白菜の追肥タイミングで最初に外せないのが、本葉展開期(植えつけ後およそ2週間)です。目安は「本葉が10枚前後」で、この時期の追肥は外葉を太らせる山場として位置づけられています。外葉が充実しないと、その後の結球に使う“材料(同化産物)”が足りず、玉が締まらない・小さいといった結果につながりやすくなります。
現場での判断は、カレンダーよりも「葉数+根の活着」で見るのが安定します。定植直後は根がまだ浅く、養分を強く当てすぎると根を傷めたり、逆に遠すぎて吸えなかったりします。したがって1回目追肥は、株の周囲に薄くまき、軽く土と混ぜたうえで土寄せ(浅め)をするのが基本です。
量の目安としては、地植えなら1株あたり7〜10g程度、または1㎡あたり30g程度という基準が提示されています。ここで重要なのは、追肥の“量”そのものより、「遅らせない」ことです。1回目が遅れると外葉の立ち上がりが鈍り、結球のスイッチが入る頃に葉数が足りない状態になりがちです。
実務のコツとして、追肥をまいた直後に葉に付着した粒は必ず落としてください。肥料が葉の上に残ると肥料焼けの原因になり、特に白菜は葉が重なって取り除きにくいので、作業中のひと手間が後々の欠株リスクを下げます。
参考:追肥の基本タイミング(本葉展開期=植えつけ後2週間、本葉10枚前後)と施肥量目安
https://www.hyponex.co.jp/plantia/plantia-26969/
2回目の白菜追肥タイミングは、結球開始期(植えつけ後3〜4週間)が軸です。見分け方は「中心の葉が巻き始めたら」で、さらに上から見てマルチが見えなくなる直前が目安として示されています。結球の入口で追肥を外すと、玉の太りが止まったり、締まりが弱くなったりしやすいので、結球の“兆し”を見逃さない観察が大切です。
この段階になると根が広がるため、施肥位置の考え方が変わります。株元に集中させるより、株間や畝の肩(通路側)にまいて土と混ぜるのがコツです。株元近くにドサッと置くと根を傷めるだけでなく、雨後の濃度障害や、局所的な過繁茂を招くことがあります。
また、2回目追肥は中耕とセットで考えると効果が上がります。中耕で土に空気が入り、根の張りが促されます。ただし白菜の根は細く切れやすいので、深く入れすぎず、畝肩〜条間を中心に浅く動かすイメージが安全です。
この時期の追肥量は、1回目と同程度を目安にする運用が一般的です。もし元肥が多めで、葉色が濃く勢いが強い圃場なら“同量を必ず入れる”のではなく、葉色と伸びを見て少し控えめにしても整合します。逆に、葉が小さく黄緑寄りで伸びが鈍い場合は、結球に入る前に不足を埋めないと取り返しが難しいため、早めの追肥が有効です。
参考:結球開始期(植えつけ後3〜4週間、中心葉が巻き始め)と施肥位置(株間・畝肩)
https://www.hyponex.co.jp/plantia/plantia-26969/
3回目の白菜追肥タイミングは、結球期(植えつけ後5〜6週間)で「玉が固くなり始めたら」が目安です。ただし、ここは全員が必須ではありません。晩生が主対象で、早生種やミニ白菜では不要なことが多い、という前提を押さえると判断がブレません。
3回目を入れる目的は、玉が太る後半での肥料切れを防ぐことです。一方、後半の追肥は「効けば効くほど良い」ではなく、過多に振れると徒長や品質低下につながるリスクも出ます。特に窒素を強く当てると葉が過繁茂になって締まりが悪くなり、結果として収量・規格が崩れることがあります。
施し方は2回目と同じで、株が傷つきやすい時期なので株元は避け、畝の肩や株間へ施します。作業のときに玉や外葉を引っ掛けて傷をつけると、そこから傷みが進むこともあるため、追肥は短時間で雑に終えるより、丁寧に“当てない作業導線”を組む方が結果的にロスが減ります。
現場の回数設計としては、中生〜晩生で追肥3回が一般的、早生は1〜2回で足りることもある、という整理が使いやすいです。品種の特性(生育日数)と、圃場の地力・元肥量で必要回数は変わるので、「3回やらないと不安」ではなく、「必要な山場を逃さない」考え方に切り替えると安定します。
参考:結球期(植えつけ後5〜6週間)・3回目追肥は晩生中心、回数は品種で変わる
https://www.hyponex.co.jp/plantia/plantia-26969/
白菜追肥タイミングを“当て勘”にしないためには、サイン管理が一番効きます。肥料不足では、葉が薄い黄緑色になる、葉が小さく硬くなる、生育が遅れるといった変化が出やすいとされています。外葉が小さいまま結球期に入ると玉が充実しにくいので、不足サインが出たら追肥で早めに補う、という判断が理にかなっています。
一方で肥料過多、とくに窒素過多は要注意です。葉色が不自然に濃くなり、徒長して結球しにくくなる可能性があるほか、チッソ分が多い肥料を与えすぎると「ゴマ症」が起こりやすくなる、という指摘もあります。現場では「勢いがある=成功」ではなく、「必要な時期に必要な量が吸えている=成功」と捉える方が品質は揃います。
対策の基本は、施肥量の目安を意識して“一度にまとめて与えない”ことです。症状が見えたら次回の追肥を控えめにし、回復の様子を見ながら少量ずつ調整する方が、安全に着地します。追肥は強い薬のようなもので、遅れて足すより、早めに薄く刻む方が事故が少ないと覚えると運用しやすいです。
加えて、追肥をまく際は必ず葉に落とさない(落ちたら落とす)ことも、サイン以前の事故防止として重要です。葉上に残ると肥料焼けを起こす、という注意点は見落とされがちですが、忙しい圃場ほど差が出ます。
参考:肥料不足サイン/肥料過多サイン(ゴマ症、徒長)と調整の考え方
https://www.hyponex.co.jp/plantia/plantia-26969/
白菜追肥タイミングを現場でブレなく回すには、「追肥だけを単独作業にしない」設計が効きます。追肥と同時に中耕・除草を行うと、土に空気が入り根が元気に伸びる、という整理がされており、追肥が“効く環境”まで一緒に整えられます。ここを別日にすると、忙しさで中耕が抜けたり、逆に中耕だけやって追肥が遅れたりして、山場を逃しやすくなります。
さらに実務的に大きいのが、防除との噛み合わせです。白菜は食害が激しいと外葉が育たず、結球に必要な外葉の確保ができなくなります。つまり追肥を正しく入れても、虫に外葉を削られると“追肥の効果が結球に変換されない”状況になり得ます。結球開始前に防除を徹底することが大切、という考え方は、追肥タイミングと表裏一体です。
作業を1日にまとめるときの実践例を示します(入れ子にしない箇条書きで整理します)。
この“作業設計”は検索上位にある「何週目」「何回目」の話より地味ですが、収量と品質のブレを減らす独自の打ち手になります。追肥タイミングは知識として知っていても、圃場では「今日できるか」「他作業とセットにできるか」で結果が決まる場面が多いからです。
参考:追肥と同時の中耕・除草、結球開始前の防除の重要性
https://agri.mynavi.jp/2019_09_08_87046/