『ホンキリシマツツジ根巻株2株』のレビュー!庭木の魅力と育て方

燃えるような深紅の花で庭を彩りませんか?プロが選ぶ『根巻株』のメリットと、失敗しない植え付け手順を徹底解説します。あなたは「本物の赤」を迎える準備、できていますか?

『 ホンキリシマツツジ 根巻株 2株 』のレビュー

ホンキリシマツツジ根巻株のポイント
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圧倒的な「深紅」

他のツツジとは一線を画す、目が覚めるような濃い赤色が庭の主役になります。

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プロ仕様の「根巻き」

ポット苗よりも根の活着が良く、移植のダメージを最小限に抑える職人の技術です。

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生垣やシンボルに

2株セットなら、玄関前の対植えや、庭のアクセントとして即戦力になります。

農業や造園の現場において、春の庭木選びは一年で最も重要な仕事の一つです。数あるツツジ品種の中でも、特に「赤」にこだわりたい方が最終的にたどり着くのが、このホンキリシマツツジ(本霧島躑躅)です。今回は、ホームセンターのポット苗ではなく、プロが扱う「根巻株」の2株セットを実際に導入する視点で、その品質と扱い方を詳細にレビューしていきます。

 

まず、届いた根巻株を見て驚くのは、その幹の充実度でしょう。ポット苗は促成栽培でひょろ長いことが多いですが、露地でしっかりと育てられた根巻株は、枝ぶりががっしりとしており、野性味と力強さを感じさせます。根巻き部分(根鉢)は、麻布と麻紐でしっかりと固定されており、土崩れが全くありません。この「根を動かさない」梱包こそが、植え付け後の生存率を劇的に高めるのです。

 

2株セットという単位も絶妙です。庭の入り口(門かぶり)の下に左右対で植えるもよし、少し間隔を空けて植栽し、将来的につなげて豪華な生垣にするもよし。単独で植えるよりも、群生させることであの「燃えるような赤」のインパクトは何倍にも膨れ上がります。

 

このレビュー記事では、単なる商品の感想にとどまらず、農業従事者や本格的なガーデナーが知っておくべき、活着(根付くこと)させるための技術土壌酸度の調整、そして100年単位で楽しむための視点まで、深く掘り下げていきます。

 

ホンキリシマツツジの魅力と開花時期

 

ホンキリシマツツジ最大の特徴は、何と言ってもその花色にあります。一般的なクルメツツジやヒラドツツジの赤が「ピンクがかった赤」や「朱色」であるのに対し、ホンキリシマツツジは「真紅(クリムゾンレッド)」と呼ぶにふさわしい、黒みを帯びた深い赤色をしています。満開時には、小さな葉が見えなくなるほど密に花が咲き誇り、株全体が赤い塊のように見える様は圧巻です。

 

  • 開花時期: 4月中旬~5月上旬(地域による)
    • サクラ(ソメイヨシノ)が散った直後、新緑の季節に合わせて開花します。
    • 花期は比較的短い(約1週間~10日)ですが、その短期間に全てのエネルギーを爆発させるような咲き方は、日本の美意識に通じるものがあります。

    また、花の大きさは「小輪」です。大輪の豪華さとはまた違う、小粋で引き締まった印象を与えます。この小輪多花性の性質が、和風庭園だけでなく、モダンな洋風建築の庭にもアクセントとして非常にマッチします。2株を並べて植えることで、開花時には赤い壁のような視覚効果を生み出し、道行く人の足を止めるほどのインパクトを与えることができます。

     

    農業的な視点で見ると、ホンキリシマツツジは常緑性(半常緑)である点も魅力です。冬場は葉が少し赤銅色に紅葉しますが、完全に落葉してしまうわけではないため、冬の間の目隠しや、殺風景になりがちな庭の彩りとしても機能します。

     

    参考:のとキリシマツツジの特徴や歴史について解説されています。

     

    のとキリシマツツジの郷:のとキリシマツツジとは
    参考)のとキリシマツツジとは

    ホンキリシマツツジ根巻株の植え付けと土

    ここが最も重要なセクションです。「根巻株」の扱いを間違えると、せっかくの良苗も枯れてしまいます。
    農業従事者の方であればご存じかもしれませんが、一般の方もしばしば迷うポイントを明確にします。

     

    【根巻き(麻布・麻紐)は取らないで!】
    初心者がやりがちな最大のミスは、「きれいに植えたいから」と、根を包んでいる麻布や麻紐をハサミで切って取り外してしまうことです。

     

    • なぜ取ってはいけないのか?
      • 根巻株は、畑から掘り上げた土をそのまま麻布で包んでいます。紐を解くと土が崩れ、細かい根(細根)が切断されてしまいます。ツツジ類は細根が命です。これが切れると水を吸えなくなり、枯死します。
      • 使用されている麻布や麻紐は天然素材です。土の中で数ヶ月かけて微生物により分解され、自然に土に還ります。そのまま植え付けて全く問題ありません。
      • 例外: ビニールポットや、ビニール紐(光沢があり腐らないもの)で巻かれている場合は取り除く必要がありますが、本格的な根巻株は通常、腐る素材を使っています。

      【土作りは「酸性」が絶対条件】
      ツツジ科の植物は、酸性土壌を好みます。日本の土は弱酸性が多いですが、造成地やコンクリートブロックの近くはアルカリ性に傾いていることがあり、そのまま植えると生育不良(葉が黄色くなるクロロシス)を起こします。

       

      • 推奨配合: 鹿沼土(小粒)7:ピートモス(無調整)3
        • この配合は通気性と保水性を両立し、かつ強力な酸性環境を作ります。
        • 畑の土や庭土を使う場合は、必ず未調整のピートモスを3割ほど混ぜ込んでください。石灰(苦土石灰など)は絶対に撒いてはいけません。

        【植え付けの手順】

        1. 穴掘り: 根鉢の大きさの2倍の直径、深さの穴を掘ります。
        2. 深植え厳禁: ツツジは根が地表近くに広がる「浅根性」です。深く埋めすぎると根が呼吸できず腐ります(根腐れ)。地面の高さよりも根鉢の頭が少し出るくらいの「高植え」にし、周りに土を寄せて山にするのがプロの植え方です。
        3. 水極め(みずぎめ): 土を入れた後、足で踏み固めるのではなく、バケツで水を流し込みながら棒で土を突き、泥水にして根と土の隙間を埋めます。これで根が密着し、活着率が上がります。

        参考:根巻き苗の正しい植え付け方法が図解入りで解説されています。

         

        園芸ネット:花木・果樹苗の植え付け方
        参考)園芸ネット本店|「花木・果樹苗の植え付け方」の栽培ガイド【公…

        ホンキリシマツツジの育て方と剪定

        無事に植え付けが完了したら、次は日々の管理です。ホンキリシマツツジは丈夫な樹木ですが、「水切れ」と「剪定時期」には敏感です。

         

        【水やり:夏場の乾燥に注意】
        前述の通り、ツツジの根は浅い場所に張ります。そのため、夏の直射日光で地表が乾くと、ダイレクトに根が乾燥ダメージを受けます。

         

        • 植え付けから1年目(特に最初の夏)は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えてください。
        • 農家的な裏技として、株元に「バークチップ」や「ワラ」でマルチングを施すことを強く推奨します。これにより土壌水分の蒸発を防ぎ、雑草の抑制にもなります。

        【剪定:タイミングが全て】
        ホンキリシマツツジを翌年も綺麗に咲かせるためには、剪定の時期を間違えてはいけません。

         

        • 最適時期: 花が終わってすぐ(5月中旬~6月上旬まで)
        • 理由: ツツジは夏(7月~8月頃)に、翌年咲くための「花芽」を枝先に形成します。夏以降に伸びた枝を切ったり、秋に形を整えようとして剪定すると、せっかくできた花芽を切り落とすことになり、翌春全く咲かないという悲劇が起きます。
        • 方法:
          • 刈り込み: 生垣やトピアリーのように丸く仕立てたい場合は、バリカンや刈り込みバサミで全体を丸く刈り込みます。萌芽力(芽を出す力)が強いので、多少深く切ってもまた芽吹きます。
          • 透かし剪定: 枝が混みすぎている場合は、枯れ枝や内側に向かって伸びる枝(逆さ枝)を根元から切り、風通しを良くします。

          参考:剪定の時期や目的について、開花促進の観点から解説されています。

           

          PictureThis:キリシマツツジの剪定とケア
          参考)キリシマツツジ(霧島躑躅)の育て方・栽培方法

          ホンキリシマツツジの肥料と病害虫対策

          美しい花を咲かせるためには、適切な栄養補給と防除が欠かせません。

           

          【肥料:お礼肥と寒肥】

          1. お礼肥(おれいごえ): 花が終わった直後(6月頃)。花を咲かせて体力を消耗した株を回復させるために、即効性の化成肥料を少量与えます。
          2. 寒肥(かんごえ): 冬(1月~2月頃)。春の芽出しと開花に備えて、ゆっくり効く有機質肥料(油かすと骨粉を混ぜたものなど)を株元の周辺に埋め込みます。

          【病害虫:ツツジグンバイに注意】
          ホンキリシマツツジの大敵は、「ツツジグンバイ」という小さな虫です。

           

          • 症状: 葉の色が白っぽく抜け、元気がなくなります。葉の裏を見ると、小さな黒い点(排泄物)と、羽がレース状の数ミリの虫がいます。これが樹液を吸っています。
          • 対策:
            • 予防: 風通しを良くする剪定が第一です。乾燥すると発生しやすいので、葉の裏にも水をかける「葉水(はみず)」も有効です。
            • 駆除: 発生初期に「オルトラン粒剤」などの浸透移行性殺虫剤を株元にまくか、スプレー式の殺虫剤で駆除します。農業従事者であれば、定期的な薬剤散布のローテーションに組み込むことをお勧めします。

            参考:ツツジの代表的な害虫とその対策が詳しく載っています。

             

            住友化学園芸:ツツジの育て方と病害虫対策

            ホンキリシマツツジの成長速度と庭木としての寿命

            最後に、検索上位の記事ではあまり触れられていない、「資産としての庭木」という独自の視点をお伝えします。

             

            ホンキリシマツツジは、他のツツジ(特にヒラドツツジなどの大葉系)に比べて、「成長が非常に遅い」という特徴があります。これは一見デメリットに思えるかもしれませんが、長い目で見れば以下の巨大なメリットになります。

             

            1. 剪定の手間が少ない: すぐにボサボサにならないため、頻繁な手入れが不要です。忙しい農繁期と剪定時期が重なっても、樹形が乱れにくいのは助かります。
            2. 密度が高まる: 成長が遅い分、枝が密に分岐します。年月を経るごとに株の中身が詰まり、隙間のない重厚な生垣や玉散らしになります。これは一朝一夕では作れない、時間の積み重ねだけが出せる「風格」です。
            3. 長寿である: 石川県の能登地方には、樹齢100年を超え、高さ数メートルに達する「のとキリシマツツジ」の古木が多数現存しています。適切に管理すれば、孫の代まで残せる家宝のような庭木になります。

            今回購入する「根巻株 2株」は、その長い歴史のスタートラインです。安価なポット苗を大量に植えてすぐに枯らすよりも、しっかりとした根巻株を2つ植え、じっくりと育てていく。それは、単なる園芸を超えた、土地に根付く「資産形成」と言えるかもしれません。数年後、真っ赤に染まった2つの株を眺めながら、「あの時、根巻株を選んでよかった」と実感する日が必ず来るはずです。

             

             


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