白菜は生育期間が長く、初期から外葉をしっかり作って葉数を稼ぐ作物なので、元肥で「土の中の持久力」を作るのが基本です。
元肥は、播種または定植の約10日前に全層へ施して耕起・うね立てを行う、という組み立てが紹介されています(元肥→耕起→うね立ての流れ)。
現場でブレやすいのは「元肥を早く入れすぎる/直前すぎる」の両極で、前者は雨で流亡・地温で分解が進み過ぎ、後者は根が張る前に濃度障害を起こしやすい点です。
有機質(堆肥や油かす)を使う場合は分解に時間が要るので、定植前に混和して土となじませ、根が伸びる層に均一に効かせる意識が重要です(例として、完熟堆肥・油かす・化成肥料をうね全面に散布して深さ約20cmに耕し込む方法が示されています)。
意外な盲点として、元肥の「量」よりも「作土の状態」が先に効いてしまうケースがあります。根が繊細で深く入るため、排水が悪いと根が湿害で傷み、生育不良に直結するため、肥料設計以前に圃場の排水性と耕土の深さを優先して整えます。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/bfa6f29a07590149bec0cef618e83d5afb4352b5
元肥設計の現実解は、土壌診断があるならそれを基準に加減し、ない場合でも「堆肥で物理性を上げ、化成で初期を支え、有機で中盤までつなぐ」と役割分担させることです。
参考:元肥と追肥の時期・施肥例(10㎡当たりの元肥と追肥量の例)
ヤンマー「ハクサイ」:元肥は播種/定植の10日前、追肥の時期、10㎡当たりの施肥例がまとまっています
白菜の追肥は「生育初期に肥料切れさせない」ことが強調されており、速効性肥料を早めに入れて初期の伸びを止めないのが定石です。
目安の一つとして、1回目は9月下旬、2回目は葉が巻き始めた10月中旬に株間へ、というカレンダー型の例が示されています(地域・作型で前後しますが、時期設定の考え方として使えます)。
もう一つの鉄板は「定植後の日数」で、定植後約半月で1回目、そこから15〜20日間隔で2回目・3回目という“日数基準”の運用です。
この日数運用の利点は、天候で生育が前後しても“やるべき作業の並び”が崩れにくく、追肥の遅れが起点になる結球不良を減らせる点にあります。
一方で、追肥の「打ち止め」も品質に効きます。収穫期に肥料が残らない状態にすると結球後の日持ちが良くなる、という考え方が示されているため、結球の山場を過ぎたらズルズル追肥しない判断も重要です。
追肥の現場チェックとしては、次を“毎回同じ順番”で見ます(入れ子なしの箇条書き)。
参考:追肥は3回を目安、時期(植え付け後約半月→15〜20日後→さらに15〜20日後)と施し方(位置・土寄せ)が具体的です
タキイ「ハクサイの植え付けと肥料の施し方」:追肥3回のタイミングと、与える位置・土寄せの注意点が載っています
施肥量は土質・前作・堆肥投入歴で変わるため、ここでは「何を、どの場面で効かせるか」に絞って組み立てます。
例として、10㎡当たりで苦土石灰、ナタネ油かす(5-2-1)、高度化成肥料(14-10-13)を元肥と追肥に配分するモデルが示されています(元肥1回+追肥2回の配分例)。
油かすはゆっくり効きやすく、化成肥料は狙った時期に効かせやすいので、追肥で「今から伸ばしたい」局面では化成中心に寄せると調整が楽です。
追肥のやり方としては、株周りにばらまいて軽く土に混ぜる方法、畝の片側に帯状に溝を切って入れて土寄せする方法などが示されており、根の位置を意識して“根先がある帯”に入れるのがポイントです。
また、作業性だけで株元に近づけ過ぎると、濃度障害や根傷みで生育が止まりやすくなります。
資料では施肥位置の目安として「白い根の先が少し現れるぐらいの位置が最適」と表現されており、追肥は“株元”ではなく“根の伸び先”に合わせる意識が収量に効きます。
現場で迷う「苦土石灰」については、施肥例の中で元肥の前段として登場しており、酸度矯正・苦土補給の位置づけで、元肥と同時にどさっと入れるよりも、土づくりの工程として計画的に入れる発想が安全です。
肥料の種類や施用量は慣行法と畑の肥痩で調整が必要、と明記されているため、前年の玉の重さ・外葉量・病害の出方を記録して翌年の“加減表”を作るのが実務的です。
追肥設計の失敗は、だいたい「肥料切れ」か「窒素過多」のどちらかに寄ります。
肥料切れは外葉が伸びず、結球に必要な葉数と面積が不足し、玉が巻かない・軽いという形で遅れて効いてきます(結球の前に外葉づくりが山場になるため)。
逆に窒素過多は、その場では葉色が良く見えますが、遅れて品質・病害リスクで回収されます。
資料でも、収穫期に肥料が残らない状態にすると日持ちが良くなる、とされているため、結球後半に窒素を追い続ける運用は見直し対象になります。
対策は「タイミングを戻す」よりも「圃場条件を整える」方が効く場面が多いです。
特に強雨後に植え溝に水が溜まると根が湿害で傷み、地上部も生気を失う、とされており、こうなると追肥を足しても吸えないので、排水対策を先に打ちます。
即効の現場対処としては次を基本にします(入れ子なし)。
検索上位の多くは「追肥は何回・いつ」とカレンダーで説明しますが、現場のブレを減らすなら、実際に根を見て追肥判断するのが強いです。
資料では、生育が思わしくないときは移植ゴテ等で株元へ掘り進め、根がどの付近まで伸びているか、白くてきれいな細根が多いかを調べる必要がある、と書かれています。
さらに、生育が極めて不良なら、根を切らないよう土を多く付けて1〜2株を株ごと掘り起こして調べると、土の乾湿、堆肥や肥料との根のからみ具合、病原菌、ネマトーダの寄生の有無などがよく分かる、とされています。
この「根診断」を追肥の前日〜当日に1回入れるだけで、“肥料が足りない”のか“根が吸えていない”のかを切り分けでき、無駄な追肥(=窒素過多)を避けやすくなります。
実務での運用例(入れ子なし)。