無料アプリで正しく診断できると思っていると、誤った農薬を購入して余分な出費が1回で数万円になることがあります。
病害虫診断アプリとは、スマートフォンで撮影した作物の写真をAIが解析し、病気や害虫の種類を自動で特定してくれるツールです。かつては専門家に検体を持ち込まなければわからなかった診断が、圃場に立ったまま数秒でできるようになっています。
これは使えそうです。
農業現場では、葉が黄変している、斑点が出ている、穴が開いているといった症状が突然現れることは珍しくありません。しかも、見た目が似ていても原因が「カビ性の病気」「細菌性の病気」「ウイルス病」「害虫の食害」と全く異なるケースがあります。原因が違えば、必要な農薬も防除方法も変わるため、最初の診断の正確さが被害を抑えられるかどうかの分かれ目になります。
農林水産技術会議の研究によると、トマト・イチゴ・キュウリ・ナスの病害虫を80%以上の精度で画像から診断できるAIプログラムが開発されており、スマートフォンアプリとして実用化されています。現場レベルでも高い精度の診断ができる時代になっているということですね。
また、愛知県の研究機関によると、農家からの期待として「90%以上の予測精度」が求められています。現状のアプリはその水準に近づいており、診断結果を参考情報として活用することで、初動対応のスピードと正確性を両立することが可能です。
無料で使えるアプリが複数登場したことで、大規模農家だけでなく、新規就農者や中小規模の農業法人でもすぐに活用できる環境が整っています。
参考:農林水産技術会議「人工知能を活用した病害虫診断技術の開発成果」
農林水産技術会議「人工知能を活用した病害虫診断技術」成果紹介ページ
「レイミーのAI病害虫雑草診断」は、日本農薬株式会社が提供する完全無料のスマートフォンアプリです。iOS・Androidの両方に対応しており、App StoreまたはGoogle Playから無料でダウンロードできます。農業用途として開発されているため、農業従事者が実際に直面する場面に特化した機能構成になっています。
主な機能は大きく4つあります。① 写真から病害・害虫・雑草をAIが自動で判別し、生態と防除方法を解説する「AI診断」、② 設定した地域・作物に合わせてAIが重要な予察情報を配信する「AI予察」、③ 病害虫雑草の生態情報と防除ポイントが調べられる「図鑑機能」、④ 農薬メーカー6社・約400剤の中から最適な農薬を提案する「農薬提案」です。
特に注目したいのが農薬提案の充実度です。単に診断名を表示するだけでなく、6社の農薬メーカーが連携し、約400剤という幅広いラインナップから有効な薬剤を具体的に提示してくれます。これにより「診断はできたが、どの農薬を使えばいいかわからない」という状況を防げます。
対応作物は水稲・キャベツ・レタス・はくさい・ブロッコリー・ねぎ・トマト・きゅうり・なす・いちご・こまつな・チンゲンサイなど、随時追加が続いています。水稲を含む主要作物を幅広くカバーしている点が、農家向けアプリとして際立っています。
また、圃場ごとの病害虫雑草の記録を保存できる機能も搭載されており、診断履歴を蓄積することで再発防止にも活用できます。
記録が残るのは大きなメリットです。
参考:日本農薬株式会社「レイミーのAI病害虫雑草診断」公式ページ
日本農薬株式会社「レイミーのAI病害虫雑草診断」公式サービス紹介ページ
EXPESTS(エクスペスツ)は、住友化学が運営する農業関連プラットフォーム「つなあぐ」のアプリの一つで、iOS・Android両対応です。会員登録なしでも基本的な診断機能を無料で利用できるため、まず試してみたい農業従事者にとっての入口としても使いやすい設計です。
使い方は非常にシンプルです。圃場で撮影した葉の病斑や害虫の写真、または端末内に保存された画像をアップロードするだけで、AIが病害虫の候補を確率の高い順に複数表示します。各候補から関連情報へのリンクも用意されており、その場で詳細を確認しながら当たりをつけることができます。
診断結果に基づいて有効な農薬が一覧表示され、各農薬の登録情報も確認可能です。さらに農業資材のECサイトと連携しているため、必要な農薬の購入まで一つの流れで完結できます。つまり診断から農薬手配までを圃場でその場で済ませることができます。
無料の「つなあぐ会員」に登録すると、さらに2つの特典機能が使えるようになります。
一つ目は診断履歴の保存機能です。
いつ、どの作物で、どんな病害虫が発生したかが時系列で自動記録されます。農繁期のメモ漏れを防げるほか、複数圃場を管理する農業法人での情報共有や引き継ぎもスムーズになります。
二つ目は農薬検索機能です。
診断結果とは別に、作物と病害虫の組み合わせを自分で選んで、使用方法・使用時期・系統などの条件で絞り込んだ農薬一覧を検索できます。
栃木県のトマト農家では、パートスタッフが圃場で異変を見つけた際にEXPESTSで病害虫名を特定し、防除作業の早期開始につなげているという事例が報告されています。経験の浅いスタッフでも現場で的確な初動判断ができる点が実際の農業現場で評価されています。
参考:マイナビ農業「EXPESTS特集記事」
マイナビ農業「害虫・野菜の病気をAIで無料診断!病害虫診断アプリEXPESTSの特徴と活用事例」
ガーデンドクターAIは、KINCHO園芸(旧:住友化学園芸)が運営するWeb型の無料病害虫診断サービスです。スマートフォン専用アプリのインストールは不要で、ブラウザから直接アクセスして使える手軽さが特徴です。
対応植物の幅広さが大きな強みです。野菜31種類・果樹12種類に加え、花・観葉植物・庭木まで幅広くカバーしています(2023年8月時点)。農家向けよりも、多品目を手がける農業従事者や、農