ホオズキカメムシは、成虫・幼虫ともに新梢や茎を吸汁し、寄生密度が高いとしおれることがあるタイプです。
ただし現場感としては「被害が軽微で見過ごされる年」と「条件が重なって急に増える年」があり、後者で慌てやすい害虫でもあります。
発生の流れは、成虫が枯れ草の中などで越冬して4月下旬頃に出現し、新成虫は8月頃から出現、年2回程度の発生と整理されます。
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さらに、雌が草上で集団を作り、1頭の雄が防衛して交尾する「ハレム」を作る、雌は葉裏に10~30粒を一塊に産卵する、2齢幼虫から摂食を始める、といった行動が特徴です。
この“集団性”が厄介で、最初は局所にまとまって見え、気付いた時点で既に株の一部が弱っていることがあります。
逆に言うと、見回りで「集団の固まり」を早めに見つけた瞬間が、農薬に頼らない対策(叩き落とし・捕殺・忌避)を効かせる最大のチャンスになります。
加害作物はサツマイモ、ジャガイモ・トマトなどのナス科野菜、タバコ、ナシ類などが挙げられており、作型が多様な地域ほど圃場周辺での“居場所”が増えがちです。
また「夏季の高温乾燥が続いた年に多発する傾向」とされるため、梅雨明け後に乾きが続く年は、例年の感覚より早めに警戒を上げた方が安全です。
ここで重要な現実として、本種そのものに対する登録薬剤はない、と整理されている資料もあります。
つまり、作物側の「カメムシ類」や周辺害虫としての登録に頼る局面はあり得ますが、基本は耕種・物理・“家庭資材系の工夫”を組み合わせたIPM発想で、被害を“詰ませない”運用が必要です。
コーヒーを使う狙いは大きく2つで、カフェインによる作用と、コーヒーの苦味成分が嗅覚を刺激して近づきにくくする、という考え方で語られることが多いです。
農業現場で扱う場合は「一発で全滅」を狙うより、寄り付きにくくして発生の山を崩す、という位置づけの方が失敗しません。
コーヒースプレーの作り方として紹介される手順は、通常の1.5倍のコーヒー粉で濃い目に淹れて冷まし、コーヒーと水を1:2で薄め、スプレーボトルに入れる、というものです。
この方法は“作りやすさ”がメリットですが、圃場で重要なのは「作った液を何に、どの頻度で当てるか」です。
ポイントとして、1回で終わりではなく2週間程度継続して吹きかける、という運用が推奨される例があります。
さらに別の注意として、濃度が濃すぎると、かえっておびき寄せる可能性がある、という指摘もあり、濃度調整が重要とされています。
圃場での実務に落とすなら、次のように考えると扱いやすいです。
意外に見落としがちなのは「散布タイミング」で、日中高温時に濡らすと葉面の負担が増えやすいので、朝夕の涼しい時間帯に寄せる方が運用上ラクです(試験散布もしやすいです)。
コーヒーの使い方はスプレーだけでなく、乾燥させたコーヒーカスを撒く方法、容器に入れたコーヒーカスを置く方法が紹介されています。
農地で扱うなら「散布」と「設置」は意味が違い、散布は土や作物に触れる、設置は触れさせず“周辺の空間”に効かせる、という発想で分けると事故が減ります。
コーヒーカス散布は手軽ですが、場所によっては酸性で悪影響が出る場合がある、と注意されています。
また、過剰に撒くと土壌のpHバランスが崩れて栄養吸収に影響が出る、という指摘もあるため、撒くなら“線で薄く”が基本です。
そこで現場で使いやすいのが「カス設置」です。
窓やドアの近くに置くと侵入を防ぎやすい、土に触れないため庭や畑にもおすすめ、という考え方が示されています。
農業従事者向けに言い換えると、圃場なら「周辺から侵入する」性質があるため、侵入ルート(圃場外周、雑草地側、通路側)に寄せて置き、“圃場内で増やさない”方向に働かせる、という使い方になります。
ただし、コーヒーカスは湿っているとカビが発生しやすい、という注意があり、雨よけや交換頻度の設計が必要です。
露地なら、雨が当たらない場所(資材置き場の軒下、ハウスの妻面の内側、通路の支柱付近など)に置く方がメンテ負荷が下がります。
コーヒー対策は“安全そう”に見えますが、使い方を誤ると別のコストが増えます。
まず大事なのが濃度で、濃すぎるとおびき寄せる可能性がある、薄すぎると効果が出ない、というジレンマがあるため、一定のレシピでブレを減らすのが現場向きです。
散布頻度については、2週間程度継続、さらに具体例として2日に1回散布という目安が示されることがあります。
農繁期にこの頻度を回すのが難しい場合は、「端株・侵入側だけ高頻度」「圃場全体は低頻度」といったメリハリ運用にして、続けられる設計に落としてください。
土への影響も無視できず、コーヒーを過剰に撒くと土壌pHバランスが崩れ、植物の栄養吸収に影響が出るとされています。
つまり“効かせたいから多めに”が逆効果になりやすく、特に連作で土が偏りやすい圃場ほど、散布は最小限の面積・回数に抑え、設置型に寄せる方が安全です。
もう一つ、意外に事故が多いのが「植物の相性」で、酸性を嫌う植物にスプレーをかけると悪影響のおそれがあるため、事前に少量を試して24時間後の変化を見る、という手順が勧められています。
農業では“品目だけでなく品種差、株の若さ、乾燥ストレスの有無”でも反応が変わり得るので、最初の1回は必ずテスト散布にして、記録(濃度・天候・時間帯)を残すと上司チェックにも耐えます。
参考:ホオズキカメムシの発生(越冬・出現時期)、防除(除草)、登録薬剤の有無の整理
https://boujo.net/handbook/newhandbook15/%E3%83%9B%E3%82%AA%E3%82%BA%E3%82%AD%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A0%E3%82%B7.html
参考:コーヒースプレーの作り方(1.5倍抽出→1:2希釈)、2週間継続、濃度調整や土壌pH・カビなどの注意点
https://rescue.epark.jp/columns/gaichu/2064
ホオズキカメムシは圃場周辺の雑草地から侵入するため、除草などを行う、という方針が明確に示されています。
コーヒーが効く・効かない以前に、侵入源を太らせると毎週“補給”されてしまい、いくらスプレーしても追いつきません。
ここで独自視点としておすすめしたいのが、「コーヒーは圃場の内側で戦う道具」ではなく、「外周で侵入を遅らせる道具」として設計することです。
具体的には、外周の雑草管理を基本にしつつ、作業動線上で無理なく維持できるポイント(通路入口、風下側の角、資材置き場付近)に“カス設置”を置き、侵入ルートを分断していきます。
また、本種は年2回程度の発生、成虫越冬→4月下旬出現→8月頃に新成虫、という流れなので、外周強化は「春の立ち上がり」と「夏の新成虫前」の2回に山を作ると効果を感じやすいです。
夏季の高温乾燥が続く年に多発する傾向もあるため、乾燥が続き始めたら外周の点検頻度を上げ、集団が見えた株は密度を落としてから“寄せ付けない運用”に切り替える、という手順が再現性を上げます。
最後に、上司チェックで突っ込まれやすい点を先回りしておくと、「コーヒーは登録農薬ではないため、効能を断定せず、あくまで補助的な対策として位置づけ、ラベル遵守が必要な農薬と混同しない」ことが重要です。
この線引きを文中で明確にしておくと、現場の安全配慮としても説得力が出ます。