人参の追肥タイミングは、結論から言うと「本葉が5〜6枚(〜7枚)に展開した頃」で、主根肥大期に入る前を狙うのが基本です。これは、養分吸収のピークが主根肥大期の中〜後期に来る一方、幼苗期は吸収量が小さく、早すぎる追肥は効かせたい時期に残りにくいからです。
実務で合わせやすいのが「2回目の間引き」と同時に追肥する方法です。間引き=条間・株間の風通しが改善し、同時に中耕・土寄せもしやすいため、追肥した肥料を土にきちんと混和して効かせやすくなります(肥料が地表に出たままだと雨で流れたり、局所的に濃度が上がったりします)。
注意点は「遅すぎ」。主根肥大期の後半まで肥料が多く残ると裂根(根が割れる)が出やすい、と施肥管理の注意事項として整理されています。追肥は“最後に盛る”作業ではなく、“肥大に入る直前に不足を作らない”作業だと捉えると判断がぶれにくいです。
・追肥の基本タイミング:本葉5〜7枚(2回目の間引きに合わせる)
・避けたいタイミング:肥大後半に入ってからの追加(裂根リスクが上がる)
追肥のタイミングを裏から見る「意外な視点」として、ニンジンは低温(10℃未満)や高温(30℃超)で主根の肥大が抑制されるため、肥大が止まりがちな時期に追肥しても“吸わせにくい”ことがあります。気温推移と作型(春夏・秋冬)を見て、「肥大が素直に進む季節に効くように」前倒し気味に設計するのが実用的です。
追肥・肥大期の考え方(主根肥大前に効かせる、遅い追肥は裂根リスク)参考:簡潔にまとまった施肥管理の注意と追肥時期の説明
http://bsikagaku.jp/f-fertilization/carrot.pdf
追肥量は圃場条件で変わりますが、設計の“型”としては「元肥を厚め、追肥は控えめ」が基本です。施肥量の配分は、基肥:追肥=1:0.3〜0.4(=追肥が3〜4割)という目安が示されており、追肥は「不足を埋める」位置付けになります。
家庭菜園のように面積が小さい場合でも、この配分思想はそのまま使えます。元肥を入れすぎると、まだ肥料が要らない時期に効いてしまい、後で必要な時期に切れてしまう(さらに裂根などの品質トラブルにもつながる)という“タイミングのズレ”が起きやすいからです。
追肥で与える成分の例としては、化成肥料で窒素・りん酸・加里を各3〜5kg/10a、または窒素だけを3〜5kg/10a、といった示し方がされています。ここで重要なのは「数値を丸暗記する」より、次のように“圃場で調整できる指標”を持つことです。
・葉色が淡い/生育が鈍い:追肥を“適期に”検討(ただし遅らせない)
・前作の残肥が多い(ネギ・ハクサイ・バレイショ等の後作):元肥だけの少肥栽培も選択肢
・土壌診断ができるなら最優先:圃場ごとに必要量は大きく変わる
「追肥は絶対に必要」というより、“圃場によっては追肥を省略する設計もある”のが実際です。緩効性窒素と速効性窒素を組み合わせて基肥に寄せ、追肥自体を省略して省力化する方法が紹介されています。
追肥割合(1:0.3〜0.4)、追肥量の考え方、追肥省略の設計例(基肥中心)参考:施肥管理の章がまとまっている
http://bsikagaku.jp/f-fertilization/carrot.pdf
人参の追肥で迷うのが「何肥を入れるか」です。実務上は、圃場の元肥設計ができているなら、追肥は“化成肥料で薄く整える”か、“窒素(チッソ)主体で足りない分だけ補う”のどちらかに寄ります。
目安として、1作で必要な施肥量(成分量)は、10㎡当たりで秋まきチッソ100〜150g・リン酸150〜200g・カリ100〜150g、元肥7割・追肥3割程度、追肥は間引き直後に1〜2回、という示し方があります。つまり、追肥は回数・量ともに「少なめ複数」か「1回で適量」に寄せ、効かせる時期(間引き直後)を外さないのが要点です。
肥料の種類で意外と効くのが「効き方(速効/緩効)」の組み合わせです。ニンジンは主根肥大期に養分吸収が増えるため、元肥に緩効性要素を混ぜておくと、追肥の“当て外れ”を減らしやすくなります(追肥をするなら、そこに速効で微調整するイメージ)。
・化成肥料:N-P-Kをまとめて管理しやすい(追肥設計が単純)
・窒素主体:葉色・勢いで不足が読みやすいが、やりすぎると徒長や品質低下を招きやすい
・緩効性を元肥に混ぜる:追肥の省力化・安定化に寄せられる(圃場の考え方が必要)
なお、人参は「加里(カリ)を好み、吸収量が多い」という特徴も整理されています。元肥が窒素寄りでカリが薄い設計だと、追肥で窒素だけを足しても“根の太りが思ったほど乗らない”ことがあるため、元肥〜追肥を通してN-P-Kのバランスを見るのが安全です。
10㎡成分量の目安(元肥7割・追肥3割、追肥回数、N-P-K目安)参考:家庭菜園でも換算しやすい基準
https://www.takii.co.jp/tsk/manual/ninjin.html
追肥で効き目を分けるのは「どこに入れるか」です。条数で考えると、2条播きはうね中央に浅い溝を切って施肥→覆土、1条播きはうね肩にすじ状に施肥、という施用位置が示されています。施肥後に中耕・土寄せをすると肥効が高まる、とされており、追肥は“撒いて終わり”ではなく“土とセット”です。
また、施肥位置は品質にも関係します。未熟堆肥や固形物のある堆肥は岐根・奇形根の原因になるため、本作での堆肥施用は避け、前作で入れるべきだと整理されています。追肥であっても、根の近くに濃い肥料塊や未熟有機物があると、根が避けたり、分岐したりしやすく、見た目で単価が落ちるリスクになります。
実務の作業手順(例)を、やりやすい順に並べます。
「土寄せ=倒伏防止」というより、人参では“追肥の効きを安定させる作業”という意味合いが強いです。雨の後に肥料が流れて偏る圃場ほど、すじ施肥+覆土の丁寧さが効いてきます。
追肥の施用位置(うね中央/うね肩)と、未熟堆肥が奇形根の原因になる注意 参考:施肥位置まで書かれている
http://bsikagaku.jp/f-fertilization/carrot.pdf
検索上位では「時期・量・回数」の話が中心になりやすい一方、現場で痛いのは“失敗の回避”です。ここでは独自視点として、追肥を「やるか/やらないか」を“リスク管理”として決める考え方をまとめます。
まず、裂根(根が割れる)は「遅い追肥」が引き金になるリスクがある、と施肥管理の注意として整理されています。つまり、肥大が進んでから追肥で一気に効かせるのは、増収狙いに見えて品質を落としやすい手です。
次に肥料焼け。肥料焼けは過剰施用などで土壌中の肥料濃度が高くなり、根が水分を吸いにくくなることで生育が阻害される、と説明されています。特に窒素が多い水溶性の肥料を一度に多量に与えるとリスクが上がるため、追肥は少量ずつ・様子を見ながら、という方針が推奨されています。
ここから導ける「追肥不要」の判断軸は、感覚ではなく条件で持つのが安全です。
・前作の残肥が多い、または元肥を適正に入れて緩効性も使っている:追肥を省略する設計もあり得る
・本葉5〜7枚の適期を外してしまった:無理に追肥せず、裂根リスクと天候を見て割り切る
・乾燥が強く灌水が不十分:追肥は肥料濃度が上がりやすいので、先に水管理を立てる(肥料焼け回避)
「意外な小技」としては、追肥をする/しないの二択ではなく、“追肥をしない代わりに、元肥の置き方(局部条施肥)と効き方(緩効+速効)を設計して当てる”という発想です。人参は生育初期に不足すると肥大不足になりやすい一方で、後半の過剰は裂根につながりやすいため、追肥の上振れ下振れを減らす設計に価値があります。
肥料焼けの原因(過剰施用、高濃度で吸水阻害、少量ずつの追肥が推奨)参考:追肥の注意点として使える
https://www.sc-engei.co.jp/gardeningbeginner/gardening_column2/2024/10/post-19.html