柿の木の施肥は「いつやるか」を固定すると、失敗の大半が減ります。島根県のカキ栽培指針では、元肥は12月上旬〜2月上旬、追肥は6月上旬〜下旬、秋肥は9月上旬〜9月中旬が示されています。 まずはこの3つを、あなたの園地の気象(暖地・寒地)に合わせて前後させるのが現場的です。
元肥は「翌春の芽出し〜初期生育に備えた土づくりの一部」として効かせます。特に有機質肥料を使う場合は、分解して効き始めるまで時間が要るので、島根県の指針にある通り“遅くとも12月上旬までに施用”という考え方が安全側です。 ここで遅れると、春先に欲しい時に効かず、別の追肥で帳尻合わせ→窒素が過多、という負の連鎖が起きやすくなります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9572086/
追肥(6月)は、その年の新梢・葉・果実が一気に動く時期の「上乗せ」です。島根県の指針では追肥時期が6月上旬〜下旬と明確で、元肥だけに頼らず分割する前提になっています。 追肥は“効かせすぎない”のがコツで、樹勢が強く徒長気味なら、量を控える判断がむしろ品質面で得策になります。
秋肥(9月)は、収穫の追い込みと翌年への備えの両面を持ちます。ただし、島根県の指針には「秋肥時に2次伸長が甚だしい場合、着色不良や成熟遅延を招きやすいので施用量を少な目にする」と注意書きがあります。 秋に窒素を押しすぎると枝が伸び続け、果実側の“仕上げ”が遅れる、という現象が現場で起こりやすいので、秋肥は「木を見て抑える」判断が重要です。
「どれをどれだけ入れるか」は、N(窒素)・P(リン酸)・K(カリ)の三要素を軸に考えると整理できます。島根県の成園(目標収量3t/10a)の施肥例では、10a当たり窒素20kg・リン酸15kg・カリウム20kg・苦土12kg程度が目安として示されています。 ここで大事なのは、この数値を丸暗記することではなく、あなたの園の目標収量と樹勢に合わせて“基準からズラす”材料にすることです。
意外と見落とされがちなのが、「樹が実際に吸っている量」と「施している量」は別物、という点です。島根県の同じ指針の中で、10年生‘西条’で年間の無機成分吸収量を調べたところ、10a当たりの吸収量はカリウム15kgが最も多く、次いで窒素9.3kg、リン酸は1.6kgで最も少なかった、とされています。 つまり“吸収”だけを見ると、リン酸は極端に少なく見えますが、実務では土壌中で動きにくい・効かせ方が難しい・施肥設計上の安全係数を見込む、などが絡むため、施肥量は吸収量より大きくなることが多いわけです。
さらに島根県の指針では、施用時期と配分の考え方も具体的です。リン酸は元肥に全量、苦土は元肥50%+追肥50%、窒素とカリは元肥40%・追肥30%・秋肥30%といった配分が示されています。 現場では「春に全部入れておけば楽」という誘惑が出ますが、分割する理由は“効く時期に効かせ、過剰な波を作らない”ためで、結果的に落果・徒長・着色不良などのリスクを下げます。
このあたりを、自分の園で実装する時は、まず「今の施肥設計が分割になっているか」を点検してください。分割ができていない園は、効き方の山谷が大きくなり、同じ総量でもトラブルが起きやすいです。
有機肥料と化成肥料は、優劣ではなく「役割」が違います。島根県の指針では、有機質肥料は年内の地温が高いうちにある程度分解させる必要があるため、遅くとも12月上旬までに施用する、という考え方が示されています。 つまり有機は“時間を味方にして効かせる肥料”で、元肥の設計に組み込みやすいタイプです。
有機肥料をうまく使うと、土の物理性や微生物相の面でもメリットが出やすい一方、分解が遅い・効きが読みにくい年もあるので、追肥での微調整を前提にすると安定します。島根県の指針でも、未成木で生育が悪い場合は速効性肥料を1樹当たり100g程度、1カ月に1回施して新梢伸長を促進する必要がある、と書かれており、速効性(=化成寄り)の価値を認めています。 “有機だけで全部”にこだわるより、木の反応を見ながら速効性を少量で当てる方が、結果として樹勢を揃えやすいです。
また、施肥作業は「散布して終わり」ではなく、効かせるための土づくりがセットです。島根県の指針には、地表面が踏み固められて堅いと新根の発生が妨げられるため、同時に中耕を行うと施用効果が高い、とあります。 ここは地味ですが、肥料のコスパに直結する重要点で、肥料を増やす前に“根が伸びる状態か”を直す方が、長期では安上がりになることが多いです。
実務の目安としては、元肥=有機主体+必要に応じて不足分を化成、追肥=速効性を少量で調整、秋肥=樹勢次第で控えめ、という設計にすると破綻しにくいです。特に秋肥は、強樹勢園ほど「やらない勇気」も品質戦略になります。
柿は肥料が効きやすい年と、効いているのに“実の方に回らない”年があり、ここで重要なのが「肥料過多=樹勢過多」の見分けです。島根県の指針では、秋肥で2次伸長が多いと着色不良や成熟遅延を招きやすいので施用量を少な目にする、と明確に注意されています。 これは、秋に窒素が残りすぎると枝葉が動き続け、果実の成熟(色づき・締まり)が後回しになる、という現象の裏返しです。
現場でのチェックは、難しい指標よりも“見た目の連続観察”が効きます。例えば、秋口に新梢がやたら伸びる、葉色が濃すぎて落ち着かない、樹冠内部まで葉が込み合う、といったサインが出るなら、秋肥は減らす・遅らせる・場合によっては省略する判断も合理的です(特に樹勢の強い園)。島根県が「少な目に」と言っているのは、まさにこの局面を想定しています。
もう一つ、意外とハマりやすいのが石灰質肥料の扱いです。島根県の指針では、樹上軟化の多発による収量低下には、石灰質肥料の過剰施用による土壌アルカリ化の関与が指摘されるため、施肥基準に石灰質肥料は示さず、土壌診断でpHが低い場合に必要に応じて施用する、とされています。 「毎年なんとなく石灰を入れる」は、柿ではリスクが上がる可能性があるので、pHを測ってから動くのが安全です。
肥料過多を疑うときは、次の順で整えると手戻りが少ないです。
数値に基づく見直し先として、国の整理ページ(都道府県施肥基準・土壌診断基準値・減肥基準の考え方)がまとまっているので、園地の属する県の基準と照合すると判断が速くなります。
参考)都道府県施肥基準等:農林水産省
検索上位の記事は「年3回」「おすすめ肥料」のような“手順”中心になりやすい一方、農業従事者に役立つのは「なぜその配分なのか」を自分の園の数字に落とす視点です。島根県の指針には、吸収量の調査結果(カリ15kg、窒素9.3kg、リン酸1.6kg/10aなど)と、成園の施肥例(窒素20kg、リン酸15kg、カリ20kg/10aなど)が同じページ内に並んでいます。 ここが“宝”で、吸収量と施肥量のギャップを見ると、あなたの園で減肥・増肥の議論をする土台ができます。
例えば、近年は肥料価格の変動が大きく、コストを落とす必要が出やすいですが、闇雲に総量を削ると翌年の樹勢が落ちて回復にコストがかかることがあります。そこで、島根県のように配分を決めているなら、まずは「追肥の窒素を少し削って樹勢を落ち着かせ、秋肥は2次伸長が出る園ではさらに抑える」など、品質リスクが少ないところから触るのが現実的です。 逆に、樹勢が弱い園では、未成木の例として示されている「速効性肥料を1樹当たり100g程度、1カ月に1回」という“応急処置”の考え方がヒントになります。
そして独自視点として強調したいのは、「施肥設計の失敗は、肥料の種類より“根の活動”で起きる」点です。島根県の指針がわざわざ中耕に触れているのは、踏圧で新根が出ないと、良い肥料を入れても吸えないからです。 肥料の議論が堂々巡りになる園は、まず通路・樹列の踏圧、排水、表層の硬さを疑い、“吸える土”を作った上で施肥量を微調整すると、同じ作業でも結果が出やすくなります。
施肥を「作業」ではなく「設計」に変えるために、最低限やると効果が大きいのはこの3つです。
施肥基準・土壌診断・減肥の考え方(どこをどう見直すか)
農林水産省:都道府県施肥基準等
カキの施肥時期・成園の施肥例(N・P・K・苦土の目安)、吸収量データ、秋肥過多による着色不良・成熟遅延、石灰過剰と土壌pHの注意点
島根県:施肥管理(カキ)

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