茄子肥料過多でまず出やすいのは、葉色が標準より濃くなる、葉が大きくなり過ぎる、といった「窒素が効きすぎ」のサインです。
特に生長点に近い新葉や新芽が内側に巻く症状は、肥料が効きすぎている目印として挙げられます。
もう一つの典型が、葉先が茶色〜褐色に変わる「肥料焼け」で、土の肥料濃度が高くなって根が傷むことが原因として説明されています。
ただし「葉が巻く=必ず肥料過多」と決めつけるのは危険で、微量要素欠乏など別要因でも葉巻きが起こり得る点は現場判断で重要です。
見分けのコツは、葉色(濃いか)、葉の大きさ(過大か)、葉先の傷み(褐変があるか)を同時に見ることです。
参考)ナス 肥料過多
「肥料不足っぽい黄化」に見えても、根が傷んで吸えなくなった結果として黄化が出るケースがあり得る、という注意点も押さえておくと誤追肥を防げます。
肥料焼けは、肥料(特に水溶性が高いもの)を過剰に施用して土壌溶液の濃度が急に高まると、根の細胞より外側の浸透圧が強くなり、根の細胞から水が引かれて傷む、という仕組みで説明されています。
家庭菜園向けの解説でも、肥料が塩のように水分を吸い、根が肥料に直接触れていると根の水分が奪われて傷みやすい、という形で同じ現象が語られます。
つまり「効かせたいから根の近くに濃く置く」は、短期的に強く効く以前に、根を止めてしまうリスクを上げます。
窒素過剰が続くと、栄養成長に偏って過繁茂になり、花や実が後回しになりやすい、という整理が一般向け記事でも示されています。
また、窒素過多・過繁茂は病気の発生を助長する、といった病害虫資料での注意もあり、肥料過多が「病気を呼び込む土台」になる点は軽視できません。
参考)https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/788880_62649456_misc.pdf
最初にやることはシンプルで、追肥を止めて草勢の変化を観察し、追加の窒素投入を止血します。
プランターや鉢など「排水で肥料分を外に出せる」条件では、余分な肥料成分を含んだ水を容器の外に出せるため効果が高い方法、という説明があります。
肥料焼けの場面では、いつもの約3倍の水を与えるのを3日ほど続けて肥料濃度を下げる、という具体策も紹介されています(環境条件によっては過湿に注意)。
露地で「流せない・流したくない」場合は、次の一手として追肥間隔の延長や量の削減に切り替え、草勢が落ち着くまで“入れない運用”に徹します。
追肥は10〜14日間隔を目安にしつつ草勢に応じて調整する、という栽培マニュアルの考え方は、肥料過多の再発を減らす運用ルールになります。
根が傷んでいるときは「追肥で回復させる」のではなく「根が回復できる環境に戻す」ほうが筋がよい、という発想で組み立てると手戻りが減ります。
参考)https://bsikagaku.jp/f-knowledge/knowledge51.pdf
参考:施肥の考え方(作物別施肥基準、EC測定と基肥量加減の考え方)
農林水産省:主要作物の施肥基準(都道府県施肥基準等)
参考)主要作物の施肥基準:農林水産省
参考:肥料焼けのメカニズム(浸透圧と根の水分移動)
BSI化学:File No.51 肥料焼け
茄子は吸肥力が強く、肥料不足で収量が落ちやすい一方、窒素過剰では過繁茂になり病害虫リスクや生育への影響が大きくなるため、追肥は一度に多くやらず少量を細かい頻度で、という方針が示されています。
この「少量多回数」は、肥料過多を避けながら樹勢を維持するための現場向けの落としどころです。
追肥の目安として、1番果収穫時期から速効性の化成肥料を10㎡当たりチッソ成分量で30g、その後10〜14日間隔を目安に草勢で調整、という具体的な運用例があります。
元肥についても、10㎡当たり成分量でチッソ・リン酸・カリとも200〜300gが目安、という記載があり、最初から盛りすぎない設計が重要です。
さらに公的な作物別施肥基準の資料では、施肥前にEC等を測定し基肥量を加減する、追肥は生育状況を見て行い1回の量を抑える、といった方向性が明記されています。
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/ssisin2.pdf
「去年うまくいった量」をそのまま当てはめず、ECや草勢で毎回微調整するのが、肥料過多を“事故”ではなく“管理可能な変動”に変えます。
意外に見落とされがちなのが、窒素成分の効きすぎで石灰(カルシウム)の吸収が十分に行われなくなる場合があるので、窒素肥料のやりすぎに注意する、という現場Q&Aでの指摘です。
肥料過多というと「葉が濃い」「肥料焼け」だけに意識が寄りがちですが、栄養バランスの崩れとして周辺要素の吸収に影響が出る、という観点を入れると診断の精度が上がります。
この視点での現場チェックは、①直近で窒素系の追肥を増やしていないか、②葉色が濃く過繁茂に傾いていないか、③石灰資材や苦土石灰の投入履歴とpH管理が崩れていないか、を同時に確認することです。
最後に、病気が出た圃場で「農薬だけ」で押し切ろうとすると、窒素過多・過繁茂が発病を助長する条件を残したままになりやすいので、肥培管理も防除の一部として組み込みます。
「追肥を減らす=弱らせる」ではなく、「草勢を整えて風通しと着果に振る=結果的に守る」という設計で考えると、上司チェックでも説明が通りやすくなります。