ドライ加工(乾燥加工)の最大のメリットは、野菜の水分を減らすことで微生物の増殖を抑え、保存性を上げられる点です。
生の野菜は水分量が多く傷みやすい一方、乾燥により「常温で扱える期間」を作りやすくなり、出荷タイミングを分散できます。
また、乾燥野菜の工程は一見シンプルでも、販売する以上は品質と安全性が求められ、洗浄・殺菌と乾燥工程が特に注意点として挙げられています。
一方でデメリットは「乾燥ムラがそのまま事故につながる」ことです。
厚みが不均一だと乾燥にムラができ、水分が多く残った部分からカビが発生し得るため、カットの均一化やトレーへの広げ方が重要になります。
さらに、庫内に入れる量が多すぎる、材料を重ねるなどで乾燥に時間がかかると、変色や微生物増殖につながる可能性があるとされています。
ドライ加工のメリットを「安全な商品価値」に変える鍵は、乾燥機より前の洗浄・殺菌です。
最終製品を加熱せずそのまま食べる場合、次亜塩素酸ナトリウム等での殺菌が必要とされ、濃度や浸漬時間の管理が具体的に示されています。
例として、次亜塩素酸ナトリウムの殺菌は濃度200mg/ℓなら5分、100mg/ℓなら10分など、条件をタイマーで管理する運用が紹介されています。
デメリット側の現場負担は「殺菌して終わりではない」点に出ます。
殺菌後に不衛生な取扱いをすると再汚染リスクがあるため、清潔な手袋の着用や器具へのアルコール噴霧など、工程全体での二次汚染防止が重要です。
つまり、ドライ加工は“乾かす技術”というより、“乾く前後の衛生運用”まで含めた技術投資になりやすいのが現実です。
乾燥工程のメリットは、乾燥機を使えば天候に左右されず、衛生的に乾燥できる点です。
乾燥条件(温度・時間)は原料の種類、形状、乾燥機の能力で変わるため、試作で設定温度と時間を決めるべきだとされています。
特に厚みのある材料は、最初から高温にすると表面が先に硬くなり内部の水分が抜けにくくなるため、低温から開始し徐々に温度を上げるなどの工夫が推奨されています。
デメリットとして見落とされがちなのが、「乾燥ムラ=品質ムラ」だけでなく「乾燥遅延=変色・微生物増殖のリスク」になり得る点です。
トレーに広げる際に重ねたり、庫内に詰め込み過ぎたりすると乾燥に時間がかかり、変色や微生物増殖につながる可能性が示されています。
このため、収量が増えた日に“とにかく入れる”運用をすると、歩留まりだけでなくクレームや廃棄で利益を失う構造になりやすいです。
ドライ加工のメリット(長期保存)を数値で支える考え方が、水分含有量と水分活性です。
乾燥後に粉砕して粉末製品にする場合、水分含量を10%程度にする必要があるとされ、手触り確認に加えて水分量・水分活性の測定が確実だと説明されています。
乾燥野菜の水分活性は0.2~0.5程度という目安も示されており、乾燥の到達度を工程管理するうえで有用です。
一方のデメリットは、「乾いているように見える」ことが判断ミスを生む点です。
水分含有量は“全体の水の量”、水分活性は“微生物が利用できる水(自由水)の状態”に近く、乾燥ムラがあると局所的に危険が残ることがあります。
そのため、歩留まり(重量変化)だけで合否判定すると、袋詰め後の保管中にカビ・品質劣化が出る可能性があり、測定や記録の導入が結果的に損失を減らします。
参考)乾燥加工の種類と導入検討のポイント|研究開発ブログ|一般社団…
参考:乾燥管理・殺菌(200ppm/5分)・記録様式など「野菜乾燥粉末」の衛生管理の具体例
厚生労働省「小規模な野菜乾燥粉末製造事業者におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」
ドライ加工のメリットは「乾燥で終わらせず、包装で完成させる」と最大化します。
例えば、簡易包装で短期間販売するのか、品質保持剤を封入して密封し長期間保管に寄せるのかで、日持ちの設計が変わるとされています。
品質保持剤を使うなら、酸素や湿気を通しづらい材質の包材選定がポイントになるとも示されています。
ここが独自視点ですが、農業者の乾燥加工で“利益を削るデメリット”になりやすいのは、乾燥条件より「包装後の戻り吸湿」です。
乾燥直後は良品でも、作業場の湿度が高い日に袋詰めすると、製品表面が短時間で湿り、シール不良や内部結露の温床になり得ます。
対策は難しい設備投資より先に、①乾燥後は放冷しすぎず速やかに包装、②包装エリアをできるだけ乾燥させる(除湿器・エアコン・扉開放を減らす)、③シール面の粉付着を減らす、④検品でシール不良・噛み込みを潰す、のように“運用で湿気を敵に回さない”設計です。
また、乾燥加工は「作れば売れる」より「用途提案ができれば売れる」に近い加工です。
粉末は菓子生地に混ぜる、湯に溶いてソースにするなど用途が広がる例が示されており、用途が明確なほど乾燥形状(スライス/ダイス/粉末)や仕上げ水分の最適点を作りやすくなります。
結果として、メリット(長期販売・付加価値)を取りに行くなら、乾燥条件だけでなく「誰がどう使うか」から逆算して、下処理・乾燥・包装・表示まで一体で設計するのが安全です。

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