里芋の施肥は、ざっくり言えば「元肥で土台を作り、追肥で生育を合わせる」が基本です。農家webの解説では、元肥は植え付け時期に施し、追肥は発芽後3週間ほどで1回目、そこから約1か月後に2回目という整理になっています。さらに2回目の追肥は梅雨明け前が理想とされています。
現場で重要なのは、「カレンダー通り」よりも「里芋の状態」に合わせて前後させることです。例えば、発芽が揃わない年に日付だけで追肥すると、遅れた株に肥料が強く当たって肥料焼けのリスクが上がります。発芽が揃ってから“3週間”という考え方にすると、株間のばらつきに強い施肥設計になります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/70208b79bdcd69fd474773ec8d543bbd3e10ab28
追肥の作業日を決めるときは、圃場の水分も見ます。雨続きで土が重いと中耕や土寄せが雑になり、結果的に芋の露出を招きます。逆に乾き過ぎていると、肥料が効き始める前に根が水分ストレスで止まりやすいので、追肥後に軽く潅水できる段取りがあると安定します(特に畑地の黒ボクや砂質寄り)。※里芋は乾燥に弱く、土壌は保水性がよいところを好む、と農家webでも明記されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/39db5e2a1d1305fda49805e3fca368647ea0f2de
元肥は「肥料そのもの」だけでなく、堆肥とpH調整が収量の下支えになります。農家webでは、土壌は保水性がよく常に湿り気のあるところを好み、土壌酸度(pH)は5.5~6.5が目安、酸度が高い場合は苦土石灰で調整するとされています。
堆肥については、同じく農家webで「牛ふんなどの堆肥は植え付け1か月前までには行う」と具体的なタイミングが書かれています。ここを守る理由は単純で、土となじむ前に入れると局所的に濃度が上がり、根の伸長が鈍ることがあるからです。特に未熟堆肥はガスなどが出て作物に影響することがあるため、完熟堆肥を使うのが安心という注意点も示されています。
元肥のやり方には「全面施肥」と「溝施肥」があります。農家webでは、全面施肥では完熟堆肥を1㎡あたり3kg入れて土に混ぜ、さらに有機肥料や化成肥料を畝全体に混ぜる流れが示されています。溝施肥は植え溝に堆肥と肥料を入れて土を戻し、少し期間を置いてから植えるため、肥料焼けのリスクを下げたい圃場で選びやすい方法です。
「意外と見落としがち」なのが、堆肥の種類でカリの持ち込み量が変わる点です。福島県の施肥基準資料では、堆肥の種類ごとに“窒素有効成分量”の目安が整理されており、例えば牛ふん・豚ふん・鶏ふんで数値が大きく違います。つまり“同じ1t”でも効き方が変わるので、堆肥を増やす年は元肥の化成量を引く設計にした方が安全です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/17f092b0cda226240fb5cbcab220c2b1559e38fd
追肥は速効性の化成肥料が扱いやすい、と農家webは説明しています。施肥量の目安として、追肥は株間に化成肥料を入れ、1株あたり“一握り程度”が目安、という表現で示されています。
また、元肥の量についても目安が明記されています。農家webでは、全面施肥の場合は「1㎡あたり堆肥3kg、化成肥料100gが目安」とされ、元肥は控えめにして生長に合わせて追肥で合わせることがポイントだと整理されています。
ここでのコツは「一握り」を固定量として扱わないことです。葉色が濃く、株が勢い良すぎる(いわゆる“つるぼけ”に近い雰囲気)なら、追肥を半量にして土寄せだけ先に進める判断もあります。農家webでも、元肥を与えすぎると茎葉が茂りすぎて分球肥大に影響が出ることがあるので、葉が茂り過ぎなら追肥は控えめにするよう注意されています。
一方で、追肥を怖がりすぎて“肥料切れ”を起こすと、後半の肥大が伸びません。里芋は栽培期間が長いので、追肥を2回に分けて当てる設計そのものが、過不足の振れを小さくする安全策になります。実務では、1回目は「株を作る」、2回目は「肥大を押す」と役割を分けると判断が速くなります。
追肥の効果を“芋”に乗せる作業が、土寄せと中耕です。農家webでは、追肥をしたら中耕し、土寄せを忘れないこと、子イモは親イモより上にできるため土寄せで子イモが出ないようにする、と明確に書かれています。さらに土寄せの厚みは、1回目は5cm程度、2回目は10cmほどが目安とされています。
この「5cm→10cm」は、単なる作業手順ではなく、芋の露出(緑化や乾燥)を防ぎながら根域を広げる設計です。追肥だけして土寄せが浅いと、肥料は効いたのに芋が土面近くで止まり、結果として小玉が増えることがあります。逆に土寄せを一気に深くしすぎると、株元が過湿になって根傷みや作業後の活着不良を招くことがあるので、段階で積むのが合理的です。
独自視点として、土寄せの質を上げる小技を一つ。追肥前日に軽く潅水して「土が団粒でほぐれる状態」にしておくと、土寄せが“空気を含んだ土”になりやすく、根が伸びるスペースを作れます(粘土質で特に効きます)。土がベタベタのときに無理やり土寄せすると、固い塊が株元を覆ってしまい、後から乾いてカチカチになりがちです。結果として根の呼吸と伸長を邪魔し、追肥の効率も落ちます。
最後に、最低限のチェックリストを置いておきます(圃場巡回で使える形にしました)。
参考:追肥時期・量・土寄せの具体目安(発芽3週間後、1か月後、1株一握り、土寄せ5cm→10cm)
里芋(サトイモ)の栽培 肥料のやり方の基本とおすすめ肥料
参考:作物別施肥基準(堆肥の種類と窒素有効成分量の目安など、施肥設計の考え方の根拠)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/319444.pdf