クムラスは「水和硫黄剤」として登録され、有効成分は硫黄 79.2%です。
農薬登録情報では用途が「殺菌剤」とされ、物理的化学的性状は「褐色水和性微粒及び細粒」と記載されています。
一方で製品資料では「硫黄を有効成分とし、ハダニ類、サビダニ、うどんこ病やさび病等に効果を示す殺虫殺菌剤」とされ、病害とダニ類を同一資材で見られるのが現場的な強みです。
硫黄系(分類コードUN/M2)である点は、ローテーションを考えるときの“ラベル情報”として重要です。
参考)農薬デザインのイノベーション
いわゆる単一標的の薬剤と違い、硫黄は古くから使われる系統で、うどんこ病の予防寄りで組みやすい一方、効き方の体感が天候に左右されやすいので、散布条件(温度・濃度・タイミング)の管理が結果を分けます。
薬液調製がしやすい顆粒状製剤である点は、粉立ちストレスや計量ミスを減らす意味で地味に効きます。
また、危険物として「第二類 硫黄」の記載があるため、保管は火気・直射日光を避けて密封、乾燥・低温寄りで管理するのが基本になります。
まず結論として、クムラスは「病害(うどんこ病、さび病等)」と「ダニ類(ハダニ類、サビダニ等)」で適用が分かれ、作物ごとに希釈倍数・散布量が違います。
農林水産省の適用表では、果樹類のハダニ類は300~400倍、散布量は200~700L/10aと示されています。
同じ果樹でも「なし」のニセナシサビダニは300倍、「りんご」のうどんこ病は350~450倍など、対象病害虫で数字が変わるので、品目名だけで決め打ちしないのがポイントです。
野菜類では、うどんこ病が500~1000倍(100~300L/10a)、ハダニ類が400倍(100~300L/10a)と整理されています。
いちごのうどんこ病も500~1000倍(100~300L/10a)で、施設栽培のうどんこ病対策に組み込みやすいレンジです。
麦類では、さび病・うどんこ病・赤かび病に300~500倍(60~150L/10a)とされ、穀類では散布量のレンジが果樹より小さめに設計されています。
芝のさび病は300~500倍、使用液量は1L/㎡、使用時期は「発病初期」と明記されており、“出てから止める”意識が必要です。
ぶどうはブドウハモグリダニで300倍ですが、使用時期が「休眠期」指定なので、緑枝期に同じ感覚で撒くのは避けるべきです。
適用表(公的情報)はここが一次情報になります。
農林水産省の登録内容(適用表・成分)が確認できるリンク(倍率・散布量の根拠)
https://pesticide.maff.go.jp/agricultural-chemicals/details/21873
クムラスの注意書きとして「夏期高温時(28℃以上)の散布はさけてください」と明確に書かれています。
さらに「気温が高くなるに従って薬害を生じやすくなるので、高温ほど散布液の濃度を所定の範囲内でうすくして使用」とあり、同じ作物でも“暑い日ほど薄め側で”という運用が求められます。
ここは実務的に、散布計画の段階で“気温の上がり切る前(早朝)に散布枠を寄せる”だけで事故率が下がります。
特に硫黄剤は盛夏に薬害が出やすい旨が一般にも指摘されており、夏場は濃度を下げる等の工夫が必要とされています。
参考)https://www.jppa.or.jp/archive/pdf/13_04.pdf
また、クムラスは「うり類(きゅうり、まくわうり等)など硫黄剤に弱い作物への使用はさけてください」と明記されており、作物側の感受性による事故が起きます。
この“硫黄に弱い作物”の記載は、散布担当が交代したときに抜けやすいので、圃場マップや散布指示書に赤字で固定しておくと再発防止になります。
安全面では、眼刺激性・皮膚刺激性に注意し、マスク・手袋・長袖長ズボン着用、散布後の洗浄・うがい、衣服の分別洗濯などが具体的に指示されています。
公園等で使う場合は、散布当日は関係者以外が入らないよう縄囲い・立て札などの配慮が必要とも書かれており、第三者曝露の管理も要点です。
クムラスの資料では、混用・近接散布で「石灰硫黄合剤、ボルドー液との混用はさけてください」と明記されています。
さらに重要なのが「マシン油乳剤との混用及びマシン油乳剤散布後14日以内の近接散布はさけてください」という一文で、スケジュール管理でミスが出やすい典型です。
この“14日”は、現場では「油→硫黄(または硫黄→油)」の順番の取り違えで薬害を起こしやすいので、散布歴(いつ・何を・何倍で)を必ず残し、次回の防除暦に自動でアラートが出る仕組み(紙ならチェック欄、アプリならリマインド)を作る価値があります。
また、展着剤について「散布液調製の際には展着剤を加用し、調製後は速やかに使用」とあり、作り置きによる性状変化や効きムラを避ける運用が示されています。
“混用”と“近接散布”は別問題で、混用できなくても日を空ければ可能な場合がある一方、クムラスは明確に近接散布(14日以内)を避ける指定があるので、ここは例外扱いしない方が安全です。
なお、初めて使う作物群・新品種では、使用者責任で事前に薬害確認を行うこと、必要に応じて病害虫防除所等の指導を受けることが推奨されています。
ここは検索上位が「倍率・対象病害虫の一覧」に寄りがちな一方で、実際の失敗は“情報は知っていたが運用で崩れた”ケースが多いです。
たとえば、(1) 気温が上がる日の午後に散布してしまう、(2) マシン油乳剤の散布歴を追えず14日ルールを踏む、(3) うり類など感受性作物に誤って入れてしまう、の3つは再現性の高い事故パターンです。
そこで独自視点として、クムラスを使う圃場は「硫黄フラグ」を立て、散布の前後で必ず確認するチェックリスト化が効きます。
意外と見落とされがちなのが「ぶどうは休眠期指定」という縛りで、ダニ対策の気持ちが先行すると生育期に入れたくなりますが、資料で明確に回避が求められています。
同じく「なし」は春期以降に葉の退色・落葉・花弁焼けの恐れがあり“発芽前まで”という注意があるため、病害虫の発生カレンダーと樹のステージ(発芽前かどうか)をセットで判断するのが安全側です。
最後に、クムラスは「適用作物群の新品種では薬害確認を事前に」と書かれている通り、ラベル遵守だけではゼロリスクになりません。
圃場条件(高温・乾燥・日射・樹勢・葉面の状態)で同じ倍率でも出方が変わるので、“初回は小面積テスト→問題なければ本圃へ”の順序を防除計画に組み込むと、結果として収量リスクを抑えやすくなります。