サツマイモ圃場で夏以降に目立つ食害は、ナカジロシタバやハスモンヨトウの幼虫が葉を食べることで起きます。
特にナカジロシタバが多発すると、短期間で葉脈だけを残して食い尽くすことがあり、収量・品質の低下につながるため「気づいた時点で遅い」を前提に備えます。
発生時期の目安は6~11月で、ピークは8~10月とされるので、この時期は見回り頻度を上げてください。
実務で効くポイントは「虫齢の見極め」です。ハスモンヨトウは1~3齢幼虫には薬剤が効きやすい一方、6齢幼虫になると効きにくいと整理されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/1550f4ad7242885bb6c96b15d13587b2386600c5
ナカジロシタバも若齢~中齢の段階で、できるだけ薬剤防除を行うことが重要とされています。
つまり、同じ薬剤でも“効かない”のではなく“時期が遅い”だけのケースが現場では頻発します。
早期発見のコツは、葉の裏も含めて「卵塊」「若齢幼虫の集団食(表皮だけ残す食害)」を探すことです。
卵塊や若齢幼虫がついた葉は、見つけ次第摘み取り処分する方法も推奨されています。
薬剤散布に頼り切らず、手で潰せる段階で母数を落とすと、その後の散布回数の節約にも直結します。
薬剤散布を行う場合も、いきなり散布ではなく「圃場観察→発生状況確認→若齢優先→必要最小限で散布」という順序が基本です。
そして当然ですが、希釈倍率などは説明書をよく読み、間違いがないよう注意が必要と明記されています。
希釈を濃くすれば効く、という考えは事故の原因になりやすく、ドリフトや残留にも跳ね返るため、ここは職人芸ではなく基準遵守が最短です。
農薬は「使えるかどうか」より前に、「その作物に登録されているかどうか」で可否が決まります。鉾田市の資料でも、かんしょに使用できる農薬は「野菜類」「いも類」「かんしょ」に登録のある農薬だと明記されています。
この“登録作物名の縛り”を外すと、たとえ効果があっても使用基準違反になり、出荷・取引リスクが一気に上がります。
現場では「同じ害虫に効く薬が複数ある」より、「収穫前日数」「本剤使用回数」「同一有効成分の総使用回数」で詰まることが多いです。鉾田市の一覧表は、対象害虫ごとに希釈倍数、散布液量、使用時期、回数、作用機構(分類コード)までセットで載せています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/747536609036e3f5300e61331c5cab072c615d3c
例えばナカジロシタバ・ハスモンヨトウといった“葉を食う系”だけでなく、コガネムシ類幼虫、ネキリムシ類、センチュウ類など土壌害虫・土壌病害虫まで一枚で俯瞰できます。
ここを見ながら、圃場の主犯が「葉」か「土」かで、薬剤の型(散布か土壌混和か)を切り替えると無駄打ちが減ります。
ローテーションも、言い方を変えると「同じ作用機構に寄せない」だけです。鉾田市の資料は、分類コード(作用機構別)を示し、異なる数字・記号の薬剤でローテーション防除を心がけるよう注意喚起しています。
この“分類コードを見て回す”運用にすると、担当者が変わってもブレにくいです。
さらに、同一成分を含む剤の併用不可や回数カウントの注意も記載されています(例:同一成分で併用不可、総使用回数の注意など)。
また、散布そのものだけでなく、ドリフト対策も“害虫防除の一部”として扱うべきです。鉾田市の資料は、風向・風速・散布位置・ノズルの向きに注意し、周辺作物に農薬が飛散しないよう注意すること、特に周辺作物が収穫期に近い場合は栽培者と情報交換が重要だとしています。
害虫は防げても、ドリフト事故で信頼を失うと経営ダメージが大きいので、散布前に隣接作物の状況確認をルーチン化してください。
農薬の適用確認は、結局ラベルが最優先です。大阪のJAの注意喚起では、登録農薬のラベル右肩に「農林水産省登録第○○○号」が必ず表記され、その表記がないものは農薬ではないため防除に使わないよう呼びかけています。
参考)「正しく農薬を使いましょう」 - 大阪で農業っておもろいやん…
同じ注意喚起で、散布したいときはまずラベルを確認し、これから散布する作物が適用作物に入っていなければ散布できないと明確に書かれています。
記帳簿(散布記録)で収穫前日数や総使用回数を確認し、回数オーバーを防ぐという運用も示されています。
参考リンク(登録の考え方・ラベル確認の根拠、適用作物が無いと使えない)。
正しく農薬を使いましょう(ラベルの登録番号、適用作物の確認、記帳で回数管理)
サツマイモの虫害で厄介なのは、葉の上で見える虫だけではありません。コガネムシ類幼虫やネキリムシ類のような土壌害虫は、地上部の症状が出た時には根・塊根側のダメージが進んでいることがあります。
このタイプは「散布」で何とかしようとしても限界が出やすく、土壌混和や植溝処理など“土の中に効かせる設計”が前提になります。
鉾田市のかんしょ用一覧表には、コガネムシ類・コガネムシ類幼虫・ハリガネムシ類・ネキリムシ類などに対して、植付前の全面土壌混和、作条土壌混和、植溝処理といった使用方法が具体的に並んでいます。
同じ資料の中で、フォース粒剤(有効成分テフルトリン)について、ネキリムシ類に対し植付前の全面土壌混和/作条土壌混和、また生育中の作条処理して軽く覆土といった運用例が記載されています。
ここから分かるのは、「見えてから散布」ではなく「植付前から仕込む」発想が必要な害虫群が確実にいるということです。
土壌害虫対策で見落とされがちなのが、畑の中の“発生ムラ”です。例えば同じ畑でも、前作残渣が多い場所、草が多い畦間、湿りやすい場所などで発生が偏り、そこから被害が広がります。
このため、全面一律の対策だけでなく「被害株・怪しい列を中心に掘って幼虫の有無を確認→次作で重点処理」という流れを回すと、農薬コストが同じでも被害を減らしやすくなります。
もう一つの現場要点は、土壌処理剤は“混ぜ方”で効きが変わることです。鉾田市の資料は、全面散布後土壌混和、作条土壌混和など混和を前提にした記載が多く、処理の成立条件が「土の中に均一に入る」ことだと読み取れます。
混和が浅い・ムラがあると、効いた所と効かなかった所が生まれ、残った個体群が次の世代を作ります。
結果として「薬を使ったのに翌年も多い」という評価になりますが、原因が薬剤選択ではなく施工品質のことも多いので、散布機・施肥機・ロータリーの組み合わせまで含めて点検してください。
アリモドキゾウムシは、地域によっては“侵入・まん延を絶対に避けたい”レベルの重要害虫として扱われます。植物防疫所の解説では、防除として、発生源周辺の寄主植物を残渣まで残さず除去し、焼却等することが重要とされます。
さらに発生地域では予防防除として植え付け前の薬剤散布が有効で、クロルピルホス粒剤や、フェロモン誘引剤の混合剤(MEP・スウィートビルア油/粒剤等)が農薬登録されていると説明されています。
ここで重要なのは、アリモドキゾウムシ対策が「薬剤だけ」では成立しにくい点です。
参考)アリモドキゾウムシの解説:植物防疫所
寄主植物や残渣の扱いが甘いと、圃場外の発生源が残り、圃場内で薬剤を入れても再侵入・再増殖が起きます。
つまり、薬剤は“最後の一手”というより、“侵入圧を下げる施策群の一部”として組み込むのが現実的です。
また、フェロモン誘引剤が絡む体系は「効けばラッキー」ではなく、作業計画に落とし込む価値があります。誘引で密度を下げ、植付前処理で初期侵入を抑え、圃場内の寄主雑草や残渣を減らして増殖場を潰す、という役割分担がしやすいからです。
薬剤抵抗性の議論以前に、そもそも圃場に入る個体数を減らせば、散布回数を増やさずに被害が下がります。
参考リンク(アリモドキゾウムシの防除、植付前処理とフェロモン剤の登録例)。
アリモドキゾウムシの解説:植物防疫所(防除の考え方、登録例)
検索上位の“害虫の種類・薬剤名まとめ”は便利ですが、実は現場トラブルの多くは「効かない」ではなく「使い方の地雷」を踏むことです。
その代表が、(1) 適用作物の勘違い、(2) 収穫前日数の見落とし、(3) 総使用回数の超過、(4) ドリフト、の4点です。
まず適用作物の確認はラベルが絶対で、登録番号のない資材は農薬ではないため防除に使わない、という原則が示されています。
そして、散布したい作物名がラベルの適用作物に含まれないなら散布できない、と明確に書かれています。
「これ、別作物で使って効果あったから…」が一番危険で、害虫被害より大きい損失(出荷停止、信用低下)につながり得ます。
次に回数・日数は、記帳で防げます。大阪のJAの注意喚起では、記帳簿を使うと登録確認だけでなく、収穫前使用日数や総使用回数などの基準も示され、散布前に確認して回数オーバーを防ぐ運用が紹介されています。
この運用が効くのは、忙しい時期ほど“前回いつ撒いたか”が曖昧になり、同系統や同一成分を重ねてしまうからです。
個人の記憶に頼ると必ずブレるので、圃場別・剤別・有効成分別のどれか一つでも、必ず記録が残る形にしてください。
最後にドリフトは、害虫防除と同列の“事故防止項目”です。鉾田市の資料は、風向・風速・散布位置・ノズルの向き等に注意し、周辺作物に飛散しないよう注意すること、特に周辺作物が収穫期に近い場合は栽培者と情報交換が重要だと具体的に示しています。
ここは技術というより、散布前の確認とコミュニケーションの問題で、仕組み化すれば再現性が出ます。
例えば「散布前チェック表(風、隣接作物、ノズル、散布方向、希釈、回数)」を作って、作業者が変わっても同じ品質で回るようにすると、結果的に害虫防除も安定します。

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