植生指数の種類と農業での正しい使い分け方

植生指数の種類はNDVIだけではありません。NDRE・EVI・GNDVI・SAVIなど目的別の指数を農業従事者向けに徹底解説。あなたの圃場に合った植生指数を選べていますか?

植生指数の種類と農業での使い方・選び方

NDVIだけで追肥量を決めると、生育後期に誤った判断をして10a当たり約9,000円の収益を逃すことがあります。


植生指数の種類:農業での活用ポイント3選
📡
NDVIだけでは圃場の後期管理に限界がある

NDVIはLAI(葉面積指数)が3〜4以上になると飽和し、生育の差が数値に反映されなくなります。 生育後期はNDREなど別の指数が適切です。

🌾
目的に応じた植生指数の使い分けが収益に直結する

水稲の可変施肥を実証した新潟県の事例では、センシングデータを活用した可変施肥で前年比10a当たり47,840円の増益を達成しています。

🚁
ドローンとRGB・マルチスペクトルの選択が精度を左右する

通常のRGBカメラでも算出できるVARIなどの指数がある一方、NDREやEVIは専用のマルチスペクトルカメラが必要です。 機材選びも重要な判断です。


植生指数とは何か:農業での基本的な役割

植生指数とは、植物が光をどのように反射するかという特性を数式化し、作物の生育状況・量・活力を数値として表す指標のことです。衛星やドローンに搭載したセンサーで圃場を撮影し、得られたデータから計算で求めます。


人間の目には見えない近赤外線(NIR)を植物は強く反射します。一方、赤色光(Red)はクロロフィルに吸収されます。この性質の差を活かして、葉の状態を数値化するのが植生指数の基本的な仕組みです。


つまり、「見た目の色ではわからない生育状況を数字で把握できる」ということですね。


農業従事者にとって、これは非常に重要な意味を持ちます。広大な圃場を歩いて目視確認するのは時間と労力がかかります。対して植生指数を使えば、ドローン1フライトで10分/10aという速度でデータを収集し、施肥設計に役立てられます。


植生指数の値は一般に-1.0〜1.0の範囲で表されます。1.0に近いほど植生が活発で健全であることを意味し、ゼロや負の値は植生がほぼない(建物・水域・裸地など)ことを示します。この基本を押さえておくだけで、データの読み方が格段にわかりやすくなります。


地球温暖化観測推進事務局(OCCCO)による植生指数の基本解説(NDVIを中心に地球規模での活用事例を記載)


植生指数の種類一覧:NDVIから始まる主要な指数の概要

現在、農業分野で利用される植生指数は数十種類以上存在します。その中でも特に農業現場で使われる主要なものを以下にまとめます。


植生指数 英語名 主な用途 必要なバンド
NDVI Normalized Difference Vegetation Index 生育量・バイオマス全般 NIR・Red
NDRE Normalized Difference Red Edge Index 窒素含有量・生育後期診断 NIR・RedEdge
EVI Enhanced Vegetation Index 高密度植生・大気補正 NIR・Red・Blue
GNDVI Green NDVI クロロフィル量・葉面積 NIR・Green
SAVI Soil-Adjusted Vegetation Index 植被率が低い圃場・土壌補正 NIR・Red
MSAVI Modified SAVI SAVIの改良版・土壌影響軽減 NIR・Red
VARI Visible Atmospherically Resistant Index RGBカメラでの植生評価 Red・Green・Blue
TGI Triangular Greenness Index クロロフィル含量・葉の緑度 Red・Green・Blue


これだけ種類があると迷いますね。ただ、農業の用途ではまず「何を知りたいか」で絞るのが原則です。生育初期なのか後期なのか、窒素診断なのかバイオマス評価なのかによって適切な指数が変わります。植生指数を目的なく選ぶと精度の低い判断につながるため、用途別の使い分けを次のセクションで詳しく解説します。


農林水産省スマート農業講座:NDVI・GNDVI・EVIの計算式と農業利用の概要(農林水産省)


植生指数の種類の中で最重要:NDVIの特徴と農業での限界

NDVIは植生指数の中で最も広く使われている基本中の基本です。計算式は非常にシンプルで「(近赤外域-赤色域)÷(近赤外域+赤色域)」です。値は-1〜1の範囲で示され、健全な作物では0.6〜0.8程度、0.2以下では植生がほぼないと判断できます。


農業での具体的な活用例として、水稲の幼穂形成期前後にドローンでNDVI値を取得し、圃場内の生育ムラを把握した上で可変追肥を行うことが一般的に行われています。NDVIと収量の相関は高く、特に出穂期のNDVI値と収量には強い正の関係があることが農研機構などの研究で確認されています。


一方で、NDVIには明確な限界が存在します。


それが「飽和問題」です。


葉面積指数(LAI)が3〜4以上になると、NDVIは変化に対して感度が低くなり、実際の生育量の差を反映しにくくなります。LAIが3〜4とは、例えば出穂期の水田や密植した麦畑などがこれに当たります。葉が重なり合い、十分に茂った状態で追肥の必要性を判断しようとNDVIを使っても、圃場内の生育差が数値に出にくいのです。


これは困る場面ですね。


また、土壌の色や反射率がNDVI値に影響することも見落とせません。植被率が低い初期生育段階では、土壌の反射率がNDVI値に含まれてしまい、実際の植生状況を過小評価または過大評価するリスクがあります。このような状況では後述のSAVIやMSAVIが適しています。


宙畑:NDVIの基本解析・限界・応用解析まで実装コード付きで詳解(農業・森林資源監視分野向け)


植生指数の種類で生育後期に使えるNDRE:窒素診断の強い味方

NDREは「正規化レッドエッジ指数」といい、NDVIの弱点を補う重要な植生指数です。計算に使うのはNIR(近赤外域)と「レッドエッジ」と呼ばれる約700〜730nmの波長帯です。


NDVIとNDREの大きな違いは、感度を発揮するタイミングにあります。NDVIは作物の成長初期に高い識別能力を持つのに対し、NDREは生育後期において葉のクロロフィル含有量や窒素含有量の差をより正確に捉えられます。


つまりNDREが適しているのは生育後期です。


農業現場での具体的な活用シーンは、穂肥のタイミングです。水稲の出穂45〜30日前の幼穂形成期、または小麦の茎立期など、追肥の要否を判断する生育後期において、NDVIでは圃場内の差が見えにくくなる段階でもNDREは有効に機能します。葉が繁茂していても、クロロフィル含有量を介して葉内の窒素量を推定できるからです。


NDREを使うにはレッドエッジバンドが搭載されたマルチスペクトルカメラが必要です。代表的な機材として、DJI Phantom 4 MultispectralやMicasenseのRedEdgeシリーズが農業現場で普及しています。


NDREは追肥コスト削減に直結する指数です。窒素過多になりやすい圃場でも、NDREによる精度の高い生育診断を行うことで、施肥量の最適化が図れます。余分な肥料を減らせれば、1袋3,000〜5,000円の窒素肥料の無駄遣いを防ぐことにつながります。


植生指数の種類のひとつEVI:密植・大面積圃場でNDVIの上位互換

EVI(拡張植生指数)は、NDVIが持つ2つの弱点を同時に解決するために開発された植生指数です。計算式に赤色域・近赤外域に加えて青色域(Blue)を使います。これにより、大気中のエアロゾル(微粒子)の影響と土壌背景のノイズを大幅に軽減できます。


EVIが特に力を発揮するのは、植生が密集した圃場です。LAIが高くなってもNDVIほど飽和しにくく、高密度な植生でも作物の状態変化を数値に反映できます。例えば、東京ドーム2個分(約10ha)を超えるような大規模農地で衛星データを使った圃場管理をする場合、NDVIでは見落としやすい生育ムラもEVIで拾えることがあります。


MODISやSentinel-2といった農業モニタリングに使われる衛星のデータ処理では、EVIがNDVIと並んで標準的に使われています。大型農業法人が衛星データサービスを導入する際には、EVIを組み合わせた解析が推奨されることも多いです。


これは使えそうです。ただしEVIには青色域のデータが必要なため、対応機材が限られる点は覚えておく必要があります。小規模農家がドローン1台で始める場合、まずはNDVIで実績を積み、規模拡大とともにEVI対応機材を検討するというステップが現実的です。


植生指数の種類のひとつGNDVI:クロロフィル量の把握と施肥タイミングに

GNDVI(グリーン正規化植生指数)は、NDVIの赤色域を緑色域(Green)に置き換えた植生指数です。計算式は「(NIR-Green)÷(NIR+Green)」で、クロロフィル含有量を推定するのに特に優れています。


NDVIと比較したとき、GNDVIはクロロフィル量が豊富な葉が多いエリアでより高い感度を示します。これは、葉緑素量の評価において有効ということですね。特に、水稲・小麦・大豆などの葉のクロロフィル量を反映した窒素栄養診断に活用されています。


農研機構の研究でも、水稲のLAI推定においてNDVIよりGNDVIの方が優位性を示したケースが報告されています。GNDVIはNDVIと組み合わせることで、バイオマス量とクロロフィル量を同時に評価できる点が強みです。


施肥設計への応用としては、GNDVI値が低いエリアほどクロロフィルが不足しているため、追肥の優先度が高いと判断できます。圃場内でGNDVI値に大きなバラつきがある場合は、10a単位で施肥量を変えるゾーン施肥を検討する価値があります。PIX4Dfieldsなどの農業向け解析ソフトウェアにはGNDVIが標準搭載されており、ドローン撮影データから比較的手軽に算出できます。


植生指数の種類でSAVI・MSAVIが活躍:植被率の低い圃場や果樹園に

SAVI(土壌調整植生指数)とMSAVI(修正SAVI)は、土壌の反射率がデータに影響しやすい場面で威力を発揮する植生指数です。


圃場の植被率が低い条件というのは、具体的には以下のような場面です。


  • 播種後〜生育初期(土壌が多く露出している時期)
  • 果樹園(木と木の間に裸地が見えている状態)
  • 中山間地の段々畑(傾斜があり土壌面積が大きい)
  • 乾燥地帯に近い土質の農地(土壌反射率が高い)


NDVIをそのまま使うと、こういった条件では土壌の色(明るい土は高め、暗い土は低め)が指数値に混入してしまいます。SAVIはこれを補正するための「土壌調整係数(L)」を式に組み込んでいます。一般的にLは0.5が使われますが、植被率の状況によって0.25〜1.0で調整します。


MSAVIはさらに進んで、Lを自動で最適化する仕組みを取り入れています。ユーザーが係数を手動で設定する手間が省けるため、実務での使い勝手が良いです。長ネギや落花生のように比較的植被率が低い状態が長く続く作物の圃場管理に向いています。


果樹農家にとって特に注目すべき植生指数です。モモやリンゴの圃場をドローンで撮影し、SAVIで診断することで、樹冠部分の生育状況を土壌の影響なく評価できます。


植生指数の種類でVARI・TGI:専用カメラが不要で始めやすい

VARI(可視大気抵抗指数)とTGI(三角緑度指数)は、一般的なRGBカメラだけで算出できる植生指数です。マルチスペクトルカメラのような高価な専用機材を必要としません。


これが大きな特徴です。


VARIの計算式は「(Green-Red)÷(Green+Red-Blue)」で、RGBの3チャンネルだけを使います。農業用ドローンに最初からついているカメラや、スマートフォン搭載カメラの映像からも算出できます。大気の影響を可視光域内で補正する仕組みが組み込まれており、曇天や薄霧の日でも比較的安定した値が取れます。


TGIも同様にRGB画像から算出し、葉のクロロフィル含有量と強い相関があることが知られています。中山間地のような複雑な地形でドローン運用コストを抑えたい農家にとって、入門として取り組みやすい選択肢です。


ただし、VARIとTGIには弱点もあります。土壌に対する感度が高く、植生が密集するほど感度が低下する傾向があります。研究データでは、GRVIやVARIはNDVIとの相関は保たれるものの、植生量の多いエリアでは精度が落ちることが報告されています。


VARIやTGIは、スマート農業の入口として最初の一歩を踏み出すのに向いています。まず手持ちのドローンで試して植生指数の見方に慣れてから、本格的なマルチスペクトルカメラへの投資を判断するという使い方が合理的です。


植生指数の種類を農業目的別に使い分ける具体的な方法

植生指数は種類が多いので、目的別の使い分けを整理しておくと実際の営農に役立ちます。


目的 適した植生指数 理由
生育初期のバイオマス確認 NDVI、SAVI 植被率が低い段階でも感度が高い
生育後期の追肥判断(窒素診断) NDRE、GNDVI 高密度植生でも飽和しにくく、クロロフィル・窒素量を反映
大規模圃場・衛星データ活用 EVI 大気補正済みで面積が大きくても安定
果樹園・植被率が低い農地 SAVI、MSAVI 土壌反射の影響を除去できる
RGBカメラだけで手軽に実施 VARI、TGI マルチスペクトル機材が不要
クロロフィル量の精密評価 GNDVI、NDRE 葉内色素量の変化をより敏感に捉える


実際の農業現場では、NDVIだけに頼ることが多いですが、それで十分でない場面も少なくありません。例えば、水稲の穂肥施用を検討する幼穂形成期には、圃場内のNDVI値が0.7〜0.8台にほぼ揃っていて差が見えにくくなっているのに、NDREでは0.4〜0.6台でまだ明確な差がある、ということが実際に起こりえます。


NDREとNDVIの両方を取得できるドローンとして、DJI Phantom 4 Multispectralが農業現場での普及機として知られています。NDVI・NDRE・EVI・GNDVIなどを1フライトで同時取得でき、目的別に指数を切り替えた分析が可能です。


AxelGlobe:NDVIとNDREの農業モニタリングにおける使い分けを具体的に解説(データクックブック)


植生指数の種類とドローン・衛星の組み合わせ:精密農業の実践例

植生指数は「計算式の知識」だけでなく、「どのデータ取得手段と組み合わせるか」でも効果が大きく変わります。


衛星データとドローンデータでは、それぞれ特性が異なります。衛星は広域を定期的に観測でき、1kmメッシュや10mメッシュなどの解像度でNDVI等の時系列変化を取得可能です。日本全国の農地を8日ごとにモニタリングするサービスも存在します。一方、ドローンは1圃場を数cm〜数十cmの高解像度で撮影できるため、株単位・うね単位での細かい生育ムラを発見できます。


実際の成功事例として、新潟県での水稲「新之助」栽培実証があります。センシングドローンで撮影したNDVIデータをもとに、側条施肥田植機で可変基肥を施用し、さらに穂肥をドローンで可変散布した結果、実証区1では10a当たり前年比47,840円の増益を達成しました。導入機材の減価償却費増加はわずか323円/10aにとどまり、費用対効果の高さが確認されています。


これは大きな数字ですね。仮に栽培面積が10haであれば、47,840円×100(10a換算)=約478万円の増益に相当します。植生指数を正しく使うことが農業経営の改善に直結することがわかります。


衛星データを活用したい場合は、JAXAが関与する「Tellus」プラットフォームや、農研機構の「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」などを検討の起点にすることができます。KSASはドローン撮影データを取り込み、圃場ごとの施肥マップ作成まで一気通貫でできるサービスです。


全国農業システム化研究会:センシングデータに基づく可変施肥の水稲収量・品質への効果(新潟県令和5年度実証データ)


植生指数の種類を活かす時系列管理:季節変化を読む視点

植生指数は単発の「スナップショット」として見るだけでなく、時系列で変化を追うことで農業管理の精度が格段に上がります。


これは見落とされがちな重要な視点です。


NDVIを例に取ると、水稲は移植後に値が上昇し、出穂前後にピークを迎えた後、登熟が進むとともに低下します。この変化パターンは年ごとに積み重ねられたデータと比較することで、「今年の生育は例年より2週間遅れている」「例年と比べてNDVIが0.05低く窒素不足の可能性がある」といった診断が可能になります。


NDVIの時系列管理においては、雲の影響が課題になります。雲がかかった状態では衛星が圃場を正確に撮影できず、NDVIが実際より低い値を示してしまいます。快晴の日は全国平均で年間30日程度しかないため、農業モニタリングには雲除去処理が施されたデータを使うことが重要です。農業情報サービス「AgriLook」などでは独自のノイズ除去フィルタを用いた処理済みデータを提供しています。


季節性変化の観察においては、EVI(拡張植生指数)はNDVIよりも季節的な植生変動を敏感に反映できることが研究で示されています。NDVIとEVIを比較しながら時系列データを見ると、NDVIでは見えなかった生育変化がEVIで浮かび上がることがあります。


植生指数の種類を賢く選ぶための3つのチェックポイント

農業従事者が植生指数を選ぶ際には、以下の3つを確認することが重要です。


最初に確認すべきは「生育ステージ」です。生育初期か後期かによって、NDVIが有効な場面かNDREに切り替えるべき場面かが変わります。先述のとおり、生育後期・追肥判断にはNDREやGNDVIが向いています。


次に確認するのは「圃場の植被率」です。植被率が低い(土壌が多く露出している)状態であれば、SAVIやMSAVIを使うことで土壌ノイズの影響を除去できます。裸地に近い状態でNDVIを使うと、土壌の色による誤差が無視できなくなります。


最後は「手持ち機材」の確認です。RGBカメラしかない場合はVARI・TGI・GRVIなどのRGB植生指数を選びます。マルチスペクトルカメラがある場合はNDVI・NDRE・GNDVIなどを活用できます。EVIを使うには青色バンドが必要で、対応したカメラかどうかを仕様書で確認します。


圃場管理に植生指数を取り入れる際の実際の手順としては、①ドローンで圃場を撮影→②解析ソフトで指数を算出→③圃場内の濃淡マップを確認→④生育の弱いエリアに追肥を集中させる可変施肥設計→⑤施肥実施→⑥次回撮影で改善を確認、という流れが一般的です。


PIX4Dfieldsはこの一連のワークフローに対応した農業向けソフトウェアで、NDVI・NDRE・EVI・GNDVI・SAVI・MSAVI・VARIなど多種類の植生指数をワンクリックで算出できます。


導入を検討する際の参考にしてください。


ATOMICA:NDVI以外の主要植生指標の一覧と特徴(SAVIなど土壌補正指数を含む技術解説)


植生指数の種類に関して農業従事者が知っておきたい独自視点:「スペクトル指数の選び誤り」がコスト増につながる理由

植生指数の「選び誤り」がどれほど実際のコストに影響するかを考えてみます。


これはあまり語られることのない視点です。


具体例を挙げます。水稲の出穂直前、圃場全体がほぼ茂った状態でNDVIを計測したとします。圃場内で生育量に多少の差があるにもかかわらず、NDVIが飽和して値がほぼ横並びになっていたとしたら、担当者は「均一に育っている」と誤解するかもしれません。その結果、追肥が不要と判断し、実際は肥料が足りなかったエリアが収量不足になることがあります。


新潟県の実証データでは、適切な可変施肥技術を使わなかった前年は収量445kg/10aでしたが、センシングデータを活用した可変施肥で翌年には前年比143%(収入で前年比約+47,840円/10a)に改善されています。単純計算で、10haの農地ならば差額は約478万円です。指数の選び誤りによる「機会損失」は非常に大きいのです。


逆に、適切な指数を選べばコスト削減も見込めます。窒素肥料を過剰に施用してしまうと、1袋(20kg)4,000〜5,000円の窒素化成肥料が無駄になるだけでなく、過剰窒素による倒伏リスクや品質低下につながることもあります。水稲で玄米タンパク質含有率が基準値(例:新之助では6.3%以下)を超えると、ブランド米としての出荷ができなくなる可能性もあります。


農業コンサルタントや農業普及指導員と連携しながら、自分の圃場の条件(規模・作付け品種・生育ステージ・機材)に合った植生指数を選ぶことが、最も費用対効果の高いスマート農業への入口になります。


農研機構:地上NDVIと上空NDVIの比較から見えた収量との相関性の違い(2023年発表研究成果)