コーランネオとカルスNC-Rは、どちらも「発酵」「分解」を連想させますが、現場での役割分担はかなり違います。農業資材の説明として分かりやすい整理は、「微生物群(菌そのもの)を増やす資材」と「微生物が増えるための栄養を与える資材」に分けることです。前者の例としてカルスNC-R、後者の例としてコーランネオ(ほか米ぬか・糖蜜・石灰窒素など)が挙げられています。
この整理が効くのは、「今の土に何が足りないか」を点検しやすくなるからです。たとえば土壌消毒後の圃場は、有害微生物だけでなく有用微生物も減りやすく、まず“微生物の母数”を戻す発想が出てきます(この文脈で微生物資材を使う説明がされています)。
参考)302 Found
一方で、消毒をしていない通常の圃場や、残渣・有機物が十分にある状況では、微生物は元から存在するので「増殖に必要な餌や環境」を整える方が効く場面も多い、とされています。つまり、コーランネオ=微生物を増やす“燃料側”、カルスNC-R=微生物“本体側”、というイメージで押さえると判断ミスが減ります。
作物残渣、雑草、もみ殻、米ぬかを「すき込みで処理して土を作る」用途では、両者の違いが作業設計に直結します。カルスNC-Rは、土中で有機物を分解させながら同時に作物づくりを行える、という説明があり、生もみ殻などの有機物を直接ほ場に施しても“発酵障害の心配がない”という特徴が示されています。
この「発酵障害」という言葉が出る背景には、未熟な有機物の分解過程で作物側にストレス(窒素飢餓やガス害など)が起きやすい、という現場のあるあるがあります。カルスNC-Rの説明では、生もみ殻を使う際に微生物のための窒素分(硫安や菜種油粕など)を別途加えて炭素率調整が必要で、忘れると窒素欠乏の恐れがある、と注意されています。
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一方、コーランネオは「栄養を与える側」の例として挙げられており、微生物が増殖するための栄養分を補うもの、と説明されています。 つまり、米ぬか自体も餌になりますが、分解を回すための“栄養の設計”という観点でコーランネオが候補になります。
ここで意外と見落とされがちなのが、「餌を足したのに進まない」ケースです。餌(米ぬか等)を増やすだけだと、条件によっては腐敗寄りに傾くことがあり、記事では“腐敗菌の多くは嫌気性で増殖するため、適宜かき混ぜて空気を含ませることが重要”と、環境要因(酸素)も同列で語られています。 つまり資材の違い以前に、切り返し・含水・通気が詰んでいると結果が出ません。
選定で事故が起きやすいのが、石灰窒素との関係です。発酵促進剤(栄養)として石灰窒素が例示される一方で、カルスNC-Rの使用上の注意には「石灰窒素との併用は避けてください」と明確に書かれています。
なぜここが重要かというと、現場では「残渣+米ぬか+石灰窒素+微生物資材」を“全部盛り”で入れたくなる瞬間があるからです。しかし、資材のラベル注意を無視すると、微生物資材側の狙い(菌を働かせて分解を回す)が成立しなくなる可能性があります。少なくとも、カルスNC-Rについてはメーカー系の解説で併用回避が明記されているため、混用前提の設計は避けるのが安全です。
また、カルスNC-Rは「他の石灰類は使用できるが同時混用は避ける」という注意もあり、投入タイミング(同時に混ぜるか、日数を空けるか)が品質差を生みます。 コーランネオ側については、栄養を与える資材の枠として石灰窒素が例示されているため、こちらも“何と何を同時に入れるか”は、製品説明・注意書きを基準に組み立てるべきです。
土壌消毒をした後の「土の立て直し」は、コーランネオとカルスNC-Rの違いが最も分かりやすく出る場面です。解説では、バスアミドやクロールピクリン等で土壌消毒を行うと、有害微生物だけでなく有用微生物もほとんど死滅しているため、微生物資材で微生物量を増やし再生させる、という筋道が示されています。
この文脈なら、カルスNC-Rのような「微生物群(菌そのもの)」を入れる資材の意味が立ちます。逆に、微生物がほぼいない状態に“餌だけ”を足しても、増える主体が少ないため立ち上がりが遅い、という発想になります(もちろん土壌はゼロではありませんが、設計思想としてはここが分かれ目です)。
加えて、カルスNC-Rは「嫌気的な条件下でも活動できる微生物を活かした複合型」と説明されており、土中で堆肥化しながら微生物相を豊かにして栽培環境を作る、とされています。 ここは施設栽培や多雨期など、酸素条件が不利になりがちな圃場で“効かせどころ”を考えるヒントになります。
検索上位の比較記事は「どっちが早い」「どっちが便利」で終わりがちですが、現場で差が出るのは“失敗の芽”を先に潰せているかです。具体的には、温度と窒素の2点がボトルネックになりやすい、というのが独自視点としての結論です(資材の銘柄差より再現性に直結します)。
温度については、発酵熱で50℃以上に上がり、細菌の多くは65℃で死滅する一方、納豆菌(枯草菌)は芽胞を作って休眠し温度低下で再開する、という説明があります。 ここから逆算すると、切り返し不足で局所高温が続く山は“菌の選抜”が起き、狙った分解相からズレることがあります。温度計を刺して、50℃台で推移しているか、65℃近くに張り付いていないかを見るだけでも、資材の効き方の理解が一段上がります。
窒素については、カルスNC-Rの注意書きに「生モミガラ使用時は微生物のための窒素分の添加が必要」「炭素率調整を忘れると窒素欠乏の恐れ」と明記されています。 つまり、米ぬかやもみ殻を増やして“分解を速く”したいほど、作物が使う窒素を微生物に奪われるリスクも上がる、ということです。ここを理解すると、コーランネオ(栄養側)を入れる判断も「とにかく入れる」から「窒素・ミネラル設計として入れる」に変わり、施用量の迷いが減ります。
公的な考え方の確認(農薬の“適用作物・使用量・回数・時期”はラベルに従う、という原則の参考)
農薬登録情報提供システム(適用作物などの考え方)