同じ殺ダニ剤を毎年続けて使うと、ハダニが薬に慣れて効かなくなります。
参考)https://www.sankei-chem.com/products/productfile/?id=139
フェンプロパトリンは合成ピレスロイド系の殺虫・殺ダニ剤です。 害虫の神経系に直接作用し、接触・摂取によって興奮症状を引き起こした後に麻痺させ、最終的に死に至らしめます。 日本国内での初回農薬登録は1988年10月25日で、30年以上にわたって使われてきた歴史ある成分です。env+2
この作用機序はピレスロイド系共通のもので、ナトリウムチャネルに結びついて神経を過剰興奮させます。従来のピレスロイド剤と比較して殺ダニ活性が数倍〜数十倍強いため、殺虫剤としてだけでなく殺ダニ剤としても使われています。 速効性のノックダウン効果があり、散布後に害虫が素早く動けなくなるのが特徴です。nbinno+1
つまり「虫もダニもまとめて抑えたい」場面で重宝される成分です。
製剤の種類は水和剤・乳剤・液剤・くん煙剤など複数あり、使用する場面や作物によって選択肢が異なります。 自分の作物と害虫の種類に合った製剤を選ぶのが基本です。
参考)https://www.env.go.jp/content/900544329.pdf
参考情報:農薬の詳細な毒性・残留試験データについては農林水産省・食品安全委員会の公式資料に掲載されています。
登録作物の範囲は製品によって細かく異なります。 果樹類として一括登録されているケースもあれば、りんご・なし・かんきつといった個別作物として登録されているケースもあり、ラベルの確認が欠かせません。mhlw+1
たとえばロビンフッドというフェンプロパトリン含有製剤では「果樹類(かんきつ、りんご、なし、びわ、もも、すもも、うめ、おうとう、ぶどう、かき、マンゴー、オリーブを除く)」という形で除外作物が明示されています。 つまり「果樹類で登録があるから大丈夫」と思っていると、実は使えない作物が含まれているリスクがあります。
参考)https://www.greenjapan.co.jp/robinhood.htm
希釈倍数は作物・害虫の種類によって1000〜2000倍と幅があります。 希釈が薄すぎれば効果が下がり、濃すぎれば薬害の原因になります。
参考)お茶の農薬はどうなっている?海外と比べて本当に緩い?安全性や…
🌱 適用作物を初めて使用する場合は、必ず普及指導センターや病害虫防除所に確認してから散布することが推奨されています。 事前確認の一手間が薬害トラブルを防ぎます。
⚠️ 使用回数の制限を甘く見ると農薬取締法違反になります。
フェンプロパトリンを含む農薬には「本剤の使用回数」だけでなく「フェンプロパトリンを含む農薬の総使用回数」が別途定められています。 たとえばくん煙剤で年間使用回数の上限が決まっている場合、別の乳剤と合わせて使うと総使用回数を超えてしまうことがあります。
参考)https://www.nouyaku-sys.com/noyaku/user/noyakudetail/output/chiba/17120/10
これは見落としやすいポイントです。
複数のフェンプロパトリン含有製品を使い回しているケースでは、季節の途中で「もう使えない」状態になる可能性があります。 年間のスケジュールを組む段階で、使用する全製品の成分と使用回数制限を一覧にしておくのが確実です。
参考)https://www.hokkochem.co.jp/wp-content/uploads/17114.pdf
また、ハダニ類は薬剤抵抗性が発達しやすいため、同じ成分を連続使用することは避け、作用性の異なる殺ダニ剤と輪番で使うことが推奨されています。
輪番使用が基本です。
参考情報:農薬登録情報の使用回数制限の詳細は農薬登録情報提供システムで確認できます。
残留基準と収穫前日数は、消費者への安全確保と同時に農家自身を守るルールです。 お茶(茶葉)の場合、フェンプロパトリンの最大残留基準値は25ppmで、摘採7日前までの使用に限られています。 この7日間を守らないと、基準値超過として出荷停止・廃棄処分の対象になります。mhlw+1
25ppmというと「かなり多い」と感じるかもしれませんが、単位はppm(百万分の1)です。 お茶1kgに対して25mg以下という意味で、非常に微量です。
りんごや日本なしについては、短期暴露評価で許容範囲を超えるケースがあるとして、残留濃度に基づいた個別の基準値が設定されています。 仁果類の扱いは特に慎重に確認が必要です。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000747267.pdf
EUではフェンプロパトリンの最大残留基準値(MRL)についてEFSAが定期的なレビューを実施しており、国際的にも管理が強化される傾向にあります。 輸出を視野に入れた農業経営では海外基準の動向も把握しておきたいところです。
参考)食品安全関係情報詳細
厳しいですね。
参考情報:農産物の残留農薬基準については厚生労働省のポジティブリスト関連資料が詳しいです。
ピレスロイド系農薬はミツバチをはじめとする有益昆虫にも強い毒性を示します。 フェンプロパトリンは農業害虫に対して高いノックダウン効果を持つ一方、天敵昆虫への影響も無視できません。
参考)https://www.acis.famic.go.jp/syouroku/fenpropathrin/fenpropathrin_01.pdf
散布するタイミングが命です。
ミツバチが活発に活動する日中の散布は、受粉に頼っている果樹農家にとって大きなリスクになります。 早朝や夕方の散布、あるいは開花期を外した時期の使用が基本の対策となります。
また、周辺にミツバチの巣箱がある場合は事前に養蜂業者へ連絡しておくことが、トラブル回避につながります。 散布前の一本の連絡で、近隣農家との関係を守れます。
これは使えそうです。
フェンプロパトリンを含む農薬の散布後は、天敵昆虫(カブリダニ類など)が一時的に減少することもあります。 天敵を利用したハダニ防除を採用している農家の場合、使用タイミングや場所の選択には特に慎重な判断が求められます。
参考情報:農薬のミツバチへの影響に関する詳細な評価は環境省の資料に記載されています。
環境省 フェンプロパトリン水産・環境リスク評価資料(PDF)
フェンプロパトリンの効果が「なぜか落ちた」と感じたら、薬剤抵抗性が疑われます。 ハダニ類は世代交代が短く、年間に数世代を繰り返します。気温が高い夏場は特に増殖スピードが速くなります。
同じ成分を繰り返すと危険です。
仮に同じ成分を毎作期使い続けた場合、3〜5年程度で抵抗性個体が圃場内の大半を占めるようになるという報告があります。 これはハダニ1個体が1回の産卵で数十個の卵を産み、そのうち抵抗性を持つ個体だけが生き残って増殖するためです。
具体的に言うと、ハダニの一世代は夏場でわずか10日ほどです。 一シーズン(約120日)で12世代以上を繰り返す計算になり、抵抗性が選択されるスピードは非常に速くなります。
結論は「輪番使用が必須」です。
作用機序の異なる成分として、たとえばアバメクチン系やDDTC系の殺ダニ剤をローテーションに組み込むことが推奨されています。 どの薬剤を「次の番手」に使うかを今のうちに決めておくと、シーズン中の対応が楽になります。
農業普及指導センターに相談すれば、地域のハダニ発生状況と薬剤抵抗性の情報を無料で入手できます。 一度相談しておくと、ローテーション計画が大幅に組みやすくなります。
以下に記事を出力します。