スミレックス水和剤は「プロシミドン水和剤」で、用途は殺菌剤、剤型は水和剤として登録されています。
有効成分はプロシミドン50.0%で、登録情報(適用表)には作物名・病害名・希釈倍数・使用液量・使用時期・使用回数・使用方法が細かく並びます。
現場での最大の落とし穴は「同じ病名でも作物で希釈倍数や収穫前日数が違う」点で、必ず作物ごとに適用表を確認してから希釈設計します。
まず押さえたい、代表的な適用例(抜粋)です(実際の散布前は必ず最新の登録を確認)。
参考)https://www.greenjapan.co.jp/smilex_s.htm
・りんご:モニリア病、1000倍、収穫90日前まで、本剤4回以内(プロシミドン総4回以内)
・もも:灰星病、1000~1500倍、収穫3日前まで、本剤3回以内(プロシミドン総3回以内)
・きゅうり:灰色かび病/菌核病/つる枯病、1000~2000倍(つる枯病は1000倍)、収穫前日まで、本剤6回以内(常温煙霧は2回以内という注意も併記)
・たまねぎ:灰色かび病など、1000倍の散布に加え、無人航空機による散布は16倍・2.4L/10aという別枠の記載があるため「散布方法の違い」で条件が変わる点に注意します。
・にんにく:黒腐菌核病、植付前の「種球粉衣(湿粉衣)」で種球重量の0.4%を1回のみ、という“散布以外”の使い方が明記されています。
参考:公的な登録内容(適用表・使用回数・使用方法)を確認する部分の一次情報
農林水産省 農薬登録情報提供システム(住化スミレックス水和剤の適用表)
登録情報を見ると、スミレックスは灰色かび病・菌核病・灰星病・つる枯病など、複数の病害に対して作物別に適用が用意されています。
病害名が同じでも、収穫前日数(使用時期)や回数上限が作物によって異なるため、「病害から逆引き」ではなく「作物の登録から順引き」で最終確認するのが安全です。
特に灰色かび病は施設園芸で悩みが深い一方、適用表には散布だけでなく、きゅうり・なす等で「温室、ビニールハウス等密閉できる場所」における常温煙霧の条件も記載され、回数制限が別扱いになるため運用設計が重要です。
ここで、効かせる以前に発生しがちな“効かない”原因を、登録情報に沿って整理します。
✅散布間隔や回数の誤り:本剤回数だけでなく「プロシミドンを含む農薬の総使用回数」も超えないように管理する。
✅収穫前日数の誤り:たとえば果樹・野菜で「収穫〇日前まで」「収穫前日まで」など表現が混在するため、うろ覚え運用は避ける。
✅散布方法の取り違え:同じ作物でも、地上散布と無人航空機散布で希釈倍数・使用量体系が変わる例がある。
水和剤は粉体を扱う工程があるため、SDSでは「粉じんを吸入しない」「保護手袋、保護衣、保護眼鏡等を着用」「換気のよい場所で取り扱う」などの基本対策が明記されています。
また、GHS分類として皮膚刺激・強い眼刺激に加え、発がん性や標的臓器毒性(呼吸器系、腎臓)に関する注意が整理され、施錠保管や廃棄手順も含めた管理が求められます。
つまり「希釈倍数を守る」だけでなく、薬液調製の段階(開封・計量・投入・攪拌)で曝露を減らすことが、結果的に作業の継続性と事故予防に直結します。
混用については、少なくとも製品資料側で「強アルカリ性薬剤との混用回避」が明記されている例があり、混用前提の省力化は相性確認が前提になります。
参考)https://www.nichino.co.jp/products/query/db/pdf/31.pdf
さらに、無人ヘリ系の実務情報として「混用可能が確認された薬剤を除き混用しない」「高温時散布で薬害のおそれ」などの注意が挙げられているため、混用は“やれるか”ではなく“確認できているか”で判断するのが現場向きです。
参考)スミレックス水和剤
参考:粉じん・保護具・応急措置・保管など、現場の安全管理に使える部分の一次情報
日農スミレックス水和剤 SDS(保護具・曝露対策・応急措置)
薬害は「散布ミス」よりも「条件ミス」で起きやすく、実務情報では高温時散布で薬害のおそれがあることが注意事項として示されています。
また、同じ注意事項の中で、過度の連用を避けて作用性の異なる薬剤と輪番で使用することが推奨されており、効き目の持続や安定を狙うほど“同じ剤に寄せすぎない設計”が必要になります。
薬害回避は、希釈倍数を“上限いっぱいまで濃くする”発想を捨てて、登録の範囲内で目的(予防か初発対応か)と条件(温度、草勢、散布量、散布ムラ)を合わせ込むのが基本です。
現場で再現性を上げるためのチェック項目(入れ子にせず、作業前に確認できる形)です。
・🌡️散布日の温度:高温が見込まれるなら時間帯をずらす、もしくは実施自体を再検討する。
・🧴希釈倍数:作物別の登録(1000~2000倍等)を確認し、タンク容量と希釈計算を二重チェックする。
・🚿使用液量:10a当たり100~300Lなど作物の基準に合わせ、散布ムラを減らす。
・📅使用時期:収穫前日数(例:収穫前日まで、収穫7日前まで等)を“圃場カレンダー”に落とし込む。
・🔁回数:本剤回数と、プロシミドン総回数の両方を記録して超過を防ぐ。
検索上位の解説は「適用表」「効果」「注意事項」に寄りがちですが、実は差が出るのは“回数管理の運用”で、登録情報には本剤回数と「プロシミドンを含む農薬の総使用回数」が併記されているため、ここを無視すると計画が破綻します。
さらに現場情報では、過度の連用を避けて輪番で使用し耐性菌の発生を避ける、という運用方針が明確に示されているため、単年の効きだけでなく複年での効きの再現性を意識すべきです。
この2点(総回数管理+輪番)を“紙のルール”で終わらせず、圃場・品目・作型ごとに記録フォーマット化すると、翌年以降の迷いが減り、担当交代があっても事故率が下がります。
おすすめの記録項目(そのまま作業日報に貼れる形)
・🗺️圃場名/作型(露地・施設)/作物名(登録の作物名表記に合わせる)
・🦠対象病害(灰色かび病、菌核病、灰星病、つる枯病 など)
・🧪使用薬剤名(スミレックス水和剤 等)+有効成分(プロシミドン)
・🔢希釈倍数/使用液量/散布方法(散布・株元散布・無人航空機・常温煙霧など)
・🔁本剤の使用回数の累計/プロシミドン総回数の累計(ここを別欄にする)
・🌡️当日の温度帯・換気状況(高温時薬害リスクを後から検証できる)
この運用を入れると、「去年は効いたのに今年は効きが悪い」「回数制限を超えていないはず」という現場の“あるある”を、記録で切り分けやすくなります。