草木灰は、草や木など植物体を燃やして得られる灰で、原料によって成分が変わる資材です。主成分としてはカリウムや石灰(カルシウム)などが関わり、土壌をアルカリ性側に動かしやすい性質を持ちます。特にカリウムは水に溶けやすく、速効性として働きやすい点が現場で評価されます。参考として、草木灰の主成分は石灰・リン酸・ケイ酸・カリウムとされ、白っぽい灰ほどアルカリ性が強い傾向があることが知られています。さらに、一般的な灰製品の成分例としてリン酸3〜4%・カリ7〜8%・石灰11%ほど、といった目安が示されることもあります。
原料は「何を燃やすか」で癖が出ます。例えば、剪定枝・落ち葉・枯れ草・ワラなどは草木灰の材料として挙げられますが、同じ「草木」でも灰の性質は揃いません。現場でありがちな失敗は、複数の原料を雑に混ぜて燃やし、後から「思ったよりアルカリが強い/弱い」「効きが早い/遅い」が読めなくなることです。灰を“肥料として設計する”なら、最低限でも以下の分け方を意識すると管理が楽になります。
意外と重要なのが「燃え残り(炭化物)」です。真っ白な灰だけが良い、というより、畑では“粉で飛ぶ灰”と“粒っぽい炭化物”が混ざることが多く、使い勝手はふるい分けで一気に改善します。粉(灰分)は速効で効きやすい一方、風で飛びやすく、追肥で雑に撒くとロスになります。粗い炭化物はそのままでも悪ではありませんが、狙いが「草木灰(速効のカリ資材)」なら分けた方が施肥設計が作りやすいです。
参考リンク(草木灰の成分・効果、リン酸の吸収性、特殊肥料としての位置づけ、注意点のまとまった解説)
https://www.noukaweb.com/ash-fertilizer/
草木灰の作り方はシンプルで、「植物体を燃やして灰にする」だけです。ただし農業用途では、品質(異物混入の少なさ)と安全(延焼・法令・近隣)を同時に満たす段取りが重要になります。作業の流れを“現場で事故が起きにくい順番”に落とし込むと、こうなります。
穴を掘って中で燃やす方法は、灰が風で飛びにくく、燃え広がりにくい実務的な手段として紹介されています。新聞紙を敷いて着火し、植物体を少しずつ入れ、低温でじっくり燃やすやり方は、草木灰づくりの定番です。燃えきったら水で沈下させ、数日置いてから掘り返して灰を回収し、ふるいにかける流れも提案されています。
注意点として、野外焼却(いわゆる野焼き)は原則禁止で、例外として農業など「やむを得ないもの」が示される一方、自治体ごとの運用や条例があるため事前確認が推奨されています。さらに、焚き火や薪ストーブの灰を肥料として販売すると、届出等が必要で違反になる可能性がある点も注意喚起されています。「自家用で畑に使う」と「販売する」は別問題なので、ここは誤解しないでください。
参考リンク(草木灰の作り方・野焼きの扱い・販売に関する注意、混用によるアンモニア発生リスクまで)
https://www.noukaweb.com/ash-fertilizer/
草木灰は「作って終わり」ではなく、保存で品質が落ちやすい資材です。理由は単純で、灰のうち特にカリウムは水に溶けやすく、雨や湿気で溶け出してしまいやすいからです。つまり、濡らすと“効く成分が流れていく”方向に働きます。畑で使っても効きが弱い草木灰の一因は、原料差だけでなく、保管時の吸湿・流亡が絡みます。
保存で押さえるポイントは、次の3つです。
農業の現場では、乾燥した灰を“粉のまま”撒こうとして、風で飛ばしてしまうことが多いです。そこで意外に効く小技が「湿らせる」のではなく「土と先に混ぜる」ことです。草木灰はそのままだと粉状で飛散しやすいので、土と混ぜてから使うのが基本とされています。追肥で使うなら、溝施用や土寄せなどで飛散を抑える考え方も紹介されています。
ここで、あまり知られていない現場の“効率化”として、ふるい分け後の粗い炭化物は捨てずに別用途に回す方法があります。例えば、粗い炭化物は堆肥づくりの「水分調整材」や「臭い対策」の一部として混ぜる運用がされることがあります(灰の粉とは性質が違うので、草木灰としての速効カリ資材とは分けて管理するのがコツです)。灰と炭を同一視せず、粒度で役割を分けると、資材ロスを減らしやすくなります。
草木灰の使い方は大きく「元肥」と「追肥」に分かれます。元肥では、種まき・植え付けの少なくとも1週間前までに土と混ぜ、撒いた後は耕うんでよく攪拌する方法が示されています。追肥では、根に直接当てないように施し、速効性を活かして生育に合わせて使う考え方が紹介されています。
目安量は記事や資材によって幅がありますが、一般的な園芸・家庭菜園向け解説では「1坪あたり100~150g程度」といった目安が提示される例があります。別の解説では「土1:草木灰1の割合で加える」といった強めの表現も見られますが、これは状況を選ぶため注意が必要です。農業従事者の圃場管理としては、土壌pHや交換性塩基(特にK)を把握せずに大きな割合で混ぜると、後戻りが難しくなります。草木灰は“効く”資材だからこそ、少量から試して反応を見る方が安全です。
使いどころの具体例を、現場で判断しやすい形にまとめます。
施肥のタイミングで重要なのが、草木灰が「水溶性のカリウムが多く即効性が高い」一方で、「雨などで溶け出してしまいやすい」点です。つまり、撒くのが早すぎると効く前に抜ける可能性が上がります。逆に、効かせたい時期に合わせて追肥的に使うと、体感として“効いた”が出やすい資材です。
参考リンク(元肥・追肥の考え方、土と混ぜる基本、作り方の具体手順、施肥タイミングのずらし方)
https://horti.jp/10674
草木灰での失敗は、派手な事故よりも「効きすぎ/効かなすぎ」「作物が止まる」「微妙に調子が悪い」が多いです。原因はだいたい次のどれかに収束します。
特に混用の問題は軽視されがちです。草木灰はアルカリ性なので、硫安や化成肥料、堆肥などと混用するとアンモニアガスが発生する可能性がある、と解説されています。混用しないつもりでも、近接散布でも発生する可能性があるため、期間を開けて施す必要がある、とも説明されています。別の解説でも、窒素分の多い化成肥料を同時に施すとアンモニアガス発生の恐れがあるため、植え付けの2週間前に草木灰、1週間前に化成肥料のように“ずらす”と安心、という整理が提示されています。
ここを一歩踏み込んで、現場での再現性を上げる運用ルール(独自視点)を提案します。ポイントは「草木灰を“肥料の一種”ではなく“反応性の高いアルカリ資材”として扱う」ことです。
この4つは、土壌診断ができない状況でも、事故率を下げやすい現場ルールです。草木灰は便利ですが、効きが早い=失敗も早い資材なので、スピード感がある分だけ手順で縛るのが合理的です。
参考リンク(混用によるアンモニア発生、元肥と追肥の時期のずらし方、草木灰の性質の解説)
https://www.noukaweb.com/ash-fertilizer/