再生可能エネルギー 水素 農業 グリーン水素活用最前線

再生可能エネルギーと水素を農業でどう活かし、燃料・電気・熱の地産地消と収益アップを両立するには、どんな具体策と意外なチャンスがあるのでしょうか?

再生可能エネルギー 水素 農業 の可能性

再生可能エネルギー 水素 農業の全体像
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再生可能エネルギーと水素の基本像

太陽光・風力・バイオマスなどの再生可能エネルギーから作られた「グリーン水素」を、農業分野でどう活用できるかを整理します。

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水素トラクタなど農業機械の脱炭素

水素燃料電池トラクタなど、農業機械の水素化によってCO2排出を抑えつつ作業性を維持する最新動向を解説します。

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グリーン水素によるハウス加温と地域水素タウン

再生可能エネルギー由来の水素を使ったハウス加温や、水素タウン構想の中で農業施設が果たす役割を具体的に紹介します。

再生可能エネルギー 水素 農業の基礎とメリット


再生可能エネルギーから生まれる水素は「グリーン水素」と呼ばれ、製造段階から使用時までCO2をほとんど出さないのが特徴です。
グリーン水素は、太陽光や風力が余ったときに電気を水素として貯め、必要なときに発電や熱として取り出せるため、発電量が天候で変動しやすい再生可能エネルギーの弱点を補う「エネルギーのバッテリー」として期待されています。
農業の現場では、燃油ボイラーや軽油を使うトラクタなどが温室効果ガス排出の大きな要因になっていますが、再生可能エネルギーと水素を組み合わせることで、これらをクリーンなエネルギーに置き換える余地があります。


また、電気料金や燃料価格の高騰に悩む農業経営にとって、地域で作った再生可能エネルギーと水素を地産地消できれば、長期的なエネルギーコストの安定化という経営面のメリットも期待できます。


意外なポイントとして、グリーン水素の導入は単なる「環境対策」にとどまらず、「カーボンフリー農産物」としてブランド化や輸出時の評価向上につながる可能性があります。


参考)https://www.env.go.jp/seisaku/list/ondanka_saisei/lowcarbon-h2-sc/events/PDF/230711_3_4.pdf

海外の小麦や乳製品では、エネルギー起源のCO2排出量がラベル表示される動きも出ており、日本の農産物でも「再生可能エネルギー 水素 農業」で育てたことを武器に、環境配慮型のプレミアム商品として差別化するシナリオが描けます。


再生可能エネルギー 水素 農業機械と水素トラクタの動向

農業機械脱炭素では、電動トラクタだけでなく、水素燃料電池を使った大型トラクタの開発が進んでいます。
クボタは水素燃料電池を搭載したオートノマス(自動運転)トラクタを開発しており、CO2を一切排出せずに高出力・長時間稼働を両立できる点を、次世代農業の有力な解として位置づけています。
バッテリー式トラクタは充電時間や稼働時間がネックになりがちですが、水素燃料電池トラクタは水素を充填すれば短時間で再稼働できるため、繁忙期の連続作業に向きます。


参考)北海道らしい水素社会の実現に向けて - 経済部経済部GX推進…

北海道などの広大な畑作地帯では、圃場近くに小型の水素ステーションを設置し、農機・建機・軽トラックをまとめて水素化する構想も検討されており、「水素農機クラスター」をつくることでインフラ投資を分散するアイデアが出ています。

一方で、水素ステーションの整備コストや水素価格の変動、整備士の育成など、農家単独では対応しきれない課題も残っています。


参考)https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/60417.pdf

このため、自治体やJA、機械メーカーが連携した広域プロジェクトとして進められるケースが多く、個々の農家としては「水素対応の農機が出てきたときにすぐに乗り換えられるよう、今の機械更新サイクルや導入計画を長期視点で見直しておく」ことが、現時点での現実的な備えといえます。


再生可能エネルギー 水素 農業ハウス加温と「水素いちご」

山梨県では、再生可能エネルギーを使ってつくるグリーン水素を農業用ハウスの加温に利用する実証が進められており、水素を燃料にしてハウスを温める「水素加温機」が日本で初めて導入されました。
この取り組みでは、太陽光発電などから作った水素を使うことで、冬場のハウス暖房によるCO2排出を実質ゼロに近づけると同時に、「カーボンフリー果実」としての付加価値向上も狙っています。
愛媛県西条市では、水素吸蔵合金と工場排熱・地下水冷水を組み合わせて、イチゴハウス用の冷水をつくり出す「水素いちご」の技術が開発されました。


参考)水素エネルギーが創る未来のまちづくり:8つの革新的活用法と最…

この方式では、水素のエネルギーを使って冷水を作り、夏場でもイチゴに冷涼な環境を提供できるため、従来は難しかった周年生産や高品質イチゴの安定出荷が可能になり、結果として収益性の高いビジネスモデルにつながっています。

ビニールハウスでの水素利用は、加温だけでなく「冷房」と組み合わせた二刀流も重要になってきます。


参考)【農業を始める方向け】ビニールハウスで日射を制御する方法とは…

猛暑の影響で夏の品質悪化に悩む産地では、再生可能エネルギー由来の水素を利用した冷房システムを導入することで、「暑さに弱い作物をあえて水素ハウスで攻める」という、従来と逆転した栽培戦略を取ることも視野に入ります。


再生可能エネルギー 水素 農業地域水素タウンとエネルギー自給

岐阜県八百津町では、農業と林業が盛んな地域を「水素タウン」のモデルとして位置づけ、木質バイオマスや太陽光で作った電力からCO2フリーの水素を製造し、町内の住宅や公共施設、農業施設に電力と熱を供給する構想が進められました。
ここでは、再生可能エネルギーを地産地消しつつ、余剰電力を水素に変えて貯蔵し、燃料電池を通じて夜間や悪天候時にも安定供給する仕組みで、最終的には地域の電力と熱を100%自給自足する体制を目指しています。
北海道鹿追町では、家畜ふん尿から発生するバイオガスを原料に水素を製造し、FCV(燃料電池自動車)やフォークリフト、建物用燃料電池に供給する国内唯一のプロジェクトが実施されています。


参考)「牛のふん尿」からクリーンな「水素エネルギー」を作る しかお…

家畜ふん尿をそのまま放置すればメタンガスによる温室効果ガス排出源になりますが、水素として回収し地域のエネルギーとして利用することで、「畜産の環境負荷」を「クリーンエネルギー」に変えるサーキュラーなモデルとなっています。


こうした地域水素タウンの取り組みは、個々の農家にとって「電気・熱・動力をまとめて地域インフラから買う」という新しい選択肢を生み出します。


参考)人口1万1000人の町を水素タウンに、エネルギーを100%自…

例えば、果樹園観光農園では、再生可能エネルギーと水素を組み合わせた農業テーマパーク構想が検討されており、エネルギー自給と観光・教育を一体化した「見せる農業施設」として付加価値を高めるケースも出てきています。


再生可能エネルギー 水素 農業独自視点:水素で変わる「ブランドづくり」と経営戦略

これからの農業経営では、「どんなエネルギーで作ったか」がブランド価値を左右する要素として重みを増していきます。
再生可能エネルギーと水素を組み合わせて栽培した農産物は、「カーボンフリー」や「気候配慮型」というストーリーを添えやすく、温暖化への関心が高い都市部の消費者や海外市場に向けた差別化ツールとして機能します。
独自の視点として重要なのは、「水素インフラの整備が遅れているから無理だ」と考えるのではなく、「地域で進んでいる水素・再エネプロジェクトにどう農家側から乗りにいくか」です。

たとえば、自治体や電力会社、メーカーが進める水素タウン構想に対して、「農業用ハウスや貯蔵庫、選果場を水素モデル施設として提供する」「水素由来のエネルギーを使った農産物ラインを一緒に企画する」といった提案を早い段階で持ち込むことで、補助金や実証事業の対象になりやすくなります。


参考)「水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築事業」及び…

さらに、「エネルギー自給率 日本 推移」が低い現状では、農業経営者自身がエネルギーのリスクを理解し、燃料・電気・肥料コストの変動に強い体制を整えることが不可欠です。


再生可能エネルギー 水素 農業の導入を、単なる設備投資ではなく「10〜20年の視野で経費の天井を抑える保険」として捉え、自分の経営規模に合った段階的な導入ロードマップ(小規模な自家消費太陽光→地域水素プロジェクトへの参加→農機の水素化検討…など)を描けるかどうかが、これからの差になるでしょう。


農山漁村における再生可能エネルギー取組事例(小水力・太陽光・バイオマスの具体例がまとまっており、地域での再エネ導入イメージ作りに役立つ資料です。


農山漁村における再生可能エネルギーの取組事例|農林水産省
家畜ふん尿由来の水素プロジェクトや農業地域での水素サプライチェーン実証の概要(畜産と水素活用の具体的イメージを掴むのに有用です)。


北海道鹿追町における水素関連プロジェクトの取組み
山梨県におけるグリーン水素と農業用ハウス加温の取り組み紹介(果樹産地での水素活用や、カーボンフリー果実のブランド化のヒントになります)。


サンシャインレッドから発進!カーボンフリーの最新技術で、山梨のフルーツ産地が進化する




再生可能エネルギーの地政学