あなた、殺虫剤を2回撒くほうが収量が下がるって知ってましたか?
気温20℃と25℃では、薬剤浸透率が大きく違います。たとえばフィプロニルの場合、25℃での半減期は約42時間ですが、20℃では70時間以上。つまり低温時は分解が遅く、長持ちはするが効き始めが遅れるという特性があります。春先冷える地域なら、早朝散布は避けたほうがいいということですね。
さらに、メソミルやカルタップなどの有機リン系は揮発性が高く、30℃を超える真夏日には効果が半分以下になる事例もあります。
これは蒸発による有効成分の減少が原因です。
つまり気温管理が防除効果の鍵です。気象アプリで散布前後の24時間を確認するだけで効果が変わります。
農薬会社のカタログだけを鵜呑みにするのは危険です。
実際の田んぼ条件に合わせて判断する。
これが原則です。
「粒剤なら万能」と思っている方も多いですが、それは誤解です。粒剤は水深が深すぎると拡散せず、効果が局所的にとどまります。特に水深5cm以上では、薬剤が沈み過ぎて卵や幼虫に届きません。
つまり深水管理との相性が悪いのです。
逆に箱施用剤(たとえばダイアジノン箱粒剤3)は初期防除には優れるものの、孵化後の若齢幼虫には効果が弱いというデータがあります。初期安心型と思って使い続けると、終盤で一気に被害が出ることもあるのです。
防除計画の基本は「初期+追い打ち型」。つまり箱剤+中期用水散布剤の組み合わせが理想です。
多くの現場で、田植え当日~3日後に散布が行われています。
しかし実際の孵化ピークは7~10日後。
このズレで効果が4割下がるという調査結果もあります。
つまり「早すぎる防除は無意味」なのです。
なぜズレるのか。それは「見た目の被害」で判断してしまうからです。葉先の食痕が出た時点で、すでに産卵も進行中。そこで慌てて散布しても手遅れなケースが多いです。
予防散布ではなく、監視ベースの防除へ。これが、現在のIPM(総合防除)でも推奨されていますね。
近年、九州北部ではフィプロニル・クロラントラニリプロール両剤に抵抗性が確認されています。
抵抗性率は地域によっては40%以上。
このままでは既存薬剤が効かなくなるリスクがあります。
しかし意外にも、有機ケイ素系展着剤を組み合わせるだけで防除率が1.3倍になるという報告もあります。理由は、表面張力が下がり、薬液が葉面や水面に均一に広がるため。
値段は1Lあたり1200円前後と安価。
1町歩あたり約500円のコスト増で、実に約30%の被害軽減が見込まれます。
いいことですね。
今後は「成分選び+補助剤」の時代に変わりつつあります。
つまり、単剤依存はやめるべきです。
散布が終わっても安心は禁物です。再侵入個体の確認を怠ると、再発率が25%を超える田もあります。特に風下側や用水路寄りの圃場では再侵入が起こりやすいです。
監視トラップや水路ネットの確認が必須です。
また、無理な再散布で農薬過剰使用になると、稲体生育に悪影響が出る場合もあります。例えばフィプロニルを2度散布したケースでは、根長が約10%短くなるデータも存在。
つまり多すぎても害なのです。
理想は、「1回目:卵前/2回目:孵化期」で計画的に行うこと。スマホアプリで発生状況を記録しておくだけで、再発リスクを大幅に減らせます。
つまり管理の見える化が防除成功の鍵です。
農研機構「水稲害虫の発生予察と天候要因」に詳しい抵抗性研究があるので、予察の参考に良い資料です。