あなたが夕方に薬剤を撒いているなら、実はそれが発生倍増の原因になっています。
ナシクロハモグリは4月下旬から6月上旬にかけて多発します。特に関東や東海地域では5月中旬の発生率が最も高く、葉裏の食害痕が線状に広がることで判別できます。幼虫は体長約2mmと小さく、肉眼では見つけづらいのが厄介です。つまり、被害が見つかった時点ではすでに繁殖が進行しているということです。
気温20℃前後で活動が最も活発になります。ですから、まだ肌寒い時期でも油断できません。落葉樹園では前年の落葉に蛹が残っている場合があり、掃除を怠ると翌年の発生源になります。
落葉処理が基本です。
薬剤を散布する際は【孵化直後】のタイミングが最も有効です。発生予察情報を自治体が出している場合は、それを確認して動くのが確実です。
参考:農研機構「ナシクロハモグリの発生予察と対策」には地域別発生データが掲載されています。
農研機構公式サイト
防除の基本は「薬剤のローテーション」です。毎年同じ成分(特にネオニコチノイド系)を使用していると、2年以内に抵抗性を持った個体が発生します。抵抗性がつくと、翌年の被害面積が約2倍になることが確認されています。
これは痛いですね。
効果が高いとされるのは、スピノサド(成功率85%以上)、エマメクチン安息香酸塩(食害停止効果が持続)、ジアミド系などです。
つまり、作用点の異なる薬剤を順に使うのが基本です。散布時は展着剤を0.1〜0.2%加えると葉面への付着率が2倍になります。
薬剤コストは10aあたり約1,800円程度ですが、被害による果実の減収が20%以上になるケースもあるため、予防の方が圧倒的に安上がりです。
ナシクロハモグリ単独の被害は限定的でも、ハダニやアブラムシとの同時発生で果皮障害や落葉が急増します。特に6月以降の温暖期には、被害葉率が3倍に跳ね上がることもあります。
つまり、見逃すと生育全体に影響します。
複合被害の兆候は葉の表面光沢が失われる点です。被害葉が多いほど光合成効率が低下し、糖度が下がるため果実品質も落ちます。
対策としては、マルチ防除が有効です。
つまり、害虫ごとに適した薬剤を同時期に計画的に使うことがポイントです。
昨今では、AI分析による防除助言アプリ「AgriScope」などを活用する農家も増えています。
コストを抑えたい方には有効ですね。
防除だけでなく「環境整備」も重要です。冬季の剪定くずや落葉、樹下の雑草が繁殖地になるケースが多いからです。
つまり、物理的に発生源をなくすことが第一歩です。
剪定後は樹下清掃と合わせて、5cm以上のマルチを敷いて発生を抑える方法もあります。園地の風通しを確保すれば、湿度を抑えて成虫活動を制限できます。風通しが悪いと被害率が約1.6倍になるというデータもあります。
防除マップを年間で作成し、圃場ごとに対応を変えると効果が続きます。
計画的な管理が原則です。
意外ですが、ナシクロハモグリには天敵が存在します。特に「ハモグリヤドリバチ」や「セクロクロヒメコバチ」などの寄生蜂が有効で、自然環境下での発生抑制効果が確認されています。寄生率が60%以上に達する例も報告されています。
化学農薬を使いすぎると、これら天敵まで駆除してしまう問題があります。つまり、農薬だけでは解決しないケースがあるということです。天敵保全型の栽培管理を取り入れると、翌年の発生率が約40%減少します。
これは使えそうです。
最近では、天敵温存のため選択性が高い薬剤や微生物農薬(Bt剤など)が注目されています。
農薬選びの幅が広がりましたね。
参考:千葉県農林総合研究センター「環境配慮型防除法」には、天敵活用実例が掲載されています。
千葉県農林総合研究センター