レタス根腐病レース3対策と耐病性品種による防除法

レタス根腐病レース3は非結球レタスで深刻な被害を引き起こす土壌病害です。本記事では発生条件や症状の見分け方、耐病性品種の選び方、土壌改良など総合的な防除対策を解説します。あなたの圃場は大丈夫ですか?

レタス根腐病レース3の発生と対策

レース3耐病性品種でも油断すると被害が拡大します。


この記事の3つのポイント
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レース3は非結球レタスに多発

サラダナやリーフレタスで被害が深刻化し、高温期の発生が多い土壌病害です

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複合耐病性品種の活用

レース1・2・3すべてに耐病性を持つ品種が開発され、幅広い作型で栽培可能になりました

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土壌pH矯正と総合防除

転炉スラグによるpH調整と耐病性品種の併用で被害を効果的に軽減できます


レタス根腐病レース3の特徴と発生状況



レタス根腐病は土壌伝染性の糸状菌フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum f. sp. lactucae)によって引き起こされる重要病害です。病原菌には病原性の異なるレース1、レース2、レース3の3つのレースが存在し、それぞれ異なる品種抵抗性反応を示します。


レース3は特に非結球レタスのサラダナやリーフレタスで深刻な被害を引き起こすのが特徴です。福岡県や静岡県のサラダナ産地で初めて確認され、その後長野県でも発生が報告されました。結球レタスでは主にレース1とレース2による被害が中心ですが、非結球レタスではレース3も混在発生する可能性があります。


病原菌の生育適温は28〜30℃と高温性で、発病適温は27〜28℃です。


つまり高温期が原則です。


このため夏季の定植時期や晩春まき〜夏まき作型で被害が大きくなる傾向があります。特に2010〜2012年のような夏季高温年には被害が甚大になることが報告されています。


本病は土壌伝染のほかに種子伝染もする難防除病害です。いったん圃場に侵入すると、病原菌は厚膜胞子を形成して土壌中で長期間生存します。連作により菌密度が高まると、被害が年々増加していくリスクがあります。


レタス根腐病レース3の症状と診断方法

本病の症状は全生育期間を通じて発病し、病勢の進展は速いのが特徴です。初期症状として葉がツヤを失い、下葉から軽い萎凋症状が現れます。その後、葉は黄色から茶褐色に枯れ上がり、生育は極端に遅延して萎縮症状を呈します。


根部の症状を確認するには、鋭利なカッターで根を縦割りにして断面を観察します。根腐病の場合、根の導管部が地際部から先端にかけて淡褐色〜黒褐色に変色しているので判断できます。症状が進むと中心部が空洞化することもあります。


結球レタスでは軽度の症状でも結球しないため、商品性が著しく低下します。非結球レタスでも生育不良により収量が大幅に減少し、枯死に至るケースも少なくありません。


レース判別には専門的な検定が必要です。判別品種として「晩抽レッドファイヤー」「コスタリカ4号」「パトリオット」を用いた検定法や、ビオチン要求性を利用した培地検定法、PCR法による遺伝子診断などがあります。現地で根腐病の発生が確認された場合、まず発生レースを特定することが重要です。


農業試験場や病害虫防除所に診断を依頼することで、圃場に発生しているレースを正確に把握できます。
青森県の資料ではレース判別の具体的な方法が紹介されています。レースが分かれば、それに対応した耐病性品種を選択できるようになります。


レタス根腐病レース3対応の耐病性品種選択

近年、レース1・2・3のすべてに複合耐病性を持つ画期的な品種が開発されています。タキイ種苗からは「グリーンサンバ」「グリーンブーケ」といったグリーンリーフレタスが発売され、べと病と根腐病レース1・2・3に複合耐病性を示します。


これらの品種は斑点細菌病にも比較的強く、高温期を中心とした幅広い作型で安心して栽培できるのが大きなメリットです。晩抽性にも優れているため、抽苔のリスクも低減できます。草姿は立性で葉折れが少なく、形状が安定するため収穫作業も効率的です。


ただし耐病性品種といっても完全に発病しないわけではありません。菌密度が極めて高い圃場や、高温などの発病好適条件が重なると、耐病性品種でも一定の発病が見られることがあります。したがって耐病性品種の利用は、総合的な防除体系の一つの柱として位置づけるべきです。


品種選択の際には、栽培する時期とレースの発生状況を考慮してください。結球レタスでレース1やレース2の被害が目立つ地域では、それぞれのレースに対応した耐病性品種が多数開発されています。非結球レタスでレース3の発生が確認されている場合は、レース3にも対応した複合耐病性品種を選ぶことが被害軽減の第一歩です。


サカタのタネからもレタス根腐病レース1・2と黒根病、べと病に耐病性のある品種が発売されており、生産者は品種特性を比較しながら自分の産地に適したものを選択できます。種苗会社のカタログや技術情報を定期的にチェックして、最新の耐病性品種情報を入手しましょう。


レタス根腐病レース3の土壌管理と防除対策

土壌pH矯正は根腐病の被害軽減に極めて有効な手段です。転炉スラグ(商品名:てんろ石灰など)を用いて土壌pHを7.5程度に矯正することで、レタスの生育に悪影響なく根腐病の被害を軽減できることが実証されています。


転炉スラグは副産石灰肥料として肥料登録されており、従来の石灰資材と比べて緩衝能が高いため、pHが安定しやすい特性があります。施用量は土壌の種類や現在のpH、緩衝能によって異なるため、事前に緩衝能曲線を作成して適正量を決定することが推奨されます。


一般的に黒ボク土でpH6以下の圃場では、10a当たり5t程度の施用が目安となります。これは従来の常識から大きく逸脱した量ですが、ライムソワーなどの散布機械を使えば効率的に施用できます。ただし、転炉スラグの市販価格は粉状品20kg袋で1袋あたり約700円前後、1t(50袋)では約35,000円となり、初期投資としてはコストがかかります。


しかしpH矯正の効果は数年間持続し、土壌くん蒸剤を毎年使用するコストと比較すれば、長期的には経済的というメリットがあります。実際、青森県の現地試験では転炉スラグによるpH矯正と耐病性品種の併用で、慣行栽培に比べて発病度が大幅に低下したことが報告されています。


高温期の定植回避も効果的な耕種的防除法です。発病適温が27〜28℃であることから、地温が上昇する時期の定植を避けることで発病リスクを下げられます。どうしても高温期に定植する必要がある場合は、白色マルチや白黒ダブルマルチ、シルバーマルチなど地温上昇を抑制する資材を活用してください。


輪作も重要な対策です。レタス以外の作物との輪作により、土壌中の病原菌密度を低下させることができます。


結論はレタス連作の回避です。


最低でも2〜3年は間隔を空けることが望ましいとされています。群馬県ではコンニャク農家との交換耕作による輪作体系が検討されており、これも一つのアイデアとして参考になります。


土壌くん蒸剤による防除も選択肢の一つです。クロールピクリン剤、ダゾメット剤、キルパーなどの土壌くん蒸剤は根腐病菌の密度を低下させる効果があります。ただし環境負荷や作業安全性、コスト面から、できるだけ化学的防除に頼らない総合的な防除体系を構築することが求められています。


レタス根腐病レース3の圃場衛生と予防管理

発病株の適正処分は二次感染を防ぐために極めて重要です。発病株や被害残渣を圃場内に放置すると、そこで形成された厚膜胞子が翌年以降の伝染源になります。発病株は早期に抜き取り、圃場外へ持ち出してビニール袋に密封し、太陽熱で高温殺菌するか、レタスを作付けする可能性がない場所の土中深くに埋めて適正に処分してください。


育苗管理も感染防止の重要なポイントです。本病は種子伝染もするため、育苗土には無菌培養土を使用することが基本です。また育苗施設やトレイの消毒を徹底し、前作の残渣などから菌が混入しないよう注意しましょう。


雨水による汚染土壌の流出を防ぐため、圃場にはできるだけ明渠を設けます。


これは大切です。


発病圃場から健全圃場へ土壌が流入すると、そこから新たな発生が始まる可能性があるためです。特に傾斜地では排水路の整備が重要になります。


圃場の履歴管理も予防には欠かせません。過去にどのレースが発生したか、どの品種を栽培したか、どのような防除対策を実施したかを記録しておくことで、次作の品種選択や防除計画を適切に立てることができます。


微生物資材や有機物資材の施用も、多発生条件下である程度の発病抑制効果が報告されています。ただしこれらは単独では十分な防除効果が得られないため、耐病性品種やpH矯正などの主要対策と組み合わせて活用することが前提です。


圃場診断による予防的管理も注目されています。前作での発病株率や土壌中の菌密度を調査し、その結果に基づいて次作での防除対策の強度を決定する「健康診断に基づく土壌病害管理」の考え方です。
ヘソディムマニュアルでは、こうした診断法や総合的な管理手法が詳しく解説されています。


定期的な土壌診断で圃場の状態を把握し、発病リスクが高まる前に予防的な対策を講じることが、長期的に安定したレタス生産を実現する鍵となります。


予防管理が基本方針です。




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