梅の木の肥料の時期と施肥の基準

梅の木の肥料は、いつ・何を・どれくらいが正解なのか。基肥や追肥、花肥や礼肥の考え方を整理し、土壌pHや根を傷めない施し方まで現場目線でまとめましたが、あなたの園地はどのタイプですか?

梅の木の肥料

梅の木の肥料:時期・成分・量の全体像
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時期は「基肥・花肥・礼肥」で組む

成園の目安は、秋の基肥(10月上旬)+春の追肥(2月下旬)+花肥(4月下旬)+収穫後の礼肥(7月中旬)。根が浅い作物なので分施が基本です。

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N-P-Kは「窒素だけ見ない」

ウメ(南高)の成園基準では、窒素・りん酸・加里をセットで設計し、樹勢と結果量で4月の追肥量を調整します。

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土壌pHと石灰・苦土が収量を左右

好適な土壌pHは5.5~6.5。石灰要求が大きく苦土欠乏も出やすい一方、pHが高いとホウ素欠乏(ヤニ果)リスクが上がるため、石灰の入れ過ぎは禁物です。

梅の木の肥料の時期:基肥・追肥・花肥・礼肥


梅の木の肥料設計で一番ブレやすいのが「いつやるか」です。ウメは前年からの貯蔵養分の影響が大きく、収量・品質が“前年の施肥の出来”に左右されやすい作物なので、思いつき施肥ではなく暦で組み立てるのが安全です。
成園(南高)の時期別の目安は、秋の基肥(10月上旬)→春の追肥(2月下旬)→花肥(4月下旬)→収穫後の礼肥(7月中旬)です。これにより、休眠期〜開花〜結実〜収穫後の回復まで、樹体の消耗ポイントに合わせて肥効を切らさず、かつ一度に入れ過ぎない分施ができます。


特に意外と見落とされるのが「基肥は秋に重点」という考え方です。ウメは収穫後の施肥を基肥に重点を置き、年内に十分吸収させて貯蔵養分の蓄積を促す、という整理が基準として明記されています。つまり、春だけ頑張っても遅く、秋の設計が翌年の花芽・着果の“元手”になります。


また、作柄が不安定になりやすい前提があるため、結果量に応じて4月(花肥)の追肥量を加減するのがポイントです。豊作年に機械的に同じ量を入れるより、「樹勢・着果負担」を観察して動かす方が、隔年結果の振れを抑えやすくなります。


参考:ウメ(南高)の時期別施肥(成園基準)と、基肥を年内吸収に重点とする考え方(施肥基準・留意事項)
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/763928_62443948_misc.pdf

梅の木の肥料の量:施肥基準と樹齢・収量の見方

「どれくらい撒けばいいか」は、園地の面積・樹齢・目標収量で基準の見方が変わります。公的な施肥基準は10a(1反)あたりの成分量(窒素・りん酸・加里)で示されていることが多く、肥料袋に書いてある“製品重量”とは別物です。
ウメ(南高)の年間施肥成分量の例では、目標収量1,500kg/10a・樹齢6年以上の条件で、年間の窒素21.0kg/10a、りん酸17.0kg/10a、加里21.0kg/10aが目安として示されています。さらに時期別(成園基準)では、基肥(10月上旬)・追肥(2月下旬)・花肥(4月下旬)・礼肥(7月中旬)に分けて配分されています。


ここで重要なのは、梅の木が「浅根性」であり、一度に多量の施肥を行うと根を傷めるので注意、と明確に書かれている点です。つまり、同じ年間成分量でも、1回でドカンと入れるのは事故(根傷み・濃度障害)になりやすく、分施で“薄く長く”効かせる方が結果が安定します。


現場での換算のコツは、まず「年間に必要な成分量(N-P-K)」を決め、次に使用資材の保証成分から製品量に戻すことです。例えば窒素10%の資材なら、窒素10kgを入れるには製品100kgが必要、という具合です(ただし資材ごとの肥効スピードや有機の分解速度は別途考慮)。


梅の木の肥料の成分:窒素・りん酸・加里と分施の狙い

梅の木の肥料を「窒素が効けば葉が出る」だけで設計すると、実が小さい・花芽が弱い・樹が疲れる、のどれかが起きがちです。施肥基準が窒素・りん酸・加里をセットで示しているのは、結局のところ“どれか一つだけ”では収量・品質が安定しないからです。
ウメ(南高)の時期別配分を見ると、基肥(10月上旬)で、りん酸は年間量をまとめて基肥に入れる設計になっています。一方、窒素と加里は複数回に分けて入るため、樹体の回復・花芽準備・果実肥大などのタイミングで不足しにくいように組まれています。


また、礼肥(7月中旬)は「収穫後の回復」という意味だけでなく、翌年に効く貯蔵養分の積み増しという位置づけで理解すると、量と時期の重要性が腑に落ちます。収穫後に何も入れないと、その年は乗り切れても、翌年の芽や花で“ツケ”が出て作柄が落ちやすい、という理屈です。


ここでの独自視点としては、施肥を「樹の要求」だけでなく「作業分散と事故回避」の面からも設計することです。浅根性で一発施肥が危険なら、豪雨前の施肥を避ける・散布後に軽く土と馴染ませる・施肥帯を固定せず年ごとに場所をずらす、などの運用をセットで考えるほど、肥料代が高い年ほど効率が上がります(“流したら負け”の発想)。


梅の木の肥料と土壌pH:石灰・苦土・ホウ素欠乏(ヤニ果)

梅の木の肥料で、成果に直結するのに軽視されやすいのが土壌pHです。ウメ(南高)では、土壌pH5.5~6.5が好適範囲で、石灰の要求量が大きく、苦土欠乏症も出やすいため、石灰や苦土を含む肥料を施用する、という整理がされています。
ただし「石灰を入れれば良い」では終わりません。pHが高くなるとホウ素欠乏によるヤニ果が発生しやすいので、石灰の過剰な施用は避ける、と注意点まで明記されています。つまり、石灰は“足りないと悪いが、入れ過ぎても別の事故を呼ぶ”タイプの資材です。


このあたりは、土壌診断の価値が高い領域です。pHだけでなく、交換性塩基や腐植なども絡むので、毎年の感覚で調整するより、分析値で「上げるのか維持するのか」を判断した方が、余計な投入を減らしながら樹勢を安定させやすくなります。


参考:ウメ(南高)の土壌pH適正範囲、石灰・苦土の必要性、pH上昇によるホウ素欠乏(ヤニ果)注意
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/763928_62443948_misc.pdf

梅の木の肥料の施し方:浅根性・根を傷めない・濃度障害を避ける

梅の木の肥料は「何を撒くか」より「どう施すか」で失敗が減ります。ウメは浅根性であり、一度に多量の施肥を行うと根を傷めるため注意、という注意事項がはっきり示されています。つまり、根が張っている層が浅く、施肥ムラや濃度ムラがそのまま根に当たりやすい構造です。
実務上の基本は、分施(回数を分ける)と、施肥位置の適正化です。樹冠下〜やや外側を中心に、毎回同じ“輪”に固めないようにし、年ごとに少しずつ位置をずらすと、局所的な塩類集積や根傷みリスクを下げられます。特に速効性資材を使う場合は、乾燥した土にドサっと置くより、雨の前後や灌水と組み合わせて溶かし込み、局所高濃度を作らない工夫が効きます。


また、施肥の「量の正しさ」を活かすには、雑草管理も地味に重要です。春に雑草が繁茂すると施肥分が草に吸われ、樹体への供給量が減る、という指摘は果樹全般でよく起こります(梅でも同様に、春の効かせ方が鈍る原因になります)。草生栽培をする場合でも、施肥直後の競合を避けるタイミングで草丈を管理すると、同じ肥料でも効きが変わります。


最後に、肥料は「万能の立て直し策」ではありません。樹勢が落ちたからと窒素を増やすより、結果過多の年は早めの摘果・翌年の花芽確保の観点で施肥と負担をセットで調整する方が、梅は安定しやすい作物です(“入れる前に減らす”という発想)。




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