の場合、地域一斉での農薬防除が被害抑制に有効とされています。 一部の圃場だけで防除しても、周辺から成虫が飛び込んでくるリスクが残ります。


参考)https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/218636.pdf


具体的な取り組みとしては、以下のような方法が有効です。pref.fukuoka+1


  • 🌾 JAや農協を通じて地区の農家と情報共有し、発生情報を一元管理する

  • 📡 都道府県の病害虫発生予察情報を定期的に確認する

  • 🤝 隣接農家と連携して同じタイミングで防除を実施する

  • 🌿 有機農業地帯ではカエル・クモ類などの天敵が発生しやすい環境を整備する

天敵を活用したバイオコントロールは、農薬を多用できない有機栽培農家にとって実用的な補完手段です。 鳥類・カエル・クモ類が活躍しやすい畦や草地の管理も、長期的な害虫密度の低減につながります。


発生予察情報は都道府県の病害虫防除所が公開しており、無料で確認できます。


無料です。


農林水産省のページからもリンクをたどることができます。


参考)都道府県病害虫防除所:農林水産省


参考:都道府県の病害虫防除所リスト(農林水産省)
農林水産省|都道府県病害虫防除所