あなたの散布時期、実は病害を悪化させているかもしれません。
ブドウ褐斑病の発病率を左右するのは、湿度と品種だけではありません。実際には、剪定時期のズレや施肥タイミングが大きく関与しています。たとえば5月中旬の遅い芽かきの後、窒素肥料を過剰投与すると、葉の成熟が遅れて病原菌が侵入しやすくなります。
結論は、肥料管理も防除の一部ということです。
また、黒とう病やうどんこ病用薬剤を毎年ローテーションせずに散布している場合、褐斑病菌も耐性化します。特にストロビルリン系剤を3年以上連用した圃場では、菌の耐性率が約70%を超える報告もあります。対策は、同系統薬剤を年2回以上続けないこと。
これが原則です。
参考リンク: 農研機構ブドウ病害研究室による防除ガイド(耐性菌の報告と薬剤選定基準)
農研機構 果樹病害研究部門公式サイト
ブドウ褐斑病対策の薬剤として代表的なのは、マンゼブ剤やジチオカーバメート系、そしてTPN水和剤などです。しかし現場では、同じ薬剤を年4回以上使う生産者が4割に上ります。
つまり、薬剤ローテーションが破綻しているということですね。
2024年の愛媛県農林総センターの報告によると、TPN耐性菌が発見された圃場では防除効果が通常の約60%に低下しました。効果減少により、再散布コスト(1haあたり約4万円)も増加します。防除を「定例化」するだけでは損をする仕組みです。
予防面では、病害発生前の5月末と、降雨直前の散布が効果的だと確認されています。病斑が出てからの対処ではほぼ意味がありません。
つまり早期防除が条件です。
実は「巨峰」は褐斑病に対して中程度耐性がありますが、「シャインマスカット」や「ピオーネ」は感受性が高いとされます。
意外ですね。
山形大学農学部の研究では、シャインマスカット圃場における褐斑病感染率は7月中旬で約45%。
これに対し、巨峰はわずか12%でした。
この差は葉厚と表面ワックス層の違いによるものです。
葉裏の通気性も関係します。
つまり、品種によって防除重点が違うということです。耐性品種でも湿気がこもる仕立てでは発病します。枝の間隔(約20cm)を保ち、葉裏まで風が抜ける管理が推奨されます。
これなら問題ありません。
化学薬剤だけが頼りではありません。ICボルドー液(石灰硫黄合剤)や銅水和剤も効果的で、特に発病初期の防除に役立ちます。近年では、乳酸菌資材「ファーメントウォール」なども注目されています。
有機JAS認証圃場でも使用できるのが利点です。
実例として長野県塩尻地域では、有機防除資材の併用によって褐斑病発生率を30%低下させ、薬剤使用回数を年5回から3回に削減した成功例があります。コストと環境負荷の両面でメリットが大きいですね。
ただし、有機資材は残効性が短く、散布間隔(7日以内)を守ることが条件です。そこを怠ると、一度押さえた病勢が簡単に再燃します。
つまりこまめな対応が必要です。
参考リンク: 長野県農業試験場「ブドウ有機防除試験レポート」
長野県農業試験場公式ページ
見落とされがちなのが、越冬病斑を残した剪定枝です。翌年の初夏に胞子源となり、発生源が圃場内に残ります。特に棚仕立てでは、上部枝の病斑部が雨滴で再飛散します。
再発の原因はここにあります。
対策は、発病枝の切除と焼却(または完全搬出)を徹底すること。
焼却回数は年2回、1月と3月末が理想です。
病原菌は0℃でも越冬するため、放置は危険です。
さらに、刈払機で落葉を粉砕すると、土壌感染型褐斑病菌が拡散するケースもあります。落葉は粉砕せず堆肥化する方法に切り替えましょう。
つまり、清掃工程も防除の一部です。
参考リンク: 岡山県病害虫防除所「ブドウ褐斑病越冬防除指針」
岡山県病害虫防除所公式サイト