枝豆栽培摘心と本葉と収量と品種

枝豆栽培摘心は本葉の数と時期で結果が変わります。品種や生育の見極め、手順、失敗回避まで現場目線で整理しますが、あなたの圃場ではどこを基準に摘心しますか?

枝豆栽培摘心

枝豆栽培摘心:現場で迷わない判断軸
🌱
本葉で時期を決める

「本葉4〜5枚」を基準に、草丈よりも生育ステージで揃えると判断がブレにくい。

✂️
摘心=万能ではない

早生では増収しない例もあるため、品種と作型で“やる・やらない”を分ける。

🪲
収量は病害虫とセット

側枝が増えるほど管理も増える。カメムシ等の対策を同時に設計して収量を守る。

枝豆栽培摘心の時期は本葉で決める


枝豆栽培摘心の「いつやるか」を草丈だけで決めると、播種日や気温差、圃場の地力差でズレが出ます。そこで基準にしやすいのが「本葉」です。袋栽培の解説でも、定植後に本葉が4〜5枚展開した頃に主茎の芽の先を摘芯し、側枝を伸ばすとされています。根拠が明確な基準があると、作業日程をチームで共有しやすく、バラつきも減ります。


本葉カウントの注意点は「子葉は数えない」ことです。子葉の次から出る葉(複葉)が本葉に当たるため、慣れていない新人ほど数え間違いが起きます。現場では、株の上から見て新しく展開している複葉が何枚あるかを、同じ畝の複数株で平均的に見ます。株ごとの生育差がある場合は、勢いの強い株に合わせて早摘心すると弱い株が置いていかれるので、作業するなら畝全体の“中間層”の株に合わせるのが無難です。


また、摘心は「早ければ早いほど良い」わけではありません。早すぎる摘心は、側枝を出す前の株にとっては体力勝負になり、乾燥や高温、害虫ストレスと重なると生育が止まりやすくなります。逆に遅すぎると、主茎の伸長に資源を振り切った後で、側枝誘導の効率が落ちます。結果として“やったのに増えない”が起きます。だからこそ、草丈ではなく本葉という生育指標で、株が分枝に耐えられる段階を見てから行うのが合理的です。


参考:本葉4〜5枚で摘芯、側枝を伸ばして収量増の考え方(時期と目的)
https://www.takii.co.jp/tsk/fukuro/yasai/edamame.html

枝豆栽培摘心の方法は主茎の芽と側枝を意識する

枝豆栽培摘心の基本はシンプルで、主茎の先端(頂部の芽)を落として、側枝にスイッチを入れる作業です。タキイの解説では「主茎の芽の先を摘芯」して「多くの側枝を伸ばす」とされ、狙いは“マメをつける枝”を増やして収量につなげることです。つまり摘心は、単なる切り作業ではなく、株の構造(枝の数と配置)を設計する作業です。


実務で迷うのが「どこまで切るか」です。結論から言うと、深く切る必要はありません。先端の芽(成長点)を確実に落とすことが重要で、節を丸ごと落とすような強い切り方は、株の回復に時間がかかります。指で摘む場合は、雨上がり直後など株が濡れているタイミングを避け、病気を広げないようにします。ハサミを使うなら刃を清潔にし、複数圃場を回る日は特に意識します(同じ刃で病害を運ぶ事故が一番もったいない)。


摘心後は側枝が伸びますが、枝数が増える=必ず得、でもありません。側枝が増えた結果、株元が込み合って風が抜けにくくなると、病害リスクが上がり、収量が“潜在的にあるのに回収できない”状態になります。摘心を収量アップの道具として使うなら、畝の通風、株間、雑草管理、そして害虫対策までセットで考えた方が、結果が安定します。


ここで役立つのが「摘心は形を作る、収量は管理で回収する」という発想です。摘心そのものは一瞬ですが、その後の管理の難易度を上げる作業でもあります。収量だけを目的にすると、後半で手が回らず、莢が傷む・食害が増える・倒伏する、といった形で取りこぼしが出ます。摘心は“作業量も増える”前提で、作業体系に入れ込むのが安全です。


枝豆栽培摘心と収量は品種で変わる

枝豆栽培摘心は、一般論としては「側枝を増やし、マメをつける枝を増やすことで収量が増える」という整理ができます。実際、栽培解説でも「摘芯をすれば、マメをつける枝が増えるので、収量が増加」と明記されています。しかし、現場の厄介なところは“品種や作型で効きが違う”点です。


権威性のある国内研究として、大阪府の早生エダマメ栽培(品種‘えぞみどり’)で摘心効果を検証した報告があります。そこでは、栽培期間中(第5複葉期)での摘心によって分枝数や分枝節数の増加は認められず、総莢収量も対照区と同程度だったとされています。つまり、早生で摘心を入れても「枝が増える前提」が崩れる場合があり、摘心=増収の公式が成り立たないケースが現実にあります。


ここが重要な判断ポイントです。摘心は“コスト(作業時間)”がかかる作業なので、増収が見込めない条件で入れると、労力だけが増えます。もしあなたの圃場が早生中心で、しかも播種から収穫までがタイトな作型なら、摘心の優先度を下げて、その分を防除潅水、適期収穫に回した方が、可販収量が伸びる可能性があります。


一方で、品種や環境によっては摘心が効きやすいのも事実で、そこがややこしいところです。だから現場でおすすめしたいのは、いきなり全面導入ではなく「同一圃場での小区試験」です。例えば同じ畝で、10mだけ摘心区、10mだけ無摘心区を作り、収穫時に“可販莢収量”で比較します。株が立派に見えるかどうかではなく、最終的に出荷できる莢が増えたかで評価すると、経営判断に直結します。


参考:早生品種‘えぞみどり’では摘心で増収しにくい可能性(分枝数・総莢収量が同程度の結果)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hrj/19/3/19_253/_article/-char/ja/

枝豆栽培摘心の失敗は乾燥とカメムシで起きる

枝豆栽培摘心の“失敗”は、摘心そのものの技術不足より、摘心後の環境ストレスで起きることが多いです。摘心は成長点を落とすため、株は一度、成長の方針転換を迫られます。そのタイミングで乾燥や害虫が重なると、側枝が伸びきらず、結果として莢数が増えない、あるいは莢がついても中身が入らない、といった不満足な結果になります。


乾燥については、枝豆が“水が要らない作物”と誤解されがちな点が落とし穴です。マメ科根粒菌と共生し、窒素肥料を抑えられる一方で、土壌水分が不安定だと生育が止まりやすくなります。タキイの解説でも、潅水は株の生育に合わせて量を増やしていくとされています。摘心後は側枝が伸びる=葉面積が増える段階に入るので、乾燥させるとせっかく作った枝の伸びが鈍ります。


害虫は特にカメムシが要注意です。タキイの解説でも、エダマメにはカメムシがつくことがあり、見つけ次第駆除と書かれています。カメムシは莢の中の子実に直接被害を与えるため、莢数が増えても品質が落ちて可販にならない、という最悪の形で収量が削られます。摘心で枝数・着莢点が増えた圃場ほど、莢が増えて“狙われる場所”も増えるので、防除を後回しにすると損失が大きくなります。


現場で効く対策を箇条書きでまとめます(入れ子にはしません)。


  • 摘心の前後は土壌水分を確認し、強い乾燥が続く予報なら摘心日をずらす。
  • 摘心後は株が込み合うため、畝間の風通しと雑草管理を強化する。
  • カメムシは「見つけたら」ではなく「見つかる前提」で巡回頻度を上げる(早朝の見回りが見つけやすい)。
  • 収穫適期が短いので、摘心で着莢が増えた圃場ほど収穫の段取りを前倒しで組む。

この中で意外と盲点なのが「収穫適期の短さ」です。タキイの解説では、収穫適期の期間は短く、3〜5日内に収穫とされています。摘心で莢数が増えたとしても、収穫の手が足りずに適期を外せば、豆が硬化して商品価値が下がり、増収が“帳簿上の増収”になりません。摘心は収穫労力とセットで計画するのが、経営として安全です。


枝豆栽培摘心の独自視点は断根と作業設計

枝豆栽培摘心を語る記事は多いのに、現場で本当に効くのは「摘心をするか」より「摘心を含む作業設計をどう組むか」です。ここでは検索上位に多い“摘心のやり方”から一歩ずらして、研究で示唆された別アプローチと、実装の考え方を整理します。


大阪府の研究では、摘心の増収効果は得にくい一方で、移植時の断根処理が条件によっては単収向上に寄与する可能性が示されています(夏作試験で1/2断根区の3粒莢数や可販莢収量が有意に高まった)。この結果は、枝数をいじる(摘心)だけが収量改善の手段ではないことを教えてくれます。つまり、枝の設計ではなく根の再構築を刺激することで、結果として可販莢が増える可能性がある、という視点です。


ただし、断根は摘心よりもリスクと管理難易度が上がります。苗が弱って活着が遅れると、逆に収量が落ちることもあり得ます。だから現場での使い方は「いきなり導入」ではなく「試験→条件出し→作業標準化」が前提になります。例えば、同じ品種・同じ播種日でも、圃場が違えば地温も水分も違い、結果が変わるからです。


作業設計という意味では、摘心を入れるなら以下のような“連動”を先に決めておくと失敗しにくいです(表で整理します)。



























作業 枝豆栽培摘心と連動させる理由 現場の確認ポイント
潅水 側枝が伸びる局面で水分が不足すると、枝数を増やしても莢に変換されにくい(潅水は生育に合わせて増やす)。 表土だけでなく根域の乾き、天気予報、畝の乾きムラ。
害虫対策(カメムシ) 莢を狙う害虫は可販収量を直撃し、摘心で莢が増えるほど被害点も増える(カメムシは見つけ次第駆除)。 巡回頻度、発生初期の見落とし、圃場周辺の雑草。
収穫計画 収穫適期が短く、3〜5日内の収穫が推奨されるため、摘心で増えた莢を取り切れないと利益化しない。 収穫人員、出荷調整、適期判定の基準統一。
断根(試験導入) 早生で摘心が効きにくい可能性がある一方、移植時断根で可販莢収量が上がる可能性が示唆されている。 試験区の設定、活着確認、同条件比較。

このセクションの意外性は、「摘心が効かないなら別のレバーもある」という点です。ただし、“意外=すぐ使う”ではありません。枝豆は作型が短く、1回の失敗がそのまま売上に響きます。だからこそ、権威ある試験結果をヒントにしつつ、自圃場で小さく検証して、作業体系に落とし込むのが現実的です。




株式会社トーホク 中生枝豆 盆かおり 01832