カリ肥料とは、作物に必要なカリ(カリウム)を補給する肥料の総称です。ヤンマーの解説では、カリは糖の移動だけでなく、炭酸同化作用(デンプンの製造)やタンパク質合成など、植物の活動全体に関わる重要な要素として整理されています。
また、カリは土壌から無機イオン(K+)として吸収され、植物体内でも多くが水溶性の無機塩・有機酸塩として存在し、窒素と同程度かそれ以上に要求量が大きい点が特徴です。
現場感覚で言うと、カリは「大きくする」より「仕上げる・整える」要素として効きやすく、根の働きや水分ストレスへの耐性、品質の安定に関わります。特に収穫物を“太らせる・充実させる”局面で効いているのに、見た目の葉色だけでは判断しにくいのがカリの難しさです。
だからこそ、カリ肥料は「足りないなら足す、足りているなら無理に足さない」という設計が最も損失を減らします(カリは高騰しやすい輸入資源という事情もあり、過剰施用を避ける意義が大きいです)。
参考)https://www.mdpi.com/2073-4395/12/1/219/pdf?version=1642572132
カリ肥料の代表的な種類として、塩化カリと硫酸カリが挙げられます。
ホクレン系の解説では、世界で流通するカリ肥料は塩化カリが主体で、硫酸カリは塩化カリに硫酸を反応させて製造されるため、一般的に硫酸カリの方が肥料コストは高くなりやすいと説明されています。
ここは「作物」だけでなく「圃場条件」も絡むため、単純に“良い悪い”では決められません。
例えば、塩化カリはカリ成分の供給源として広く使いやすい一方、硫酸カリは副成分として硫酸イオンを伴うため、施用体系や土壌pH、作物の嗜好に合わせて選びます(硫酸系を多用するほど酸性化リスクを意識する、など)。水田では硫酸由来の影響を嫌って塩化カリを選ぶ考え方が示される例もあります。
参考)塩化カリ【粒状】【赤色】塩化カリウム肥料(KCl)|水溶性加…
選定の実務ポイント(迷ったときの順番)
カリは、入れすぎると作物が「ぜいたく吸収」し、カルシウムやマグネシウムとの拮抗関係からこれらの欠乏症を引き起こす、とヤンマーの解説で注意喚起されています。
つまり、カリ不足だけでなく「カリ過剰による別要素の不足」が起きうるため、カリ肥料は“増やすほど安全”ではありません。
欠乏のサインは、作物・生育ステージで出方が変わります。水稲の指針では、カリが欠乏した場合に「下位葉からの黄化や葉先枯れ、生育阻害」が生じる、と具体症状が示されています。
ただし同じ資料内で、カリレベルが低い土壌でも水稲生育に影響がないことが多い、とも書かれており、“症状が出るまで分かりにくい/出ても圃場差が大きい”のがカリ管理の落とし穴です。
見落としがちな実務の罠(経験則として起きやすいパターン)
現場対策の基本は、①土壌診断で交換態カリを把握、②作物別の要求量と圃場の供給力を見積もる、③過剰時は「入れない勇気」を持つ、の3点です。
土壌診断でよく使われる指標の一つが「交換態カリ(交換性カリ)」で、農研機構の水稲向け資料では、酢酸アンモニウムで抽出される交換態カリを指標にする、と明記されています。
同資料では、多くの都道府県で水稲のカリ施肥基準量は8~11(kg K2O/10a)程度に設定されていること、また交換態カリの適正域の目安として下限15~20、上限30~40(各mg K2O/100g)程度が設定され、上限超過で減肥対象となる場合があることが示されています。
ここで重要なのは「適正域=必ず標準施肥」ではない点です。農研機構の資料では、交換態カリが適正域でも減肥できる可能性がある、と書かれています。
さらに、低地土の水田に広く適用できる“汎用の指針”として、稲わら還元があり交換態カリが20 mg/100g以上ならカリ施肥を標準の半量にでき、稲わら還元+牛ふん堆肥1 t/10a以上なら当作のカリ施肥を省略できる、という具体基準が提示されています。
この考え方は、カリを「入れる」より「圃場内で回す」発想に近いです。実際、同資料は水田のカリ収支(籾・稲わらの持ち出し、用水からの供給、溶脱など)を整理し、稲わらを持ち出すと大きなマイナスになる一方、還元すれば相殺される、と述べています。
また、Q&Aでは“土壌中の鉱物からもカリが供給される”として「非交換態カリ」に触れており、交換態カリだけでは語りきれない長期的供給源がある点も示されています。
参考リンク(低地土の水田で、交換態カリの基準や減肥・無施肥の条件、カリ収支の考え方を確認する部分)
農研機構:水稲のカリ適正施用指針(交換態カリ20mg/100g、稲わら還元、堆肥で省略など)
検索上位の記事は「種類」「効果」「欠乏と過剰」「使い方」が中心になりがちですが、実は“土壌中でのカリの形態”を押さえると、施肥の判断が一段ラクになります。ヤンマーの解説では、土壌中のカリは「交換性カリウム」「固定カリウム」「一次鉱物中のカリウム」の3形態をとる、と整理されています。
同ページでは、交換性カリは植物が吸収できる形態であること、固定カリは粘土の層間に取り込まれゆっくり吸収されること、一次鉱物中のカリは風化作用で緩やかに溶け出すことが説明されています。
この視点が“意外に効く”のは、土壌診断の数字と作柄が一致しないときです。
実務に落とすと、カリ肥料の設計は「土の供給力(形態+CEC+用水+有機物還元)」と「作物の要求量(収量目標+品目特性)」を合わせて、過不足が出ない幅に収める作業です。
そして最後は、数字を信じ切るのでも、勘に頼り切るのでもなく、土壌診断→施肥→作柄→再診断のサイクルで圃場ごとの“適量”を詰めるのが最短ルートになります(農研機構資料でも数年に一度の土壌診断が推奨されています)。
参考リンク(土壌中のカリの形態、ぜいたく吸収、無カリでも収量が落ちにくい背景を読む部分)
ヤンマー:土壌中のカリウムを上手に使う(交換性・固定・鉱物の形態、ぜいたく吸収、長期試験の話)

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