200穴セルトレイのサイズと規格の選び方と活用術

200穴セルトレイのサイズや規格はメーカーによって異なる場合があり、移植機との相性にも影響します。インチ規格と全農規格の違いや適した作物、育苗期間の目安まで、正しく選べていますか?

200穴セルトレイのサイズを正しく知って育苗を成功させる方法

200穴のセルトレイでも、同じ「200穴」なのに育った苗のサイズが最大25%も変わることがあります。


200穴セルトレイ サイズ まとめ
📐
外寸は2規格ある

インチ規格(27×54cm)と全農規格(30×60cm)の2種類があり、外寸が異なると移植機や育苗箱との互換性に影響が出ます。

🌱
セル容量は約14cc・1トレイ約2.8L

農研機構の標準規格では、200穴1セルあたりの容量は約14cc。1トレイあたり培土量は約2.8L(覆土0.5L含む)が目安です。

🥬
適した作物と育苗日数の目安

玉ねぎ・ネギ・レタスなど小苗での定植が向いている作物に最適。キャベツは盆以降の播種から200穴に切り替えると効率的です。


200穴セルトレイの基本サイズ:インチ規格と全農規格の2種類を徹底解説


「200穴セルトレイ」と一口に言っても、実は外寸に2種類の規格が存在します。それが「インチ規格(ワンウェイタイプ)」と「全農規格(全自動移植機対応タイプ)」です。


インチ規格は外寸が約27cm×54cmで、育苗箱不要でそのまま扱えるワンウェイタイプとして設計されています。一方、全農規格は外寸が約30cm×60cmで、全自動移植機や汎用育苗箱に対応した機械定植向けのサイズです。2規格の差は見た目では数センチですが、移植機の爪ピッチに直結するため、機械と合わない規格を購入すると定植作業が一切できなくなります。


つまり購入前に「手植えか機械定植か」を必ず確認することが条件です。


農研機構の「育苗トレイの標準規格」(平成7年認定)によると、セル成型苗用育苗トレイとして128セル・200セル・288セルの3種類が標準化されています。200穴の標準規格では外枠の長辺が590mm、短辺が300mm、セルの配列が10×20(縦10穴×横20穴)と定められています。セルのピッチ(穴と穴の中心間距離)は縦29.2mm、横28.7mmです。


一方、タキイ種苗のインチ規格ワンウェイタイプでは外寸が280mm×545mmと若干小さく、口径24mm・深さ45mm・1枚あたり用土量は約3.2Lとなっています。全農規格品(30×60cmタイプ)では京和グリーンなどのカタログに外寸598mm×300mm×高さ43mmという寸法が記載されており、穴数は同じ10×20列でもトレイ全体の寸法が異なります。これは使えそうですね。


購入時はトレイのパッケージに記載された「外寸・穴径・深さ・配列・容量」の5点を必ず確認しましょう。


農研機構:育苗トレイの標準規格(セル成型苗用・パルプモールドセルポットの詳細寸法表あり)


200穴セルトレイのセル容量と深さ:14ccという数字が苗の育ちに直結する理由

200穴セルトレイで最も重要なのが、1セルあたりの容量です。農研機構の標準規格によれば、200穴のセル容量は約14ccと規定されています。これはどのくらいの大きさかというと、ペットボトルのキャップ(約5cc)の約3倍弱、小さじ1杯弱(約5ml)の3倍弱に相当します。


この14ccという数字が、苗の質に大きな影響を与えます。JAあいち経済連の実証試験(令和4年)では、128穴セルトレイと200穴セルトレイを同一条件で比較したところ、200穴区の苗の草高は128穴区の75〜97%、根量は75〜92%にとどまる傾向が確認されています。128穴のセル容量が約25ccであるのに対し、200穴は約14ccと約44%も少ないため、根の発達が早い段階から制限されやすいのです。


容量が少ない、ということですね。


ただし、同試験では定植後の欠株率に128穴・200穴間で明確な差は見られませんでした。生育はやや遅れる傾向があるものの、200穴でも最終的には十分な結球重に達する見込みが示されています。200穴でも管理次第で問題はありません。


注意点は、培土量が少ないため乾きやすいという点です。128穴と比べると1セルあたりの水分保持量が少なく、晴天時は1日2回のかん水が必要になることもあります。かん水管理が原則です。密植状態になるため通気性の悪化による病害リスクも高まります。セル間が狭いことで葉が重なりやすく、灰色かび病などの発生に注意が必要です。


JAあいち経済連:キャベツにおける200穴セル成型育苗の検討(128穴との比較データあり)


200穴セルトレイに適した作物と育苗日数の目安:玉ねぎ・ネギが特に効果を発揮する

200穴セルトレイは、小さな根鉢でも定植後の活着が良い作物に向いています。特に適しているのが玉ねぎ・ネギ・レタスホウレンソウマリーゴールドといった、小苗段階で移植できる品目です。


農林水産省の野菜栽培技術指針によれば、200穴セルトレイでの育苗において根鉢が形成される本葉2〜3枚時(育苗日数25日程度)が定植適期とされています。低温期は30〜35日、高温期は25〜30日が目安です。この適期を過ぎると根がセルの中で巻きすぎ、定植後の生育に影響が出るため、日数管理は重要です。


タマネギの場合は、200穴セルトレイでも肥料添加により128穴セル無添加と同等以上の大玉・多収が得られるという農研機構のデータ(超微粒被覆肥料の施肥効果試験)もあります。培土選びと追肥のタイミングを工夫することで、セルの小ささを補うことができるわけです。これは使えそうです。


キャベツについては、JAあいち経済連の試験から「盆以降の播種の作型から200穴に切り替える」のが妥当とされています。夏場の暑い時期の定植では苗が小さく、焼けによる枯死株が発生しやすいためです。暑い時期は盆以降への切り替えが基本です。


作物 推奨穴数 育苗日数の目安 備考
玉ねぎ・ネギ 200穴・288穴 40〜60日(加温あり) 肥料添加で収量向上
レタス 200穴 25〜30日 本葉2〜3枚が定植適期
キャベツ 128穴(標準)・200穴(盆以降) 25〜45日 夏播きは128穴が安全
ブロッコリー白菜 128穴・200穴 25〜35日 作型による使い分けが有効
ホウレンソウ 200穴 20〜25日 全自動移植機での実績あり


農林水産省:野菜栽培技術指針(200穴セルトレイ育苗での定植適期・育苗日数記載)


200穴セルトレイのサイズと移植機・播種機の互換性:規格ミスが1枚あたり数万円の損失を招く

200穴セルトレイを購入する際に見落としがちなのが、移植機・播種機との互換性です。規格が合わない場合、機械での定植や播種がまったくできなくなります。播種機は機械によって対応セルのピッチや穴のサイズが固定されており、規格違いのトレイを使うと1穴に2粒入ったり、穴を飛ばして播種されたりするトラブルが起きます。


播種専用器具は8,000〜10,000円程度、全面播種タイプで20,000〜25,000円程度が相場です。さらに自動播種機になると安いものでも200,000円以上、高機能品では1,000,000円を超えます。これだけのコストをかけた機械と規格が合わないトレイを使い続けると、1時間あたり100枚以上の播種能力が無駄になります。


農研機構の研究では、200穴セルトレイに対応した全自動移植機が4条同時植付けを実現し、半自動移植機の4倍の能率での作業が可能になることが実証されています。この省力効果を最大限に活用するには、使用する移植機のメーカーが指定するトレイ規格(インチ規格か全農規格か)を事前に確認することが欠かせません。


確認は1回で終わります。購入前にメーカーの取扱説明書またはカタログで「対応トレイ規格」の欄を調べましょう。


また、200穴セルトレイの色(白・黒)も実は重要なポイントです。黒色は低温期の地温保温に効果があり、春・秋の育苗に向いています。白色は夏場の過度な温度上昇を防ぐ効果があり、夏播き育苗に適しています。同じサイズでも色によって苗への影響が変わるため、季節に合わせた選択が収量に直結します。


  • 🔵 インチ規格(27×54cm):ワンウェイタイプで育苗箱不要。手植えや一部の移植機に対応。
  • 🟢 全農規格(30×60cm):全自動移植機・歩行用移植機に対応。機械化栽培に必須。
  • 黒色トレイ:低温期の育苗に適し、地温を高める効果あり。
  • 白色トレイ:高温期の育苗に適し、温度上昇を抑制。


井関農機:セルトレイ育苗の手引き(移植機との適合性・培土管理の実務解説あり)


200穴セルトレイの「根巻き防止」設計がもたらす独自のメリット:老化苗による収量損失を防ぐ視点

多くの農業従事者が「200穴セルトレイはできるだけ長く育苗期間を取りたい」と考えがちです。しかし、200穴のセルは容量が14ccと小さいため、根の成長が早い段階でセル内を満たしてしまいます。適期を過ぎた「老化苗」を定植すると活着が遅れ、その後の天候不順や不良な土壌状態と重なった場合、収穫遅れや収量減少が懸念されます。これはタキイ種苗の公式資料にも明記されている内容です。


育苗日数の超過は、時間の損失だけでなく収量の損失にも直結するということですね。


一方で、タキイのワンウェイ根巻防止セルトレイのように「根巻防止加工」が施された製品では、根がセルの内壁に沿って内側に回り込む(根巻き)現象を抑制する設計になっています。これにより、通常のセルトレイよりも1〜2日育苗期間が長くなる場合があるものの、定植後の早期活着と植え傷みの軽減が期待できます。


根巻き防止設計は、天候不順などで計画通りに定植が進まない状況でも、苗を老化させずに管理できる時間的余裕を生み出します。特に規模拡大した農家では、育苗枚数が多い分だけ定植作業が数日にわたるため、この「許容期間の延長」が実収量の安定に直結します。


通常タイプと根巻防止タイプを使い分ける生産者も増えています。コストは根巻防止タイプがやや高い傾向がありますが、定植後の欠株リスクや収量損失のリスクを考えると費用対効果は高いといえます。


  • 通常タイプ:1枚100〜150円程度。手植えや短期育苗向き。
  • 根巻防止タイプ:1枚150〜250円程度。機械定植・規模拡大農家向き。
  • 再利用時の注意点:再利用する場合は病原菌の残留を防ぐため、使用後に次亜塩素酸ナトリウム液(200〜500倍)での消毒を推奨。


タキイ農業資材オンライン:根巻防止セルトレイ製品ページ(インチ規格・全農規格の違い、老化苗リスクに関する記述あり)






エントリーでポイント5倍  鎮圧ローラー 200穴 ( 日本農業システム 農業 園芸 家庭 菜園 ガーデニング 播種 育苗 セルトレー 穴あけ 養土 ハウス 畑 ちんあつ )