永年牧草の種類と選び方で変わる草地管理

永年牧草の種類を正しく理解することは、草地の収量と経営コストを左右します。チモシーやオーチャードグラスなど代表草種の特徴から混播の活用法まで、農業従事者が押さえておきたいポイントを詳しく解説します。あなたの草地に本当に合った草種を選べていますか?

永年牧草の種類と草地管理を徹底解説

チモシーは「北海道以外では使わないほうがいい」と言い切れるほど、温暖地での夏枯れによる収量損失が深刻で、草地更新のたびに10aあたり数万円のコストが発生しているケースが後を絶ちません。


永年牧草の種類と草地管理:3つのポイント
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草種の分類を理解する

永年牧草はイネ科・マメ科に大別され、さらに寒地型・暖地型に分かれます。地域の気候と栽培目的に合わせた草種選びが、収量と維持コストを大きく左右します。

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気候と草種の相性を把握する

チモシーは耐寒性最強ですが温暖地では夏枯れリスクが高く、トールフェスクは暖地でも永続性を発揮します。 適地・適草種の選定が経営安定の基本です。

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混播で収量と肥料コストを最適化

イネ科とマメ科の混播により、窒素肥料の削減と栄養価向上が同時に実現できます。マメ科率30〜40%を目安にした混播設計が、長期的な草地維持コスト低減につながります。


永年牧草とは何か:一年生牧草との違いと農業上のメリット

永年牧草(えいねんぼくそう)とは、一度播種すれば複数年にわたって収穫を続けられる多年生の牧草のことです。毎年播き直しが必要な一年生牧草(イタリアンライグラスなど)と異なり、草地を長期間維持しながら繰り返し刈り取りや放牧利用ができます。


これが基本です。


代表的な一年生牧草のイタリアンライグラスは春から初夏に高収量が得られる反面、夏以降は枯れてしまうため次の播種が必要になります。一方で永年牧草は、適切な草地管理を行うことで5〜10年以上にわたって利用できます。


農業上の最大のメリットは、播種コストと作業労力の大幅な削減です。草地更新は10aあたり数万円のコストと耕起・整地・播種という重労働を伴いますが、永年牧草であれば更新頻度を下げることが直接的なコスト削減につながります。つまり「長く使える草地づくり」が永年牧草最大の魅力です。


また、永年牧草は根系が深く発達するため、傾斜地でも土壌侵食を防ぐ効果があります。放牧地や傾斜草地では、完全更新が困難な場面も多く、こういった土壌保全の役割も重要です。










項目 一年生牧草(例:イタリアンライグラス) 永年牧草(例:チモシー・オーチャードグラス)
利用年数 1年(毎年播種) 5〜10年以上
播種コスト 毎年発生 更新時のみ発生
収量安定性 初年度から高収量 2年目以降に安定
土壌保全効果 低い 高い(深根性)
栽培の手間 毎年の整地が必要 施肥・草地管理が中心


永年牧草の種類一覧:イネ科代表草種チモシーの特徴と栽培適地

チモシーはイネ科永年牧草を代表する草種で、耐寒性がイネ科牧草の中で最も強い草種に属します。北海道や東北の高冷地で広く栽培されており、嗜好性・栄養価ともに高く、家畜の採食性に優れている点が特徴です。


これは使えそうです。


生育適温は10〜20℃と低めで、夏の高温と乾燥に極端に弱い性質を持ちます。そのため、気温が高い温暖地・暖地では「夏枯れ」が発生しやすく、草地の永続性が著しく低下するリスクがあります。



  • 🌿 耐寒性:イネ科牧草の中で最強クラス。

    北海道・東北高冷地に最適。


  • 🌡️ 耐暑性:非常に弱い。気温が高い東北南部以南での夏枯れリスクが高い。

  • 📏 草丈:60〜100cm程度(A4用紙を縦に3〜4枚並べた高さ)。

  • ✂️ 利用形態:主に採草用。

    北海道では1番草・2番草の2回刈りが基本。


  • 📅 永続性:寒地で5〜8年、東北南部以南では3年以下になりやすい。


なお、農研機構などの調査では、気候温暖化の影響で東北地方でもチモシーの夏枯れ被害が拡大傾向にあります。北海道以外でチモシーを主力草種に選ぶ場合は、気象条件を慎重に確認することが条件です。


チモシーの品種は極早生から晩生まで幅広く、品種の組み合わせにより刈り取り時期の分散が可能です。ユウセイ(極早生・多収)、マオイ(総合力の高い中生品種)などが代表的な品種として挙げられます。


家畜改良センター「飼料作物の主な草種と特徴」:各草種の年生・主要栽培地・特徴を一覧で確認できる。チモシー・オーチャードグラスなど主要草種の比較に役立つ。


永年牧草の種類一覧:オーチャードグラスの特徴と採草・放牧への適性

オーチャードグラスはイネ科の多年生寒地型牧草で、日本では北海道から九州の中高標高地まで幅広く栽培されています。草丈は50〜120cmと大型になりやすく、英名の「cocksfoot(鶏の足)」と呼ばれるように穂が円錐花序で広がる形が識別のポイントです。


意外ですね。


チモシーと比較した際の最大の特徴が「耐暑性の高さ」です。寒地型牧草の中では比較的暑さに強く、刈り取り後の再生力が旺盛なため、1シーズンに2〜3番草の収穫が可能です。


これが基本です。



  • 🌿 耐暑性:チモシーより高い。

    中標高地以上では安定して永続できる。


  • ♻️ 再生力:刈り取り後の萌芽が早く、年3回の収穫も可能。

  • 🐄 利用形態:採草・放牧の両方に利用可能。

    ただし蹄傷抵抗性が低いため放牧は注意。


  • 📅 永続性:寒地で5〜6年。

    暖地では2〜3年と短くなりやすい。


  • ⚠️ 注意点:出穂後の栄養価低下が急激なため、刈り遅れに注意が必要。


採草利用では出穂期(ほ場の50%が出穂したタイミング)が収穫の基本です。出穂後に刈り遅れると栄養価が急低下するだけでなく、次の番草の収量にも悪影響が出ます。刈り取り高さは10cmを厳守することが重要です。


栃木県の栽培マニュアルによると、オーチャードグラスの更新目安は「最高収量時の70%以下になったとき」とされており、一般的に5〜6年程度が更新サイクルの目安とされています。


永年牧草の種類一覧:ペレニアルライグラスの特徴と放牧地での強み

ペレニアルライグラスは世界で最も広く利用されているイネ科永年牧草の一つです。草丈は20〜40cmと低く、分けつ力が非常に高い特性を持ちます。葉に光沢があり、太陽光に当たるとしばしば輝いて見えることが外見上の特徴です。


最大の強みは「放牧利用への適性の高さ」です。牛に踏まれても再生力が強く、秋口でも生育が旺盛なため、放牧草地に最適な草種とされています。栄養価・タンパク質含量も高く、特に泌乳牛や肉用牛の増体に効果的です。


これは使えそうです。



  • 🐄 放牧適性踏圧への耐性が強く、放牧専用草地として世界的に普及。

  • 🌿 栄養価:タンパク質・ミネラルが豊富で家畜の嗜好性も高い。

  • ❄️ 耐寒性:土壌凍結が激しい地域には不向き。

    北海道での利用は品種選択に注意が必要。


  • 💧 土壌適応性:排水不良な転作田でも利用できる場合がある。

  • 🔁 追播適性:初期生育が優れるため、既存草地への追播に適している。


ペレニアルライグラスは冷涼・温和な気候と肥沃な土壌を好み、極端な乾燥に弱い点が注意すべき特性です。追播に使う場合は、既存草地の草種との相性や土壌水分条件を確認してから実施することが条件です。


永年牧草の種類一覧:トールフェスクが温暖地で見直される理由

トールフェスクはイネ科の多年生寒地型牧草ですが、主要な寒地型牧草の中では最も土壌・気象適応性が広いという特徴を持ちます。つまり「寒地型なのに暖地でも使える」という独自のポジションにある草種です。


チモシーやオーチャードグラスが夏枯れしやすい温暖地・暖地の草地において、トールフェスクは耐暑性に優れているため安定した永続性を発揮します。気候温暖化が進む昨今、従来チモシーやオーチャードグラスが主力だった地域でも「トールフェスクへの切り替え」を検討する農家が増えています。



  • ☀️ 耐暑性:寒地型牧草の中で最も高い。

    温暖地での夏枯れリスクが低い。


  • 🌊 耐湿性・耐旱性:土壌条件を選ばず、排水不良地から乾燥地まで幅広く対応。

  • 🐄 嗜好性:やや低い。家畜の採食量がチモシーやオーチャードグラスより少なくなる場合がある。

  • 🌱 土壌保全用途:牧草以外に緑化用・土壌保全用としても活用される。

  • 📅 永続性:暖地でも5〜7年の永続が期待できる。


嗜好性がやや劣るという点は確かに課題ですが、オーチャードグラスとの混播によって嗜好性をカバーしながら永続性を確保する組み合わせが有効です。


厳しいところですね。


長崎県の栽培マニュアルでは、トールフェスクをリードカナリーグラス・オーチャードグラスと組み合わせることで、温暖地においても放牧期間の延長が可能だと示されています。


長崎県「寒地型永年牧草栽培マニュアル」:トールフェスク・リードカナリーグラス・オーチャードグラスの温暖地での栽培方法と牧養力の比較データを確認できる。


永年牧草の種類一覧:マメ科の代表アルファルファと混播での活用法

アルファルファ(ルーサンとも呼ばれる)はマメ科永年牧草を代表する草種で、タンパク質・ミネラル含量の高さが際立っています。乾物中の粗タンパク質含量は開花前の1番草で20%前後に達することもあり、輸入乾草の代替として高泌乳牛向けの高栄養価飼料として注目されています。


いいことですね。


アルファルファは単播よりもオーチャードグラス・チモシーとの混播で利用されることが多く、イネ科牧草との栄養バランスの組み合わせが家畜の飼養効率を高めます。



  • 🥛 栄養価:マメ科牧草で最高クラスのタンパク質・カルシウム含量。

    高泌乳牛向け。


  • 💧 耐湿性:弱い。水はけの悪い圃場には向かないため排水対策が必須。

  • 🧪 土壌pH:中性〜アルカリ性(pH6.5〜7.5)が適正。

    酸性土壌では根粒菌活動が低下。


  • 🌱 根粒菌:空中窒素を固定する根粒菌を持つため、混播時の窒素施肥量を削減できる。

  • 📅 利用年数:北海道では4〜5年、本州以南では3〜4年が目安。


アルファルファ混播草地のマメ科率が30〜40%に達すると、窒素施肥量を大幅に削減できます。例えばイネ科単播草地と比較して、年間の窒素施肥量を10kg/10a以上削減できたケースも報告されています。肥料コストの観点から見ると非常に大きなメリットです。


混播する際の播種量は、アルファルファ0.5〜1.0kg/10a+イネ科牧草2kg/10aが目安です。土壌pHが5.5以下の圃場では、事前に石灰資材を施用してpHを6.5以上に調整することが条件です。


農研機構「寒地の酪農経営におけるアルファルファ導入ガイド」:アルファルファの導入効果・播種量・施肥基準などの詳細なデータが記載されている。


永年牧草の種類一覧:シロクローバ・アカクローバの特性比較

マメ科永年牧草のクローバー類は、シロクローバ(シロツメクサ)とアカクローバ(アカツメクサ)が代表的です。どちらも根粒菌による窒素固定能力を持ちますが、用途と適性は大きく異なります。シロクローバとアカクローバは別の草種と捉えるのが基本です。










比較項目 シロクローバ(シロツメクサ) アカクローバ(アカツメクサ)
草丈 10〜30cm(低草型) 30〜70cm(立草型)
主な利用 放牧(踏圧への耐性あり) 採草(刈り取り利用が主)
耐寒性 中程度(温暖地向き) 強い(北海道〜東北にも対応)
永続性 匍匐茎で拡がり比較的長い 2〜3年で更新が必要な場合あり
鼓腸症リスク あり(過剰採食に注意) あり(特に濡れた状態で高リスク)


クローバー類の混播における注意点として「鼓腸症(こちょうしょう)」リスクがあります。マメ科比率が極端に高くなると、家畜の腸内で異常発酵が起き、ガスが抜けずに消化器官が膨張する鼓腸症を引き起こすリスクがあります。


痛いですね。


マメ科率が50%を超える草地での放牧は特に注意が必要で、マメ科率を30〜40%程度にコントロールした混播草地設計を基本とすることをお勧めします。放牧前に十分乾燥した牧草を与えるか、採草してから給与する管理も有効な対策です。


永年牧草の種類一覧:暖地型永年牧草バヒアグラスとギニアグラスの特性

日本の西南暖地(九州〜沖縄)では、寒地型牧草が夏の高温で生育を停止・枯死するため、暖地型永年牧草の活用が不可欠です。代表的な草種がバヒアグラスとギニアグラスです。


バヒアグラスは南米原産の多年生暖地型牧草で、耐干性・耐陰性・耐寒性を兼ね備えています。暖地型牧草の中では越冬後の生育が早く、5月には入牧可能なため、西南暖地の放牧体系において欠かせない草種です。農研機構の研究では、バヒアグラスと組み合わせた周年親子放牧体系が西南暖地に最適とされています。



  • 🌞 バヒアグラス:南米原産。

    ほふく型で地上茎・地下茎で拡がる。

    再生力・永続性に優れる。

    放牧用。


  • 🌿 ギニアグラス:アフリカ原産。

    夏の高温下で旺盛に生育。収量が高い。

    青刈・乾草・サイレージ向き。

    沖縄以外では一年生として利用。


  • 🌾 ローズグラス:耐旱性・耐塩性に優れる。

    九州・沖縄で多年生として利用。


  • 🌱 シバ:暖地型の中で最も耐寒性が高い。

    放牧地への植被として古くから利用。

    北海道の一部でも越冬可能。


暖地型牧草全般の注意点は「冬期間の利用停止」です。暖地型牧草の生育適温は25〜30℃で、気温が10〜15℃以下になると生育が停止します。このため、西南暖地でも冬期の粗飼料は寒地型牧草やイタリアンライグラスなどで補う「組み合わせ設計」が重要です。


農研機構「西日本における周年親子放牧に適した夏季用永年生牧草種」:バヒアグラスを活用した西南暖地の放牧体系に関する研究成果が確認できる。


永年牧草の種類選びの基本:寒地型と暖地型の使い分け

永年牧草の草種選びで最初に確認すべきことは「自分の圃場が寒地型向きか暖地型向きか」という気候条件の判断です。


これだけ覚えておけばOKです。


寒地型牧草の生育適温は10〜20℃で、日本では北海道・東北・中部高冷地が主な適作地です。暖地型牧草の生育適温は25〜30℃で、九州・沖縄・西南暖地が主な適作地です。







判断基準 寒地型永年牧草 暖地型永年牧草
最適気温 10〜20℃ 25〜30℃
主な代表草種 チモシー・オーチャードグラス・トールフェスク・ペレニアルライグラス バヒアグラス・ギニアグラス・シバ
主な栽培地

北海道・東北・中部高冷地


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