シロタエギクの育て方と剪定や挿し木の時期と増やし方

シルバーリーフが美しいシロタエギク。枯らさずに毎年楽しむための水やりや剪定のコツを知っていますか?挿し木での増やし方や意外な活用法まで、長く楽しむ秘訣を網羅しました。あなたの株は元気ですか?

シロタエギクの育て方

シロタエギク栽培のポイント
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適切な剪定

梅雨前と秋に切り戻しを行い、蒸れを防いで美しい形を保ちます。

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乾燥気味に管理

過湿を嫌うため、土の表面が完全に乾いてからたっぷりと水を与えます。

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挿し木で更新

古くなった株は木質化するため、定期的に挿し木で新しい株を作ります。

シロタエギク(白妙菊)は、その名の通り白い粉をまとったような美しいシルバーリーフが特徴の植物です。キク科に属し、寒さには非常に強い反面、日本の高温多湿な夏が少し苦手という性質を持っています。ガーデニング初心者の方でも比較的育てやすい植物ですが、年間を通して美しい銀葉を保つためには、季節ごとの適切な管理が欠かせません。特に、水やりの加減や植え付ける場所の環境選びは、シロタエギクの健康を左右する重要なファクターとなります。

 

まず基本的な栽培環境についてですが、シロタエギクは日光を大変好みます。日照不足になると、特徴である葉の白い毛が薄くなり、緑色が目立つようになってしまいます。これではせっかくのシルバーリーフの魅力が半減してしまいますので、一年を通して日当たりの良い場所で管理することが大切です。また、日光が十分に当たることで株が引き締まり、病害虫への抵抗力も高まります。

 

土壌に関しては、水はけの良さが何よりも重要です。市販の草花用培養土で十分に育ちますが、自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)7に対して腐葉土3の割合で混ぜたものを使用すると良いでしょう。水はけが悪いと根腐れを起こしやすくなるため、鉢植えの場合は鉢底石をしっかりと敷き詰め、余分な水が停滞しないように工夫してください。地植えにする場合も、盛り土をして高植えにするなど、排水性を確保することが長持ちさせる秘訣です。

 

肥料については、それほど多くの量を必要としません。植え付け時に元肥として緩効性肥料を混ぜ込んでおけば、その後は生育期の春と秋に少量の追肥を行う程度で十分です。逆に肥料を与えすぎると、茎がひょろひょろと徒長してしまったり、葉の色が悪くなったりする原因となりますので、「肥料は控えめに」を合言葉に管理しましょう。特に夏場や冬場の生育が緩慢になる時期には、肥料を与えるのを控えることで根への負担を減らすことができます 。

 

参考)シロタエギクの育て方|花や葉の観賞を楽しむための栽培ポイント…

シロタエギクの日当たりと水やり

 

シロタエギクを美しく育てるための最大の鍵は、「日当たり」と「水やり」のバランスにあります。この二つの要素を適切にコントロールすることで、白く輝くような葉を維持し、病気を防ぐことができます。

 

水やりにおいて最も意識すべき点は、「乾燥気味に育てる」ということです。シロタエギクの葉が白い毛で覆われているのは、乾燥した環境に適応するための進化の結果でもあります。そのため、常に土が湿っているような状態は大変苦手です。鉢植えの場合は、土の表面が白っぽく乾いているのを確認してから、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えてください。この「乾湿のメリハリ」が、丈夫な根を育てるためには不可欠です。

 

特に注意が必要なのは、梅雨から夏にかけての時期です。日本の夏は高温多湿であり、シロタエギクにとっては過酷な環境となります。この時期に水をやりすぎると、鉢の中が高温多湿状態になり、蒸れて株元から腐ってしまうことがあります。夏場は水やりを朝の涼しい時間帯に行い、昼間の高温時には水滴が葉に残らないように注意しましょう。葉に水が溜まると、そこから蒸れて病気の原因になることがあるため、できるだけ株元に直接水を注ぐようにするのがコツです。

 

冬場の水やりも、控えめにすることが基本です。シロタエギクは耐寒性が強く、マイナス10度程度まで耐えられると言われていますが、冬に土が湿ったままだと根が凍結する恐れがあります。冬の間は土が乾いてから数日待って水を与えるくらいのペースで問題ありません。また、夕方に水を与えると夜間の冷え込みで土が凍ってしまうことがあるため、晴れた日の午前中に済ませるのが理想的です。

 

地植えの場合は、植え付け直後にしっかりと根付くまでは水やりが必要ですが、一度根付いてしまえば、基本的には降雨のみで育ちます。ただし、夏場に日照りが続き、葉がしんなりとしてくるような場合は、朝か夕方にたっぷりと水を与えてください。過保護にしすぎず、少しスパルタ気味に育てる方が、シロタエギク本来の強さを引き出すことができるのです 。

 

参考)【シロタエギクの育て方】夏越しや剪定時期などを解説

シロタエギクの育て方|水やりの頻度や置き場所のポイントが詳しく解説されています

シロタエギクの剪定と切り戻しの時期

シロタエギクを何年も美しい状態で維持するためには、「剪定」と「切り戻し」が欠かせません。放っておくと茎がどんどん伸びて木質化し、下の方の葉が落ちて見栄えが悪くなってしまいます。適切な時期にハサミを入れることで、こんもりとした美しい草姿を保つことができます。

 

剪定に適した時期は、主に春から初夏(3月~6月)と、秋(9月~10月)の年2回です。特に重要なのが、梅雨入り前の切り戻しです。高温多湿が苦手なシロタエギクにとって、葉が茂りすぎている状態は蒸れの原因となります。梅雨に入る前に、草丈の3分の1から半分くらいの位置で思い切ってカットしましょう。これにより風通しが良くなり、夏越しの成功率が格段に上がります。

 

切り戻しを行う際は、必ず葉が残っている節の少し上で切るようにします。葉が全くない茶色い茎の部分(木質化した部分)まで深く切り詰めてしまうと、新しい芽が出てこずにそのまま枯れてしまうことがあります。必ず緑色の葉が残っている部分で切るのが失敗しないポイントです。切った直後は少し寂しい見た目になりますが、成長点の近くからすぐに新しい脇芽が出てきて、再びボリュームのある姿に戻ります。

 

また、シロタエギクは初夏に黄色い花を咲かせますが、シルバーリーフ(葉)をメインに楽しみたい場合は、花芽が見えた段階で摘み取ってしまうことをおすすめします。花を咲かせると株のエネルギーが花や種を作ることに使われてしまい、葉の色が悪くなったり、株全体が弱ったりする原因になります。「花を見るよりも葉を長く楽しみたい」という場合は、心を鬼にして蕾のうちにカットしてしまいましょう。もし花を楽しみたい場合でも、咲き終わったら早めに花茎を根元から切り取ることで、株の消耗を最小限に抑えることができます。

 

秋の剪定は、冬に向けて形を整える意味合いがあります。夏の間に伸びすぎた枝や、バランスの悪い枝をカットして、コンパクトにまとめておきます。こうすることで、冬の寒風や雪の重みによる枝折れを防ぐことができます。定期的な剪定は植物の新陳代謝を促し、常に若々しい葉を展開させるための重要な作業なのです 。

 

参考)シロタエギクが伸びすぎたら?剪定と復活のコツを解説

【シロタエギクの育て方】夏越しのための剪定時期と具体的な方法はこちら

シロタエギクの挿し木での増やし方

シロタエギクは「挿し木」で非常に簡単に増やすことができます。剪定で切り落とした枝を捨てずに活用すれば、新しい株を次々と作ることが可能です。親株が古くなって木質化してしまった場合の更新用としても、挿し木は有効な手段です。

 

挿し木の適期は、生育が旺盛な5月~6月と、暑さが落ち着いた9月~10月頃です。真夏や真冬は発根率が下がるため避けた方が無難です。手順は以下の通りです。

 

  1. 挿し穂の準備: 健康な茎を10cm~15cmほどの長さでカットします。切り口は水を吸い上げやすいように、鋭利な刃物で斜めにカットしましょう。この時、切り口の組織を潰さないようにスパッと切ることが大切です。
  2. 下処理: 土に埋まる部分の下葉を取り除きます。葉が土に埋まるとそこから腐敗する原因になるため、下半分くらいの葉は丁寧に取り除いてください。また、蒸散(葉から水分が逃げること)を防ぐために、残した上部の葉も半分くらいの大きさにカットしておくと、株の負担を減らすことができます。
  3. 水揚げ: 用意した挿し穂を、1時間ほど水につけてしっかりと吸水させます(水揚げ)。この工程を行うことで、土に挿した後の活着が良くなります。
  4. 用土への挿し木: 清潔な挿し木用の土(赤玉土小粒やバーミキュライトなど)に、割り箸などで穴をあけ、挿し穂を傷めないように挿し込みます。この時、肥料分を含まない土を使うのがポイントです。肥料分があると、発根する前に切り口が腐ってしまうことがあります。
  5. 管理: 挿し木後は、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。土が乾燥しないようにこまめに水やりを行ってください。順調にいけば、約1ヶ月ほどで発根します。

発根が確認できたら(新しい葉が展開し始めたら)、液体肥料を薄く与え始め、徐々に日光に慣らしていきます。十分に根が張ったら、培養土を入れたポットや鉢に植え替えて育てていきましょう。挿し木苗は親株の性質をそのまま受け継ぐため(クローン)、お気に入りの株を増やすのに最適です。また、シロタエギクは発根能力が高いため、水を入れたコップに挿しておくだけで発根する「水挿し」でも増やすことができますが、土に植え替える際のショックを考えると、最初から土に挿す方が定着しやすいと言えます 。

 

参考)シロタエギクの育て方・栽培方法

シロタエギクの増やし方|挿し木の手順と成功のコツが写真付きで解説されています

シロタエギクの寄せ植えと花言葉

ガーデニングにおいて、シロタエギクは「名脇役」として不動の地位を築いています。その最大の魅力は、どんな色の花とも調和するシルバーリーフにあります。鮮やかな赤やピンク、深い紫色の花と組み合わせると、シロタエギクの白銀色が相手の色を引き立て、寄せ植え全体に高級感と深みを与えてくれます。

 

特に冬の寄せ植えでは、パンジーやビオラ、ガーデンシクラメンといった定番の花材との相性が抜群です。冬の寒々しい景色の中で、雪をまとったようなシロタエギクの葉は、温かみのある幻想的な雰囲気を演出します。また、クリスマスやお正月の寄せ植えにも重宝され、ハボタンやゴールドクレストと合わせることで、季節感あふれる豪華な仕上がりになります。

 

シロタエギクの花言葉には、「あなたを支えます」「穏やか」という意味があります。これはまさに、寄せ植えの中で主役の花を引き立て、全体を調和させるその姿に由来しています。決して派手ではありませんが、周りを優しく包み込むような存在感は、見る人の心を穏やかにしてくれます。このような素敵な花言葉を持つことから、大切な人への贈り物や、感謝の気持ちを込めた寄せ植えの素材としても最適です。

 

寄せ植えを作る際のポイントとしては、シロタエギクは生育が旺盛で横に広がりやすいため、他の植物を圧迫しないように配置することです。また、成長に合わせて適宜カットし、バランスを保つことが長く美しく楽しむコツです。例えば、背の高い植物の足元に植えて土隠しにしたり、寄せ植えの背景として背後に配置したりと、用途に合わせて品種や植える場所を工夫してみましょう。葉の形状にもバリエーションがあり、切れ込みの深い「シルバーレース」のような繊細なタイプや、葉が丸く肉厚な「シラス」のようなタイプなど、好みに合わせて選ぶ楽しみもあります 。

 

参考)シロタエギク (白妙菊/ダスティーミラー)の花言葉と育て方

シロタエギクの剪定した茎で楽しむドライフラワー

シロタエギクのあまり知られていない、しかし非常に魅力的な活用法として「ドライフラワー」があります。剪定や切り戻しでカットした枝を、ただ捨ててしまうのは非常にもったいないことです。シロタエギクの肉厚で白い毛に覆われた葉は、乾燥させてもその美しいシルバーの色合いや質感が残りやすく、ドライフラワー花材として非常に優秀なのです。

 

ドライフラワーにする方法はとても簡単です。剪定した茎の下葉を取り除き、風通しの良い直射日光の当たらない場所に逆さまにして吊るしておくだけ(ハンギング法)で完成します。シロタエギクは水分が抜けるのが比較的早く、1週間から10日ほどできれいなドライフラワーになります。

 

完成したドライフラワーは、そのまま麻紐で束ねてスワッグにしてもおしゃれですし、リースの一部として組み込むのも素敵です。特にクリスマスのリース作りには欠かせない素材となります。緑色のコニファーや赤い実ものと一緒にシロタエギクのシルバーリーフを加えることで、一気に冬らしいシックで洗練された雰囲気が生まれます。また、ユーカリやラベンダーなどの他のハーブ系ドライフラワーと合わせれば、ナチュラルなインテリアとしても楽しめます。

 

さらに一歩進んだ楽しみ方として、シリカゲルを使ったドライ加工もあります。密閉容器にドライフラワー用シリカゲルを敷き詰め、その中にシロタエギクの葉や(もし咲かせてしまった場合は)黄色い花を埋め込みます。この方法だと、自然乾燥よりもさらに鮮やかな色と形を残したままドライにすることができます。こうして作ったパーツは、ハーバリウムの材料や、レジンアクセサリーの封入素材としても活用できます。

 

「育てる」楽しみだけでなく、剪定した後の「作る」楽しみまで提供してくれるシロタエギク。剪定作業が「捨てる作業」から「収穫の楽しみ」に変われば、日々の管理もより一層楽しくなるはずです。ぜひ、次にハサミを入れる時は、カットした枝を捨てずにドライフラワー作りに挑戦してみてください。それは、あなたの園芸ライフをより豊かにする新しい発見となるでしょう 。

 

 


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