飼料添加物は「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」で定義され、飼料に添加される指定物質だけが名乗れる法的な用語です。
用途は大きく「飼料の品質低下防止」「栄養成分などの補給」「栄養成分の有効利用促進」の3つに区分され、これ以外の目的では添加物として認められません。
たとえば品質低下防止には抗酸化剤や防かび剤、栄養補給にはアミノ酸・ビタミン・ミネラル、有効利用促進には酵素や生菌剤、合成抗菌剤などが含まれ、農場での給与設計の前提となる分類です。
日本で指定されている飼料添加物は、2025年時点で160種を超え、抗酸化剤、生菌剤、有機酸、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、酵素など多様なグループに分かれています。
品質低下防止用途には、脂肪酸の劣化を抑えるエトキシキンやBHAといった抗酸化剤、防かび剤としてのプロピオン酸系、有機酸として安息香酸やギ酸カルシウムなどが利用され、サイレージや配合飼料のロス低減に直結します。
栄養補給や有効利用では、リジン・メチオニンなどのアミノ酸、ビタミンA・D・E群、リン酸塩や炭酸カルシウムなどのミネラル、生菌剤としてラクトバチルスやビフィズス菌、酵素としてフィターゼやセルラーゼが用いられ、増体や乳量だけでなく糞尿の性状改善にも影響します。
飼料添加物の指定や使用は飼料安全法とその施行規則で細かく管理され、成分規格、省令、告示によって使用上限や併用禁止などの条件が決められています。
省令では、飼料に含まれる飼料添加物名を表示しなければならず、さらに「ビタミンC」のような一般名で表示できる添加物も定められているため、ラベルが化学名だけのケースと一般名併記のケースが混在するという現場にとってはやや分かりにくい仕組みになっています。
また、同一飼料に同時に使用してはならない組み合わせ(例:特定のコクシジウム剤同士)が表で指定されており、プレミックスを組み合わせて自家配合する農場では、意図せず併用禁止組み合わせになってしまうリスクがあるため注意が必要です。
飼料添加物の成分規格、省令で定める表示名や一般名の詳細を確認したい場合に有用な資料です。
実際の農場では、飼料添加物を「コストをかけるもの」ではなく「ロスとリスクを減らすための保険」として位置づけると、採算を意識した選び方がしやすくなります。
たとえば多湿地域の粗飼料では、防かび剤や有機酸の投与によりカビ毒リスクを抑え、サイレージの表層廃棄量を減らすことで、添加物コスト以上の飼料ロス削減効果が期待できます。
また、乳牛の高泌乳期や豚の仕上げ期では、アミノ酸やビタミンEなどを補強してストレス耐性と免疫維持を図る一方、生菌剤や酵素剤を組み合わせて消化性を高めることで、同じ飼料でも糞の固さや匂いが変わるなど、家畜の状態として実感しやすい効果が現れることが多いです。
近年、日本ではゲノム編集技術を利用した飼料や飼料添加物も届出されており、例えばGABA含有量を高めたトマトなど、家畜のストレス軽減や機能性に着目した原料がリスト化されつつあります。
こうした新規素材は、従来のビタミンやミネラルとは異なり、家畜の福祉や環境負荷低減といった付加価値を訴求する形で活用される可能性が高く、輸出向け畜産物やブランド肉・ブランド卵などの差別化要素として注目されています。
一方で、国内外で飼料添加物・飼料添加剤の規制体系が異なり、動物用医薬品との境界も国ごとに定義が違うため、海外情報を参考にする際には「日本で飼料添加物として指定されているか」「飼料安全法の枠組みで使えるか」を必ず確認することが重要です。
ゲノム編集由来の飼料・飼料添加物の届出状況と具体例を把握するのに役立つ資料です。