ぼかし肥料を元肥として使用する場合、10㎡あたり2~3kg程度が基本的な施用量です。化成肥料の規定量の半分程度を目安にすると良いでしょう。元肥として施用する際は、土壌の表層10~20cm程度を耕し、ぼかし肥料と土を混ぜ合わせた後、2週間ほど寝かせてから植え付けを行います。
参考)ぼかし肥料の簡単な使い方
施用場所は株元から20~30cm離れたところの土中に混ぜる「穴肥」の方法がおすすめです。根の近くに直接施すと、肥料成分が一気に溶け出して肥料焼けを起こす可能性があるため注意が必要です。プランター栽培の場合は、底に鹿沼土や赤玉土を2~3cm入れ、その上に腐葉土を1cm、さらにぼかし肥料を2~3cm入れ、最後に土を2~3cmかぶせて2週間~1ヶ月程度寝かせます。
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ぼかし肥料は窒素が多く含まれているため、窒素過多になると作物の葉が成長しすぎて実つきが悪くなります。そのため、少量から試して土壌や作物の様子を見ながら調整することが安全です。
追肥として使用する場合は、1株あたり大さじ1~2杯程度を1ヶ月に1回のペースで施用します。一般的な化成肥料の半分の量を目安にし、株元から少し離れた場所に施すことが重要です。乾燥したぼかし肥料は風で飛びやすいため、散布後に軽く土と混ぜ合わせるか、水を含ませて塊として置き肥のように使うと良いでしょう。
土の表面にパラッと撒く程度でも十分に効果が出ます。土に深く混ぜ込むと一気に栄養分が供給されてしまうため、作物に直接触れないような周辺にまくだけにしておきましょう。追肥の方法として、ぼかし肥料の浸出液を作って液体肥料として供給する方法もあります。水に浸け込むことで得られる浸出液を、灌水チューブやジョーロで供給できます。
ぼかし肥料は比較的効果が早く現れ、緩やかに長く続くため、肥料焼けなどの生育障害を起こさずに安定して作物に養分を供給できます。堆肥より速効性があり、液肥より持続性があるバランスのとれた肥料といえます。
ぼかし肥料の主な効果は、アミノ酸や糖などの植物が吸収しやすい形の栄養を与えられることと、善玉微生物を増やすことです。有機物を微生物により分解・発酵させることで、植物にとって利用しやすい形の栄養素が豊富に含まれます。肥料効果だけでなく、微生物が増えることで土が団粒化してホクホクになり、特にマルチ栽培では効果が明確です。
参考)「ぼかし肥料」の意味 - 有限会社 百津屋商店
土壌伝染系の病気に対する抑制効果も期待できます。有機物を原料とし、微生物の働きによって分解されるため、即効性と持続性のバランスに優れており、優しい効き目が特徴です。新鮮な有機物を直接土に投入すると、微生物が有機物を分解する際に土中の窒素分をエネルギー源として使用するため、作物用の窒素肥料が不足して窒素飢餓を起こしますが、ぼかし肥料はこの問題を回避できます。
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野菜栽培においては、トマト、レタス、キャベツなどの葉物野菜から実物野菜まで幅広く利用でき、土壌の物理性・化学性の改善、収量の増加、品質向上などの効果が科学的にも実証されています。
参考)https://www.mdpi.com/2311-7524/7/2/27/pdf
ぼかし肥料の基本的な原料配合は、米ぬか3、油かす1、カキ殻石灰1の割合で、水は投入材料の1/10程度が目安です。適度な水分量は50~60%で、混ぜた材料を強く握るとだんご状になり、軽い力で崩れる程度が良いでしょう。窒素の多いものとリン酸の多いものを組み合わせることが基本となり、窒素は油かす類、リン酸は骨粉を中心に組み合わせることが多いです。
参考)【入門編】ぼかし肥料の作り方~初心者でも簡単にできる方法を解…
具体的な配合例として、油かす20kg、鶏糞10kg、魚粉10kg、骨粉10kg、米ぬか3kgを層に薄く重ね、水を加えながら山土40kgとゼオライト10kgを混ぜた土とよく混ぜます。米ぬかは窒素・リン酸・カリウムがバランスよく含まれているため、よく使われます。発酵促進材として米麹を混ぜると発酵が早まります。
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農林水産省の有機農産物検査認証制度ハンドブックには、ぼかし肥料の原料と作り方を明確にする重要性が記載されています。
| 有機質肥料 | 窒素(%) | リン酸(%) | カリウム(%) |
|---|---|---|---|
| 米ぬか | 2~2.6 | 4~6 | 1~1.2 |
| 乾燥鶏糞 | 3~4.5 | 2.5~6 | 1.5~3 |
| 大豆油かす | 7~7.2 | 1~1.3 | 1~2 |
| 魚かす | 7~8 | 4~6 | 1 |
| 骨粉 | 3~5 | 16~22 | 微量 |
ぼかし肥料づくりのよくある失敗例には、切り返し不足・酸素不足、水分不足・過多、過度なpHの偏りがあります。水分過多の場合、腐敗したような嫌な臭いがしてきます。逆に水分が少なすぎる場合には思うように発酵が進みません。好気性発酵の場合は、しっかりと複数回の切り返しを行うことが重要です。
参考)ぼかし肥料の失敗と失敗しにくい作り方
過度にアルカリ性または酸性に偏った状態となってしまうと、発酵が思うように進まず失敗するリスクが高まります。例えば、カルシウム分を補うために苦土石灰などの石灰質肥料を多量に混ぜ込むと失敗しやすくなります。ぼかし肥料の配合が炭素と窒素のアンバランスな割合だと、窒素が先になくなってしまい微生物の活動ができなくなってしまいます。
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失敗した場合の対処法として、原材料(籾殻等)を混ぜ込んだり、発酵促進剤・水などを加えたりすることで水分量を再度調整し、そのまま発酵を進める方法があります。また、そのぼかし肥料を諦めて休ませている圃場に広い範囲にまんべんなくすき込むこともできます。失敗しないコツとして、原材料や発酵促進剤の種類をたくさん使ったり、いろいろ混ぜたりせず、まずはシンプルにやってみることが推奨されます。
ぼかし肥料の投入量は、自分で作った肥料の成分含有量に基づいて計算する必要があります。元肥は窒素ベースで計算し、全体の60%を施用し、残り40%は追肥として生育状況に応じて行います。市販のぼかし肥料の場合、特殊肥料として申請されているケースが多く、主成分の窒素・リン酸・カリなどの含有量表示が義務化されていないため、成分を確認することが重要です。
原材料によって成分が異なるため、一概に「どの程度撒けばいいか」ということは言えません。含まれている成分と土壌、作物の様子を見ながら少量から施していくと良いでしょう。あまり深くまで混ぜ込む必要もなく、軽く土にすき込む程度で大丈夫です。プランターでのぼかし肥の施肥方法として、ぼかし肥1、土4の比率の土の層5cmを深さ35cmの植木鉢の真ん中に挟むぐらいが適切です。
参考)https://ameblo.jp/iwachan77/entry-11985139736.html
EMボカシの場合、土壌に施用する際は作物や地力によって量は変わりますが、100~300kg/10a程度を目安に施用します。ただし、EMボカシだけでは土づくりはできないため、堆肥との併用が推奨されます。完熟堆肥を元肥に入れるなら、1作に必要な量の半分以下にすることが望ましいです。
参考)EMボカシの作り方、使い方|【株式会社EM研究所】EMボカシ…