「ピンチピンチマーチ」を真面目に畑で歌うだけで、農薬代と病害リスクが一気に跳ね上がることもあるんですよ。
Eテレの「ピンチピンチマーチ」は、失敗して「絶対ママに叱られる」と思いながらも「きっとだいじょうぶ なんとかなる」と前向きになる歌です。
つまり「ピンチを歌でごまかして、次に進む」マインドを肯定する構成になっています。
農業現場でも、長雨や遅霜、病害の前兆を見て「まあ大丈夫だろう」と自分に言い聞かせた経験は、一度はあるはずです。
ここで問題になるのは、「本当に動かなければいけないピンチ」と「一晩寝ればどうにかなるピンチ」の線引きが曖昧になりやすいことです。
結論は「歌でごまかして良いピンチ」と「数字で管理すべきピンチ」を分けることです。
例えば、玉ねぎや小麦など冬を越す作物では、3月の追肥や病害虫防除を1回飛ばしただけで、その後の茎数や球の太りが目に見えて落ち、1反あたりで収量が10~30%下がったという報告もあります。
1反で売上が30万円になる作型なら、3割ダウンは9万円の「目に見えない損失」です。
「一回くらい多分平気」と思って後回しにしたピンチが、知らないうちに財布をじわじわ締め付ける形ですね。
ピンチを軽く扱うクセがつくと、こうした毎年の小さな取りこぼしが積み上がります。
つまり見逃したピンチは、数年単位では中古トラクター1台分の差になることもあるということです。
精神的には、「ピンチピンチピンチだ どうしよう」と口にするだけで、状況を客観視しやすくなる効果はあります。
これは悪いことではなく、ストレス管理には役立つ場面もあります。
しかし行動を伴わない前向きさだけだと、畑の状態はほぼ確実に悪化します。
歌は気持ちを上向きにするツールとして限定的に使い、判断そのものは土の状態や気象データ、病斑の数など具体的な情報を見て決めるのが現実的です。
前向きさと危機管理はセットで考えるのが基本です。
花き栽培、とくに小菊では「ピンチ=摘心作業」が収量を決める一大イベントになっています。
小菊の定植後、ピンチをして頭を切らないと、1本仕立てで本数が増えず、収量が頭打ちになります。
逆に、適切にピンチすることで下から2~4本の芽が立ち上がり、出荷本数が2倍、3倍に増えることも珍しくありません。
つまりピンチを「怖いから様子見」と先延ばしすると、実はその時点で来月の売上を自分で削っていることになります。
ピンチを避けること自体が損失の原因ということですね。
さらに、動画の指導では「定植後とピンチ後は、1週間は毎日水をやるのが基本」と明言されています。
もしピンチ後の潅水を2~3日サボるだけで、活着不良や芽数不足につながり、1本あたりの花数が目に見えて減るケースもあります。
はがきの横幅(約10cm)ほどしか伸びていない苗で水切れを起こすと、その後の伸びが鈍り、草丈が15~20cmくらい短いまま止まる株も出ます。
出荷時に箱を開けたとき、1本だけ頭が低くて等級が落ちる、そんな光景が目に浮かびます。
ピンチ後の1週間管理こそが、売上を左右するゴールデンタイムということです。
また、ピンチのタイミングは天気予報とのセットで考える必要があります。
動画でも「次の日が寒くならない日に行うよう必ず心がけてください」と繰り返し注意されており、寒波前のピンチは活着に悪影響が出ると説明されています。
ここで「忙しいから今日やってしまえ」と強行すると、低温で傷口が乾かず、病原菌の侵入リスクも高まります。
作業日を1日ずらすだけで、芽の出方と病害リスクが変わるのです。
ピンチの怖さは「ハサミを入れる瞬間」ではなく、「翌1週間の気温と水」を読むかどうかにあります。
ピンチの前後は、天気アプリとにらめっこが基本です。
この内容の詳しい栽培手順や動画解説は、地方農業普及センターやJAが公開する小菊の栽培動画が参考になります。
小菊の定植とピンチ作業のポイントを解説した栽培動画(ピンチ後の水管理と天候判断の重要性の参考)
「ピンチピンチマーチ」は、歌詞の中で「きっとだいじょうぶ なんとかなる」「そんなとき うたおう ピンチピンチマーチ」と繰り返し、ピンチの気持ちをコミカルに切り替える構成です。
これは、子どもが叱られそうなときに、気持ちを前向きにするための知育ソングとして設計されています。
農業に置き換えると、「失敗を引きずらず、次の手を考えるためのリセットボタン」のような役割だと考えるとしっくりきます。
大事なのは、リセットだけして状況を見直さない状態を避けることです。
つまり感情のリセットと現場の見直しをセットにするということです。
例えば、除草剤のローテーションをうっかり忘れて、同じ系統の薬剤を連続散布してしまったとします。
その場では何も起きなくても、翌年以降に「効かない雑草」が増えて、1回の散布では抑えきれず、2回散布が標準になってしまう地域もあります。
1回1万円の散布が、毎年2万円かかるようになるイメージです。
このとき、「やっちゃったけど、きっとなんとかなる」と思うだけで終わると、将来の自分がそのツケを払うことになります。
失敗を歌で流す前に、ノートに「なぜミスしたか」「次どう防ぐか」を1行でメモする習慣が原則です。
安全面でも同様です。
疲れた夕方に、「あと1枚だけ耕してしまおう」と無理をしてトラクターに乗ると、ヒヤリハットや軽微な接触事故が増えることは、全国の事例で繰り返し指摘されています。
ここで「ピンチピンチピンチだ どうしよう」と笑いに変える前に、「今日はここまで」というルールを数字で決めておく方が安全です。
例えば「日没30分前には必ず終了」「連続作業は2時間まで」のようなシンプルな決め方で十分です。
数字で自分を止める仕組みが条件です。
気持ちの切り替えを助けるツールとしては、気象アプリや作業記録アプリも有効です。
「ピンチだ」と感じたら、まずアプリを開いて天気と過去の記録を確認し、「今日はどこまでやるか」を決めてから、気分転換に一曲口ずさむ。
この順番を守るだけで、ピンチを無視するのではなく「扱える範囲」に変えやすくなります。
歌は最後に使うほうが安全です。
つまり「数字→判断→マーチ」の順が基本です。
農業者にとって「マーチ(March)」は、カレンダーの3月そのものを連想させる言葉でもあります。
玉ねぎや麦、露地野菜では「3月の管理でその年の出来が決まる」と現場でよく言われ、福島県などの栽培動画でも3月以降の管理が運命を左右すると強調されています。
この時期は、1日の寒暖差が10度以上になる日も珍しくなく、朝は霜が降り、昼にはビニールハウス内が30度近くまで上がることもある時期です。
まさに「ピンチが行進してくる季節」と言えます。
3月は、毎日が小さなピンチの行列ということですね。
ここで役立つのが、「3月マーチ表」とでも呼べる簡単なメモです。
カレンダーに、毎日の最低気温・最高気温・降水量のざっくりした数字と、畑の状態(霜柱の有無、土の硬さ、病斑の数)を1行だけ書き込んでいきます。
1か月で30行のメモがあれば、翌年の3月に同じパターンの気温が来たとき、「去年はこのタイミングでベト病が出た」「この頃にピンチしたら活着が悪かった」といった自分だけのデータが手元に残ります。
これは、天気予報アプリだけでは得られない「自分の畑専用のマーチ譜」です。
結論は、自分の畑の3月の歩き方を記録することです。
「ピンチ ピンチ マーチ 怖い」と感じるのは、先が読めないときが多いものです。
逆に、過去3年分の3月マーチ表があるだけで、「この気温なら去年は大丈夫だった」「この雨量の後は必ず病害前兆を見てから肥料を入れた」など、判断の根拠が増えていきます。
すると、ピンチは「漠然と怖いもの」から「パターンを持った相手」に変わります。
相手の癖が分かれば、こちらも余裕を持って動けます。
3月を「記録で歩くマーチ」に変えることがポイントです。
この視点は、既存のピンチピンチマーチ解説サイトではほとんど語られていませんが、農業経営の現場にはすぐ応用できます。
参考)おかあさんといっしょ「ピンチピンチマーチ」作詞作曲・歌詞・ク…
歌が子どもの気持ちを軽くするように、データの積み重ねは大人の不安を軽くします。
不安が減れば、無茶な残業や危ない作業も自然と減ります。
3月マーチをつけるのに必要なのは、紙のカレンダーとペン1本だけです。
つまりコストゼロでできる自分専用の危機管理ツールということです。
「ピンチピンチマーチ」は、子どもが失敗しそうな場面でも「きっとだいじょうぶ なんとかなる」と家族で歌えるように作られた曲です。
歌詞には「なんだかよくない ことになる」「たぶんパパにも しかられる」といったフレーズもあり、家庭内での小さなトラブルを前向きに受け止めるメッセージが込められています。
この「家族で共有できる失敗観」は、家族経営が多い農業には意外と相性が良いところがあります。
畑のピンチも、誰か一人の責任にせず「どう乗り越えるか」を一緒に考えやすくなるからです。
家族で共有することが基本です。
例えば、急な大雨で作業が中断になり、畝が冠水してしまった場面を考えてみます。
インスタグラムでも「ピンチはチャンスと聞くけどこのあとチャンス来るかな?!」と、大雨で畑が水浸しになった様子をユーモラスに発信する農家さんがいました。
参考)Instagram
実際には、その後の排水や病害対策で大変な作業が待っていますが、それでも「ピンチ」と口に出すことで、家族や仲間に状況が伝わりやすくなります。
「今はこういうピンチだから、今日はここまで」「明日は朝から排水に全力」というように、予定の組み直しもしやすくなります。
口に出すこと自体が必須です。
ただし、ここで気をつけたいのは、「ピンチだから」といって無理な残業や危険な作業を正当化しないことです。
家族の中で「ピンチのときこそ早く切り上げる」「ピンチのときほどヘルメットと安全靴を徹底する」といったルールを決めておくと、事故リスクを減らせます。
何のリスクにどう対処するかを共有してから、それでも気が重いときに歌で空気を和らげる、という順番が大事です。
「ピンチだからこそ守るルール」を紙に書いて貼っておくのもよい方法です。
ピンチに注意すれば大丈夫です。
精神面のケアとしては、「今日はこれだけ頑張った」と家族で一日の終わりに振り返る時間を数分だけでも取ると、ピンチ続きの時期でも折れにくくなります。
その日にあった小さなうまくいったことを一つずつ出し合い、「じゃあ明日はどんなマーチになりそうか」と軽く話してみる。
この習慣があるだけで、「ピンチ=悪い日」ではなく「次の一歩を考える日」に変わっていきます。
歌と会話を組み合わせることで、畑のピンチだけでなく家族の関係も守れます。
これは使えそうです。
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