イネツトムシ農薬の選び方と防除タイミングを解説

イネツトムシの被害に悩む農業従事者向けに、効果的な農薬の種類・使い方・防除タイミングを解説。農薬を正しく使わないと減収リスクが高まることをご存知ですか?

イネツトムシに効く農薬の選び方と防除のポイント

農薬を散布さえすれば被害はゼロになると思っていたなら、8月中旬に全葉食害で約50%の減収が起きます。


🌾 イネツトムシ農薬:この記事でわかること
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イネツトムシとは何者か

イチモンジセセリの幼虫。葉を筒状に丸めて食害し、放置すると収量に深刻なダメージを与えます。

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農薬の種類と使い分け

育苗箱処理剤・水面施用剤・茎葉散布剤など、場面ごとに有効な農薬が異なります。 正しい選択が防除成功のカギです。

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防除タイミングと判断基準

8月上旬、株当たり若齢幼虫1〜2頭が防除開始の目安。タイミングを外すと農薬効果が大幅に下がります。

イネツトムシの生態と被害の仕組みを知る


イネツトムシは、チョウ目セセリチョウ科のイチモンジセセリ(学名:Parnara guttata guttata)の幼虫です。 稲の葉を葉巻き状に丸め、筒(つと)をつくりながら内部で食害するため、外見からは被害の進行が分かりにくいという特徴があります。


参考)イネツトムシ[イチモンジセセリ]


被害が深刻な場合、8月中旬に全葉が食害されると収量が約50%減少し、半分が食われても約10%の減収になります。 コシヒカリ10aあたりの収量を500kgとすると、最悪ケースでは250kg・金額にして数万円規模の損失につながります。


つまり発見が遅れると大きな痛手です。



幼虫はふ化後まず葉を筒状に丸め、成長すると葉を数枚綴り合わせてより大きな苞(つと)をつくります。 夜間に食害するため日中のほ場観察だけでは被害を見逃しやすい点に注意が必要です。成長した中・老齢幼虫になると農薬の効きも悪くなります。


🔍 発生が多い条件まとめ

  • 多肥・晩期栽培で茎葉が軟化したほ場
  • 直播栽培で生育が遅れている稲
  • 暖冬年は越冬幼虫が多く翌夏の発生が増加
  • 窒素過多のほ場(柔らかい組織を好む)

若齢幼虫の段階が防除の好機です。


🔗 イネツトムシ(イチモンジセセリ)の被害・発生・防除の詳細解説(農業害虫・病害防除情報)

イネツトムシ農薬の種類と有効成分の選び方

イネツトムシに登録がある農薬は複数系統あり、場面や栽培方法によって使い分けが必要です。 同じ成分を繰り返し使うと薬剤抵抗性が発達するリスクもあるため、系統を変えたローテーション散布が推奨されています。


これが基本です。



参考)https://www.jppn.ne.jp/jpp/s_mokuji/20170804.pdf


農薬名(代表例) 有効成分・系統 使用場面
パダンSG水溶剤 カルタップ(ネライストキシン系)

茎葉散布
参考)https://www.greenjapan.co.jp/padan_sy.htm

パダン粒剤4 カルタップ(ネライストキシン系)

水面施用
参考)パダン®粒剤4|製品を探す|製品を探す|協友アグリ株式会社

スミチオン乳剤 MEP(有機リン系

茎葉散布
参考)日農スミチオン乳剤

ミネクトスター顆粒水和剤 シアントラニリプロール(ジアミド系)

茎葉・育苗
参考)ミネクトスター顆粒水和剤|シンジェンタジャパンの農業用製品(…

スピネトラム水和剤 スピネトラム(スピノシン系) 茎葉散布
BT水和剤 バチルス・チューリンゲンシス 茎葉散布

とくに注目したいのが、スピネトラム水和剤とBT水和剤です。 この2剤は散布4日後の時点で幼虫密度が大幅に低下しており、速効性が確認されています。 BT水和剤は天然由来成分のため、特別栽培農産物の生産でも使用しやすいメリットがあります。


また、クロラントラニリプロール(ジアミド系)を有効成分とする育苗箱処理剤は、移植前に箱施用するだけで本田での食害を抑える効果があり、省力化にもつながります。 育苗箱処理が使える状況なら、まずこの選択肢を検討すると効率的です。


🔗 イネツトムシの薬剤防除に関する試験結果(各農薬の密度抑制効果比較)|植物防疫 第71巻8号

イネツトムシ防除の失敗例:農薬散布しても死なない理由

「パダンSG水溶剤を散布したのにイネツトムシが死なない」という事例は、現場で実際に報告されています。 散布しても死なない理由は1つではなく、複数の要因が重なることがほとんどです。


意外ですね。



参考)Q&A(農薬):検索結果(害虫名から探す:イネツトムシ)


主な原因として挙げられるのは、幼虫の齢期(成長段階)のミスマッチです。 中齢〜老齢幼虫になると、カルタップ系農薬への感受性が著しく低下します。


若齢幼虫期に散布するのが原則です。


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また、直播栽培では慣行のカルタップ粒剤(4.0%)を使ってきた農家が多いですが、この農薬は直播稲でのイネツトムシに対して効果が十分に得られない事例が報告されています。 従来の農薬がきかないと感じたら、スピネトラム系・BT剤・ジアミド系への切り替えを検討する価値があります。


🚨 防除失敗の主な原因チェックリスト

散布前後の幼虫密度を記録しておくと、次作以降の農薬選択に役立ちます。


防除タイミングと発生予察の実践的な方法

農薬の効果を最大化するには、散布タイミングの精度が非常に重要です。防除の目安は、8月上旬に株当たり若齢幼虫1〜2頭が確認された段階です。


これだけ覚えておけばOKです。



発生量の予察には、ヒャクニチソウやアカツメクサなどの誘致花に集まる成虫を数える方法が伝統的に行われてきました。 最近では濃青色・香料入り誘引箱や黄色粘着板を使った成虫捕獲が予察に活用されており、より定量的な把握が可能になっています。


発生サイクルも把握しておくと、見逃しリスクが減ります。イネツトムシ(イチモンジセセリ)は年3〜4回発生し、5月に成虫が羽化して早期稲に産卵を始めます。 暖冬の翌年は越冬幼虫が多くなるため、例年より早めの調査開始が推奨されます。


🌡 発生予察のポイント(時系列)

  • 5月:成虫が羽化・早期稲に産卵開始
  • 7月下旬〜8月上旬:第2世代若齢幼虫の発生(防除適期)
  • 8月中旬:被害が表面化しやすい時期(手遅れになりやすい)

防除適期を逃さないために、7月下旬から週1回の巡回調査を習慣にすることが有効です。


直播栽培とイネツトムシ:慣行農法より高い被害リスク

直播栽培は省力・低コストとして普及が進んでいますが、イネツトムシの被害リスクが移植栽培より高い点を見落としている農家が多くいます。 これは直播稲が生育の遅れにより茎葉が長期間軟らかい状態を保つためで、幼虫にとって格好の食害環境になります。


直播稲ではこれまでカルタップ粒剤が広く使われてきましたが、防除効果が不十分な事例が積み重なっており、代替農薬の検討が求められています。 カルタップの密度抑制効果が試験で「55〜73」と低い数値にとどまった報告もあります。


直播なら農薬の見直しが必要です。



代替候補として有望なのが、クロラントラニリプロールを有効成分とする育苗箱処理剤や、スピネトラム水和剤です。 育苗段階で処理できる箱施用剤は省力的かつ高い防除効果が期待できるため、直播でも活用できる製品の登録状況を農薬登録情報提供システム(農林水産省)で確認しておくことをお勧めします。


また、直播栽培では窒素施肥量を抑えることで茎葉の軟化を防ぎ、イネツトムシの誘引そのものを減らす農法的な回避策も有効です。 農薬だけでなく、栽培管理との組み合わせで総合的に防除する意識が重要です。


🔗 パダン粒剤4の製品情報(コブノメイガ・イネツトムシへの水面施用剤として)|協友アグリ株式会社

農薬使用回数・安全使用基準を守ることの重要性

農薬を使う際、「多く散布するほど効く」と考えて使用回数や希釈倍率を無視すると、農薬取締法違反になり農産物の出荷停止リスクがあります。


法的リスクは見過ごせません。



例えばスミチオン乳剤(MEP剤)には、本田での使用は2回まで・収穫21日前までという制限があります。 MEP剤全体の使用回数上限(3回:種もみ処理1回+育苗箱1回+本田2回)も定められており、複数のMEP系農薬を組み合わせて使う場合は合算でカウントする必要があります。


農薬ラベルに記載された希釈倍率・散布液量・使用時期・使用回数は必ず守ることが条件です。違反が発覚すると、JAや卸業者への出荷停止・ブランド稲の認証取り消しなど経済的損失に直結します。農薬の正しい使用記録(農薬使用履歴)を圃場ごとに残しておくと、万一の検査に対応できます。


📋 農薬使用時の必須確認事項

  • 農薬登録の有無(登録外使用は絶対禁止)
  • 収穫前日数の厳守(例:MEP剤は収穫21日前まで)
  • 同成分系統の使用回数合計
  • 希釈倍率・散布液量の遵守
  • 農薬使用履歴の記帳(農業経営体は義務化されています)

農林水産省の農薬登録情報提供システム「農薬ナビ」では、作物ごとの登録農薬と使用基準を無料で確認できます。散布前に必ず最新の登録情報をチェックする習慣をつけてください。






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