くずは多年生雑草で、種子だけでなく塊根(地下の太い根)でも増えるのが厄介な点です。
春に株頭や太いつるの節から芽を出して一気に伸び、夏に地上部を広げ、秋(8~9月頃の開花期以降)は地下の塊根にデンプンを多量に蓄え始めます。
ここが最大のポイントで、地上部の葉やつるが一時的に枯れても、塊根が生きていれば翌年また出ます。したがって「葉を枯らす」ではなく「地下部の再生力を削る」発想が必要です。
現場でよく起きる誤解として、「夏に強い薬を濃く撒けば早く終わる」があります。くずは生育段階で体内の養分の流れが変わるため、薬剤の“根への届きやすさ”も時期で変わります。
また、つるが他の樹木や資材に複雑に絡むことで、散布ムラ・回収しにくさ・作業性低下が起き、機械防除だけでは労力に見合わないことが多いとされています。
くず対策で頻出するのがグリホサート系ですが、時期選定を外すと効率が大きく落ちます。
鳥取県農業試験場の資料では、7月上旬と9月上旬のフレールモア処理を行い、10月上旬にラウンドアップ(25倍液)を組み合わせる体系が「効率的」と整理されています。
同資料では、「夏までの処理」でラウンドアップ等のグリホサート系除草剤を使うと、「秋の処理」と比べてクズへの効果が極端に低いので推奨しない、と明確に注意されています。
つまり、グリホサートを“いつでも万能”と扱うのではなく、秋に寄せて「地下部へ向かう流れ」を利用するイメージが合理的です。
一方で、秋だけに寄せ過ぎると、秋の時点で既に蔓延して作業が破綻することがあります。資料でも「秋からの処理では遅く、夏までに処理を始めることが望ましい」とされ、早い段階から刈り払い等で勢いを落としておく前提が読み取れます。
実務上の目安(考え方)としては、次を押さえると判断が安定します。
くずの除草剤処理は、茎葉散布だけではなく、株頭滴下(株頭注入のように株元へ薬液を与える)も有効な選択肢として整理されています。
「つるが長すぎて散布面積が大きい」「周囲に枯らしたくない樹木・作物がありドリフトが怖い」「法面・林縁で全面散布が現実的でない」などの現場条件では、処理対象を株元に絞る発想が効いてきます。
使い分けの考え方は次の通りです。
意外と見落とされるのが「つるが混み合うほど、葉→根への移行が理屈通りに進まない」ケースです。葉が多いことは一見有利ですが、散布ムラ・薬液の乾き・重なりによる付着不良で、結果として“効いた葉だけ枯れて、株は残る”が起きます。
そのため、最初に刈って株元を見える化し、薬剤工程の精度(狙った場所に入れる)を上げる設計が、トータルでは省力になりやすいです。
耕作放棄地などでくずが面で蔓延している場合、単発の散布より「刈り取り+薬剤+追跡」の体系処理が現実的です。
鳥取県農業試験場の体系例では、フレールモア(7月上旬、9月上旬)+ラウンドアップ(10月上旬、25倍液)の組み合わせが提示され、さらにモア処理の代替としてバスタ等の除草剤処理を組み込む体系も「有効」とされています。
また、モア処理後に薬剤を散布するタイミングが早すぎると、その後に再生してくる個体があるため「散布時期に留意」と明記されており、“刈ったら即散布”が常に正解ではない点は重要です。
ここから読み取れる実務ポイントは、「工程ごとの目的を分ける」ことです。
さらに、資料にはスポット追加処理(取りこぼし株、新しく再生した株のみ対象)の考え方もあり、「ゼロにする」より「面→点→ゼロ」の順で潰すのが現場的です。
くずは根粒菌と共生して空中窒素を固定し、痩せた土地でもよく育つ能力があるとされています。
この性質は、放棄地・法面・造成地のように土が痩せていても、くずが先行して繁茂しやすい背景になります。
ここが独自視点として効いてくるのは、「刈って放置すると、刈草が有機物として残り、局所的に条件が良くなって翌年の再生を助ける」リスクを現場で意識できる点です(くず自体が“肥えた雑草”になり得る)。
対策は“薬剤の話”だけに閉じず、管理設計に落とし込みます。
参考:クズの発生・生態(塊根にデンプンを蓄える、株頭から再生、茎葉散布や株頭滴下処理など防除法の整理)
https://boujo.net/handbook/newhandbook5/%E3%82%AF%E3%82%BA-2.html
参考:耕作放棄地での体系処理例(フレールモア2回+10月のラウンドアップ25倍液、夏のグリホサートは効果が低く推奨しない等)
https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1018341/card2015-2.pdf