ビワ肥料の基本は、まず「元肥(基肥)」で一年の土台を作ることです。家庭果樹の解説では、剪定と同時期の9月に元肥を入れるのが目安とされ、花が咲き進む時期なので遅れると春の落果が増える点が注意点として挙げられています。元肥は有機配合肥料を1樹あたり約3kg、幼木は1kg程度、大木は5kg程度と樹の大きさで調整するという目安が示されています。
一方で、産地・体系の違いにより「元肥を8月中~9月上旬に置く」整理もあります。長崎県の露地ビワ栽培マニュアル(BN21号)では、施肥時期と施肥割合として、元肥は8月中~9月上旬に実施し、窒素・リン酸・カリそれぞれの配分比率が示されています(元肥:窒素50%、リン酸40%、カリ50%)。この資料は産地向けの技術整理なので、樹齢や土壌分析で調整する前提が明確です。
元肥で意識したいのは「効き方のカーブ」です。秋に元肥を入れるのは、花芽~開花~着果の準備期に向けて、じわじわ効く栄養の土台を作る狙いがあります。ここで速効性ばかりに偏ると、短期的な新梢の伸びは出ても、必要な時期に切れてしまうことがあるので、緩効性(緩行性)や有機質を混ぜる考え方が現場では扱いやすいです。
また、定植前後の土づくりも「元肥の前段」として効いてきます。家庭向けの解説では、植え付け前に堆肥20Lと苦土石灰200gを混ぜて土づくりし、植え付け時に有機配合肥料300gを混ぜる例が紹介されています。幼木期は根の回復が優先なので、濃度を上げすぎず、根域に強く当てない(肥料焼けを避ける)ことが結果的に生育を早めます。
✅元肥で押さえるポイント(現場の判断に使える形)
参考リンク(施肥時期の整理・樹齢別施肥量・土づくりの前提がまとまっています)
https://www.pref.nagasaki.jp/e-nourin/nougi/manual/biwa-bn21-manual.pdf
ビワ肥料は「元肥だけで完結させない」ほうが安定しやすく、追肥で不足分を補います。一般的な整理では、追肥は11月頃に速効性中心で入れる考え方が示されており、元肥だけでは栄養が不足してくるため追加する、樹勢が明らかに弱いときは速効性の液体肥料を使うという説明があります。秋~初冬は花・幼果のステージに入り、ここでの栄養切れは着果や果実肥大の揺れにつながりやすいので、効かせる目的がはっきりしています。
ただし「追肥の時期」は記事・地域でブレが出やすいので、自園の暦に落とす必要があります。例えば、資材メーカーの栽培記事では、2月・6月(収穫後)・9月の年3回施す整理が提示されています。家庭・庭木レベルではこのように春先の追肥(2月)を重視する流れもあるため、露地の産地栽培と同じ暦をそのまま当てはめないほうが無難です。
追肥で怖いのは「効きすぎ」です。窒素が多いと枝葉が伸びすぎ、いわゆるツルぼけ的な状態(樹勢過多で結果に結びつきにくい)を招きやすく、花・果実の管理が難しくなります。特に化成肥料は効きが読みやすい反面、タイミングを外すと一気に樹勢が走るので、追肥は“少なめに回数で調整”が安全策になります。
追肥の設計は「目的別」に切ると判断が楽です。
参考リンク(剪定と同時期の元肥、収穫後のお礼肥の考え方が実例で読めます)
https://agri.mynavi.jp/2021_02_07_147849/
ビワ肥料の「礼肥(お礼肥)」は、収穫で消耗した樹を回復させ、翌年の生育を落とさないための重要な一手です。家庭向けの解説では、たくさん果実がなった年は木が疲れるため、元肥の3分の1量を6月上旬に礼肥として施す、と具体的な目安が示されています。収穫後すぐに回復を入れることで、夏以降の葉の働き(同化)を落としにくくし、結果枝の質を確保しやすくなります。
産地資料でも礼肥は明確に位置づけられています。長崎県の露地ビワ栽培マニュアル(BN21号)では、礼肥は6月上旬に実施(収穫後に実施)とされ、施肥割合は窒素30%、リン酸20%、カリ20%という配分が示されています。ここでのポイントは、礼肥=「どっさり入れる」ではなく、回復に必要な分を狙って入れるという設計になっている点です。
礼肥の材料選びは、園の土と労力で決めてOKですが、堆肥の使い方だけは丁寧に扱う価値があります。堆肥は“肥料成分”としてより、“土の状態を整える”役割が大きく、根張り・水分保持・通気性に効いて結果的に肥料の効きも安定します。産地マニュアルでは土づくりとして完熟堆肥2t/10a以内の目安が書かれており、土壌分析で調整する前提が明記されています。
🍊礼肥でありがちな失敗と回避
参考リンク(礼肥の位置づけ、元肥・寒肥の割合まで公的整理があります)
https://www.pref.nagasaki.jp/e-nourin/nougi/manual/biwa-bn21-manual.pdf
ビワ肥料を“毎年同じ量”で回すと、樹齢が進むにつれてズレが出ます。長崎県の露地ビワ栽培マニュアル(BN21号)には樹齢別の年間施肥量(kg/10a)が示されており、1年生から20年生に向けて窒素・リン酸・カリの年間量が段階的に増える形で整理されています。こうした表があると、園の樹齢構成がバラつく場合でも「今年はどの列が多いのか」を数字で揃えられ、施肥の過不足が減ります。
また、幼木期の施肥は“少量を複数回”の思想が入っています。同マニュアルでは、定植2年目の施肥例として、新梢発生後に燐硝安カリ50g+油カス500g、その1か月後に燐硝安カリ50gまたは配合肥料100g、さらに2か月後に配合肥料100gというように、時期と量が具体的に示されています。ここで強調されているのが「肥料やけによる根傷みに注意」で、幼木ほど根域が狭く、当て方ひとつで生育が止まるためです。
10a管理の現場では「資材の統一」も省力化に効きます。配合肥料の銘柄を増やすと、散布ミス(量・場所・時期)が増えやすいので、基本は1~2銘柄に絞り、速効が必要なときだけ補助資材を足す設計が扱いやすいです。特にビワは袋かけ・摘果・病害虫・誘引など作業が重なるため、施肥は“迷わない仕組み”にしておくとトータルで得になります。
🧾簡易チェック表(樹齢・樹勢で調整するためのメモ)
ビワ肥料は単独で最適化するより、「落果」と「剪定」とセットで考えると結果が安定します。家庭向けの解説では、元肥のタイミングが遅いと春に落果が多くなるとされており、施肥の遅れが結実の安定性に響くことが示唆されています。つまり、肥料の良し悪し以前に“暦に乗せる”ことが品質と収量の下支えになります。
独自視点として提案したいのは、「剪定の強さを見て肥料を動かす」やり方です。剪定を強くすると新梢が出やすくなり、そこに窒素が乗ると枝葉がさらに走って、結果枝のバランスが崩れやすいです。逆に、剪定を控えめにして光が差す程度の間引きに留めた年は、追肥を少量に抑えても樹のバランスが保ちやすく、管理作業(摘果・袋かけ)の負担も増えにくい傾向があります。
もう一つ、落果対策として「礼肥を“翌年の花の準備”と捉える」視点も有効です。礼肥は回復が目的ですが、回復が遅れると夏以降の葉の働きが落ち、結果として花芽形成や樹体の貯蔵に影響しやすくなります。だから礼肥は“収穫の後始末”ではなく“翌年の仕込み”として、収穫後に素早く入れるのが合理的です。
最後に、現場で効く小さな工夫をまとめます。
(ここまでの内容を実行すると、単に「ビワ肥料の種類」を選ぶより、元肥・追肥・礼肥が樹のステージに合い、落果と樹勢のブレが小さくなります。)