国有林での山菜採取は「レクリエーション」として限定的に認められる場合を除き、基本的には無断採取が禁止されており、森林法に基づく「森林窃盗罪」の対象になり得ます。
国有林野では、樹木だけでなく山菜を含む草本類やキノコ、岩石、土砂までが「森林産物」とされ、これを所有者の許可なく採取・持ち去る行為は処罰の対象になり得ます。
森林窃盗罪は3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があり、特に営利目的で大量に山菜を持ち帰る行為は厳しく見られる点に注意が必要です。
山菜採取を目的に国有林へ入る場合、地域によっては入林届の提出や、採取可能な期間・区域の指定が行われており、事前に森林管理局や自治体の案内ページを確認しておくことが求められます。
参考)国有林へ入林される皆様へのお願い:四国森林管理局
北海道の一部道有林のように「自家消費目的のレクリエーションとしての山菜採取のみ可」「販売目的の採取は禁止」と明記しているケースもあり、同じ“山菜採り”でも用途によって扱いが変わる点は現場指導時の重要ポイントです。
参考)https://www.tokachi.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/0/1/4/4/8/4/7/_/%E5%B1%B1%E8%8F%9C%E6%8E%A1%E5%8F%96%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%83%9E%E3%83%8A%E3%83%BC.pdf
また、特別保護地区を含む国立・国定公園内では自然公園法により、山菜など植物の採取が許可制となる区域があり、無許可採取は3年以下の懲役や300万円以下の罰金等の対象になる可能性があります。
参考)実は違法?!山菜採りの禁止事項と罰則について解説
国有林での山菜採取について詳しいガイドライン(入林届が必要なケースや禁止事項の概要)
国有林での山菜等の採取について|林野庁北海道森林管理局
私有林や集落の共有林での山菜採取は、土地所有者または管理者の許可がなければ原則として認められず、所有者が栽培している山菜を無断で採れば一般の窃盗罪として扱われる可能性があります。
一方、昔から集落単位で山を共同利用してきた地域では「入会権」に基づき、一定の住民が共通ルールのもとで山菜や薪を採取できる慣行が残っており、外部の人が同じ感覚で入り込むとトラブルの火種になりやすいです。
農業従事者が山菜採取を兼ねて隣接山林に入る場合、「所有者が誰か」「入会権の範囲に自分が含まれるか」「地区ごとに決めた採取量や禁止エリアがないか」を事前に自治会や山林組合を通じて確認しておくことが安全です。
参考)山菜等の採取をされる皆様へ|由利本荘市公式ウェブサイト
現場では「昔からみんな採っているから」「放置山だから問題ない」といった認識が残りがちですが、所有者側から見れば森林産物の無断持ち去りであり、林道整備や獣害対策などの負担だけを押しつけられているという不満につながりかねません。
参考)国有林での山菜・きのこ採りは違法? - 北海道の山info
山菜ツアーや地元主催の採取イベントでは、主催者が地権者と事前調整のうえで入山許可や採取範囲を取り決めていることが多く、「どこまでがOKなのか」を学ぶ実践の場としても活用できます。
参考)山菜採りのエチケット&トラブル回避術|安全&マナーを守って楽…
私有地・共有地での採取と法律、入会権の基礎知識を整理した解説
山への入り方|山菜の里いび
山菜は多年生の草木が多く、根や株を残すことで翌年以降も同じ場所から芽吹きますが、根こそぎ採ったり株を傷める採り方を続けると、短期間で群落が消失してしまいます。
多くの自治体や林業関係機関は「山菜は再生できる範囲内で採る」「根こそぎ採らない」「若すぎるものや大きすぎるものは残す」といった採り方のルールを示しており、ワラビやゼンマイでは、根を傷つけないように折って採取する方法が推奨されています。
量に関しては、「自分の家でおいしく食べきれる分だけ」が基本で、商業目的の大量採取は国有林・道有林など多くの公的林で禁止されています。
参考)山菜採り初心者が注意すべき5の項目!
山菜やキノコは人間だけでなく、シカやクマ、鳥類など野生動物の貴重な餌資源でもあるため、人の採りすぎは野生動物の行動圏を変化させ、農地への出没を助長する一因となり得る点にも配慮が必要です。
参考)山菜等の採取にあたっての注意点 - 飛騨市公式ウェブサイト
タラの芽では2番芽を残す、コシアブラやウドは株全体のごく一部の芽だけを採るなど、品目ごとの「残し方」を共有しておくと、同じ山を使う農家・地域住民同士の摩擦を避けやすくなります。
参考)山菜採りのマナーとルール:自然を守るためにできること
山菜ごとの採り方や「根こそぎにしないためのコツ」を整理した資料
山菜の採取はルールを守って|新潟県
農業従事者は日常的に山林に近接して働くため、山菜採取のついでに「ついで作業」として境界を越えてしまい、意図せず他人の山に入ってしまうリスクが高く、地番図やGISを使った境界確認がトラブル予防に有効です。
作業着や軽トラで山に入る姿は周囲から業務利用と見なされやすく、たとえ自家消費目的であっても「販売用に採っているのではないか」と疑念を持たれるケースがあり、近隣への声かけや入山時の掲示物で誤解を防ぐ工夫も重要です。
フィールドマナーとしては、山菜採取とあわせて以下のような点が挙げられます。
また、最近では山菜スポットの位置情報をSNSや動画で詳細に公開する行為が問題視されており、観光客の急増によって短期間で資源が枯渇したり、ゴミや路上駐車が増える例も報告されています。
農家が自ら山菜の販路を持つ場合でも、採取場所は「〇〇地域の山菜」といった表現にとどめ、個別の谷名や林道名まで特定される情報は伏せるなど、資源保全と地元コミュニティへの配慮が長期的な経営安定につながります。
山菜採り時の安全・防災上のマナーや注意事項をまとめた解説
山菜等の採取をされる皆様へ|由利本荘市
山菜は「遊び」や副収入の対象として扱われがちですが、里山の生態系を維持する重要な構成要素であり、放牧地・耕作放棄地の管理と組み合わせることで、雑草・低木の侵入を抑える“里山メンテナンス”の一部として活用できます。
一部地域では、自治会単位で「山菜採取可能日」「採取禁止エリア」「採取量の目安」をルール化し、地元農家・林家・一般住民・外部の山菜ツアー参加者を含めたガイドラインとして共有することで、資源量を安定させている事例も報告されています。
農家目線での実践例としては、次のような取り組みが考えられます。
このように「山菜 採取 ルール」を単に守るべきマナーとして捉えるだけでなく、地域ぐるみの資源管理の入り口として位置づけることで、里山の保全・防災・観光のバランスをとる枠組みづくりにもつながっていきます。
農業従事者としては、自分の圃場だけでなく、背後にある山林も含めた“ランドスケープ全体”を見渡し、山菜の増減を一つの指標にしながら、獣害・土砂災害・労働安全といったテーマを合わせて議論していくことが求められているのではないでしょうか。
地域ぐるみの山菜資源管理や外来種対策に触れている参考記事
山菜採りのマナーとルール|三河山菜園