梅雨明け後に農薬を散布しても、すでに幼虫が葉の内側に潜り込んでいると薬剤がほとんど届かず、1シーズンで10世代分の被害が圃場全体に広がることがあります。
ネギコガの幼虫は体長7〜8mm(成長した終齢幼虫)で、淡緑色に褐色の縞模様が入り、胴部に細かい毛が疎らに生えた紡錘形の体をしています。 体の大きさのイメージとしては、爪楊枝の先端約1cmほどと考えるとわかりやすいです。
参考)https://www.pref.aichi.jp/site/byogaichu/negi-negikoga.html
ネギハモグリバエの被害痕とよく似た白い筋状の食害痕を葉に残しますが、ネギコガは葉に小さな穴があく点が決定的な違いです。 老熟した幼虫が葉を突き破って出てくるときにできる「脱出口」の穴がある場合はネギコガ、穴がない場合はネギハモグリバエの可能性が高いと判断できます。
参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/ane/bug/negikoga/
葉を縦に裂いて内部を確認するのが最も確実な見分け方です。 ネギコガの幼虫は胴部に黒い小さな点模様があるのに対し、ネギハモグリバエの幼虫は体長約4mmで白色に近く点模様がありません。 被害が進むと葉全体が白化・枯死するため、早期に虫種を特定することが損害を最小限にするために不可欠です。takii+1
見分けがつかない場合は、スマートフォンの病害虫診断アプリを活用する方法もあります。葉を撮影するだけで自動診断してくれるサービスが農業系アプリで利用可能です。
ネギコガは1世代を30〜40日で経過し、年間10世代前後発生すると考えられています。 九州地域での研究では有効積算温度の計算から年4〜5世代と推測されており、地域によって発生回数に差がある点も把握しておくべきです。nogyo.tosa.pref.kochi+1
発生が多いのは6月頃〜10月頃で、梅雨明けの高温・乾燥条件で個体数が急増します。 夏の猛暑日が続く時期は一気に複数世代が重なることもあり、気づいたときには圃場全体に広がっているケースが珍しくありません。
重なり合うということですね。
ネギ属植物だけを食害するという宿主特異性があり、休眠期間が存在しない害虫です。 これは年間を通じて発生リスクが続くことを意味します。越冬は成虫・幼虫・蛹のいずれかの態で行われ、春先に活動を再開します。なお、ニラ栽培では花や種子まで加害し、種子生産量を低下させる被害も確認されています。pref+1
| 時期 | 状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 4〜5月(梅雨前) | 越冬世代が活動再開 | 予防散布の最重要タイミング |
| 6〜7月(梅雨中) | 発生数が増加し始める | 葉の白い筋を目視確認 |
| 7〜9月(梅雨明け後) | 高温乾燥で急増 | 複数世代が同時発生しやすい |
| 10月以降 | 発生が落ち着く | 翌年のための圃場整備・除草 |
成虫は葉の表面に点々と産卵し、孵化した幼虫はすぐに葉肉に潜入します。 最初は小さな白い点状の食害痕として始まり、幼虫が成長するにつれてやや蛇行した線状の白斑、さらに不規則な透明斑へと変化します。 この段階で気づかないと、葉全体が白化・枯死します。nogyo.tosa.pref.kochi+1
幼虫は5齢まで発育し、終齢幼虫になると葉に円い穴を開けて表に出てきます。 そして葉の表面に荒い網目状の繭を作り、その中で蛹化します。繭の見た目がコナガに似ているため、コナガと混同されることもありますが、食害形態が異なるため農薬の選択に影響します。
葉の内部に潜っている間は農薬が物理的に届きにくく、外部からの散布では高い防除効果が得にくいという厄介な特性があります。 葉の外側を食べるタイプの害虫とは根本的に防除アプローチが異なります。つまり、孵化直後・葉に潜り込む前を狙うのが原則です。なお、ネギコガの幼虫がいる葉を煮ると異臭がするという報告もあります。 加工・出荷前の品質管理にも影響が出る可能性があります。fmc-japan+1
参考:愛知県農業総合試験場のネギコガ形態・生態データ(卵の大きさ0.7mm、幼虫終齢体長7〜8mm等の詳細情報)
愛知県 病害虫図鑑 ネギコガ
防除の最大のポイントは、孵化した幼虫が葉の内部に食い込む前に薬剤に接触させることです。 そのため、浸透性の高い液剤の使用が推奨されます。ネギ類は葉の表面が滑らかで薬液が付着しにくいため、展着剤を必ず併用しましょう。 展着剤1つ追加するだけで防除効果が大きく変わります。
有効な農薬にはプレバソンフロアブル5、グレーシア乳剤、ディアナSCなどがあります。 特にグレーシア乳剤は日産化学が開発したメタジアミド系の新規農薬で、既存の殺虫剤に抵抗性を持った害虫にも効果が期待できます。 また、ネオニコチノイド系のスタークル・モスピランも浸透性が高く幅広く使われています。takii+1
近年は特定の農薬に抵抗性を持った個体群も確認されています。 同じ系統の農薬を繰り返し使うと効果が薄れるため、IRACコードを確認してタイプの異なる殺虫剤をローテーション散布することが重要です。
農薬ローテーションが条件です。
農薬の系統ごとの分類は農家web農薬検索データベースで確認できます。
参考:ネギコガの農薬適用と防除ポイントの詳細
農家web|ネギコガを駆除・防除する農薬について
参考:にんにくにおけるネギコガ第2世代幼虫の防除時期設定法(農林水産省研究成果情報)
農林水産省 農業研究者情報|にんにくにおけるネギコガの第2世代幼虫防除時期の設定法
多くの農業従事者が農薬防除に集中しがちですが、圃場周囲の雑草管理が発生密度を大きく左右する点は見落とされがちです。 圃場の周りに雑草があるとネギコガの発生源・隠れ場所となり、防除効果が出にくくなります。
除草が基本です。
防虫ネット(目合い0.8mm以下の細かいもの)によるトンネル栽培は、農薬を使わずに物理的に産卵自体を防げる方法です。 家庭菜園規模では寒冷紗も代替として有効で、農薬コストの削減に直結します。薬剤費を年間でまとめると数万円単位の差が出ることもあります。
また、他の害虫(アザミウマ類・ネギハモグリバエなど)と同時に防除が行われているほ場では、ネギコガも少発生に留まることが多いという観察報告があります。 つまりIPM(総合的病害虫管理)の視点で複合的に防除体系を組むことが、個々の農薬回数を減らしながら高い効果を維持するために有効です。農薬のローテーションと物理防除・耕種的防除の三本柱で体系化することを検討してみてください。
参考)ネギコガ
参考:農業害虫防除ハンドブックによるネギコガの防除詳細情報
農業害虫や病害の防除・農薬情報|ネギコガ
以上のリサーチ情報をもとに記事を生成します。