スミソン乳剤は「スミチオン」と「マラソン」を混合した殺虫剤で、2剤の利点を活かして各種害虫を効果的に退治する、という位置づけです。
現場感として重要なのは、“何に効くか”以前に“どう効かせるか”で、散布ムラがあると「効かない」と感じやすいタイプです。
効き方のイメージは、次の2つを同時に満たすほど強く出ます。
・害虫が薬剤に接触する(葉裏・新梢・株元の当たり方が鍵)
・害虫が薬剤が付着した植物体を食べる(食害性害虫で差が出る)
農業従事者向けに言い換えると、「成虫を落とす」より「若齢幼虫に当て切って密度を崩す」ほうが安定しやすい、という考え方が合います。特にチョウ目幼虫・ハムシ・ゾウムシ類など、葉や茎を食べる害虫は“食毒”が効きやすいので、食害痕が出始めたら発生初期の散布が理にかないます。
ただし、薬剤選択は“作物×害虫×生育ステージ×周辺条件”の組み合わせです。ラベルや適用表に載っている適用害虫・使用量・回数・収穫前日数を外すと「効かない」以前に「使ってはいけない」になるので、必ず登録内容で詰めてください。
スミソン乳剤は、希釈して散布する運用が基本です。
散布の成否を分けるのは、薬剤そのものよりも「散布液が害虫のいる場所に届いたか」です。葉表だけ濡れていて葉裏が乾いていると、アブラムシ類・ハダニ類・アザミウマ類のような“潜る・隠れる”相手では取りこぼしが起きやすいので、ノズル角度や歩行速度、株の揺らし方まで含めて設計します。
タイミングは大原則として「発生初期」。発生が進むほど、①虫齢が進んで食害量が増える、②個体数が増えて当たり切らない、③葉が込み合い薬液が入らない、の三重苦になります。
実務では、圃場を見回って「最初の被害葉」「最初の成虫飛来」「最初の幼虫確認」をトリガーに散布計画に入れると、結果的にコストが下がります。
散布時の注意点として、薬液は“作って終わり”ではありません。散布残りが出ないように調製し、使い切ること、器具や容器の洗浄水を河川等へ流さないことが明記されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10231065/
「少し余ったから畦に捨てる」は、周辺環境リスクだけでなく、将来の監査・トラブルの火種になるので、最初から必要量を見積もる運用に寄せたほうが安全です。
スミソン乳剤は“効く薬”である一方、薬害注意が具体的に書かれている点が、現場では最重要です。
たとえば、あぶらな科作物にはかからないようにする(薬害)、花き類では開花期に薬害を生じることがあるので使用を避ける、といった注意が明記されています。
ここでの落とし穴は、「適用作物だから大丈夫」ではなく「同じ作物群でも新品種・作型・環境で薬害が変わる」ことです。初めて使う作物・新品種では、事前に薬害の有無を十分確認し、病害虫防除所や販売店への相談が望ましい、とされています。
つまり、上司チェックでよく見られるのは、薬剤説明よりも「薬害を起こさないための確認工程」を書けているか、です。
安全使用の観点では、散布時に農薬用マスク、手袋、長袖・長ズボン等の着用、散布後の手洗い・うがいが推奨されています。
誤飲時に吐かせないで医師の手当を受けさせる、目に入ったら直ちに水洗し眼科医の手当を受ける、皮膚付着は石けんで洗い落とす、といった具体指示も載っています。
また、自動車や壁などの塗装面、大理石・御影石に散布液がかからないよう注意(塗装汚染・変色)といった“農地外で揉めやすい”ポイントも明記されています。
検索上位の一般的な解説では「害虫に効く」話で終わりがちですが、現場で意外と効いてくるのが周辺生物と水系の管理です(ここが独自視点として重要です)。
スミソン乳剤は、ミツバチに影響があるため、巣箱およびその周辺にかからないようにする、養蜂地区では周辺への飛散に注意する等、危害防止に努める、とされています。
さらに、蚕に影響があるので周辺の桑葉にかからないようにする、と明記されています。
水系についても、河川・養殖池等に飛散、流入しないよう注意して使用すること、使用残りの薬液が生じないよう調製して使いきること、散布器具・容器の洗浄水は河川等に流さないことが記載されています。
「魚毒性:…(甲殻類)」という表現が入っているのもポイントで、圃場脇の用水・排水路にエビ・カニ類がいる地域では、散布の風向・降雨予測・排水管理までセットで設計したほうが安全です。
周辺対策として実務的に効くのは、次のような“事故を起こさない手順化”です。
・散布前:風向と風速を確認し、飛散方向に巣箱・水系・住宅があれば中止または防除日変更
・散布中:圧を上げ過ぎず、霧を細かくし過ぎない(飛散しやすい)
・散布後:器具洗浄水の処理ルールを固定し、作業者ごとにブレさせない
農薬は「効かせる」だけでなく「問題を起こさない」まで含めて技術です。上司レビューで刺さるのは、薬剤名の説明より、この“現場の事故予防”の具体性だったりします。
効果・薬害等の注意、薬害(あぶらな科・花き開花期)、ミツバチ・蚕・魚毒性など注意事項の根拠。
https://www.sc-engei.co.jp/guide/details/1581/