飽和脂肪酸の食品の一覧と摂取の目安やランキングで知る健康リスク

飽和脂肪酸が多い食品と少ない食品の違いを知っていますか?農業従事者の健康管理にも役立つ、植物性と動物性の脂質の違いやコンビニでの選び方を解説します。意外な食品の含有量とは?

飽和脂肪酸の食品の一覧

飽和脂肪酸の基礎知識
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含有量が多い食品

ココナッツオイルやバター、牛脂などの動物性油脂に多く含まれます。

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コンビニでの選び方

洋菓子よりも和菓子、揚げ物よりも焼き物を選ぶのがポイントです。

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農業の視点

家畜の飼料や作物の栽培環境によって脂質の質が変化することに注目。

飽和脂肪酸の含有量が多い食品ランキングと摂取の目安

 

飽和脂肪酸は、私たちの体にとって重要なエネルギー源ですが、現代の食生活では知らず知らずのうちに過剰摂取になりがちな栄養素です。特に農業のように体を使う仕事では、エネルギー補給として脂質を摂取することは大切ですが、その「質」を見極めることが健康管理の鍵となります。

 

まず、どのような食品に飽和脂肪酸が多く含まれているのかを把握するために、含有量が多い食品をランキング形式で確認してみましょう。一般的に、常温で固体の脂には飽和脂肪酸が多く含まれている傾向があります。これは、飽和脂肪酸の分子構造が直線的で整列しやすく、融点が高いためです。

 

順位 食品名 100gあたりの飽和脂肪酸量(概算) 特徴
1位 ココナッツオイル(ヤシ油) 約80g~90g 植物性だが極めて高い含有率。中鎖脂肪酸も含む。
2位 バター(有塩・無塩) 約50g~60g 乳製品の代表格。風味が良いが使いすぎに注意。
3位 パーム油 約45g~50g 加工食品やスナック菓子に「植物油脂」として多用される。
4位 牛脂(ヘット) 約40g~50g 濃厚な旨味があるが、血液中のLDLコレステロールを上げやすい。
5位 豚脂(ラード) 約35g~40g ラーメンやチャーハンなどのコク出しに使われることが多い。
6位 生クリーム(乳脂肪) 約25g~30g 洋菓子全般に含まれる隠れた摂取源。
7位 チェダーチーズ 約20g 乳脂肪分が凝縮されているため含有量は高め。
8位 チョコレート(ミルク) 約15g~20g カカオバター自体に多く含まれるが、ステアリン酸の特性も。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」などの資料を参考にすると、飽和脂肪酸の摂取目標量は、総エネルギー摂取量の7%以下(18歳以上)とされています。

 

例えば、農作業などで1日に2500kcalを消費する成人男性の場合、その7%は約175kcalです。脂肪は1gあたり約9kcalなので、重量に換算すると1日あたり約19g以下が目安となります。

 

上の表を見ると、バターを使った料理や、生クリームたっぷりのデザートを食べると、あっという間に1日の上限を超えてしまうことがわかります。特に注意が必要なのは、カレールーやインスタントラーメンです。これらには、固形化しやすく酸化に強いパーム油や牛脂が多く使われているため、1食で10g近い飽和脂肪酸を摂取してしまうことも珍しくありません。

 

また、「植物性なら体に良い」というイメージがありますが、ココナッツオイルやパーム油は例外です。これらは植物性でありながら、牛脂やラード以上の飽和脂肪酸を含んでいます。健康ブームでココナッツオイルが注目されることがありますが、摂取量には十分な注意が必要です。農作業の合間のエネルギー補給には、これらを避け、おにぎりやバナナなどの糖質中心の補食を選ぶほうが、内臓への負担を減らしつつ効率的にエネルギーを確保できます。

 

農林水産省:トランス脂肪酸・飽和脂肪酸の調査結果や低減に向けた取り組みについて
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/content/r45_transfat.html
Whole Food Catalog:飽和脂肪酸を多く含む食品の詳細なデータ一覧
https://wholefoodcatalog.com/nutrient/fatty_acids(saturated)/foods/high/36/

飽和脂肪酸が少ない食品とコンビニで買える健康的なお菓子

忙しい農繁期や作業の合間に、手軽に利用できるコンビニエンスストアは強い味方です。しかし、コンビニのお菓子やホットスナックには、保存性を高めたり食感を良くしたりするために、飽和脂肪酸の多い油脂(ショートニングやパーム油など)が使われていることがよくあります。ここでは、飽和脂肪酸を抑えつつ満足感が得られる食品やお菓子の選び方を紹介します。

 

コンビニで選ぶべき「飽和脂肪酸が少ない」お菓子

  • 和菓子(まんじゅう、大福、ようかん)

    和菓子は洋菓子に比べて脂質が圧倒的に少なく、飽和脂肪酸の含有量も低めです。小豆(あずき)は食物繊維やポリフェノールも豊富で、疲れた体のリカバリーに適しています。クリームたっぷりのシュークリーム(飽和脂肪酸約5g前後)を選ぶなら、あんパン(約1g前後)や大福を選びましょう。

     

  • 高カカオチョコレート

    チョコレートは脂質が多い食品ですが、カカオ分70%以上の高カカオチョコレートに含まれる「ステアリン酸」は、飽和脂肪酸の一種でありながら、体内で吸収されにくく、コレステロール値を上げにくいという研究報告があります。ただし、食べ過ぎはカロリー過多になるため、1日3〜5枚程度に留めましょう。

     

  • 素焼きナッツ(アーモンド、くるみ)

    ナッツ類は脂質が高い食品ですが、その多くは「不飽和脂肪酸(オレイン酸リノール酸)」です。特にくるみはオメガ3脂肪酸を含み、血管の健康維持に役立ちます。ただし、マカダミアナッツやカシューナッツは比較的飽和脂肪酸が多めなので、アーモンドやくるみがおすすめです。

     

  • 干し芋・甘栗

    これらは素材そのものであり、脂質がほとんど含まれていません。噛み応えがあるため満腹感も得やすく、作業中の糖分補給として最適です。

     

食事選びのポイント
コンビニのお弁当やお惣菜を選ぶ際も、少しの意識で摂取量を減らすことができます。

 

  • 「揚げ物」より「焼き物・煮物」

    唐揚げ弁当やチキン南蛮弁当は、揚げ油と鶏皮の脂で飽和脂肪酸が高くなります。焼き鮭弁当や幕の内弁当、サラダチキン(プレーン)などを選ぶと、脂質を抑えつつタンパク質を確保できます。

     

  • パンよりおにぎり

    菓子パンや惣菜パンには、生地にマーガリンやバターが練り込まれていることが多く、見た目以上に飽和脂肪酸が含まれています。おにぎり(鮭、梅、昆布など)なら、脂質はほぼ米に含まれる分だけなので安心です。ツナマヨネーズなどは脂質が上がるので注意しましょう。

     

  • ホットスナックの誘惑に勝つ

    レジ横のホットスナック(フライドチキン、コロッケなど)は、長時間加熱された揚げ油(多くはパーム油混合)を吸っており、酸化した脂質と飽和脂肪酸のダブルパンチになりかねません。どうしても食べたいときは、衣を少し外すか、頻度を週1回に抑えるなどの工夫が必要です。

     

日々の積み重ねが健康を作ります。「脂質ゼロ」を目指す必要はありませんが、「質の良い脂質」を含む食品(魚、大豆製品、オリーブオイルなど)に置き換えていく意識を持つことが大切です。

 

あすけん:意外に多い飽和脂肪酸を含むお菓子の具体的な解説
https://column.asken.jp/purpose/purpose-15857/
ニップン:飽和脂肪酸が多い食べ物ランキングと食事バランスの考え方
https://nippn-direct.jp/shop/information/amani_column076

飽和脂肪酸の植物性と動物性の違いを農業の視点から解説

一般的に「動物性油脂は飽和脂肪酸が多く、植物性油脂は不飽和脂肪酸が多い」と言われますが、農業生産の現場や生物学的な視点から見ると、この区分はより深く理解できます。なぜ植物によって、あるいは家畜の育て方によって脂質の性質が変わるのかを知ることは、生産者としての知見を深めるだけでなく、消費者への説明にも役立ちます。

 

植物が飽和脂肪酸を作る「環境」の理由
基本的に植物は、種子の中にエネルギー源として油(脂質)を蓄えます。多くの植物(大豆、菜種、オリーブなど)は温帯地域で育ち、冬の寒さでも種子の中の油が固まらないように、融点の低い「不飽和脂肪酸(オレイン酸やリノール酸)」を多く生成します。もし油が固まってしまうと、発芽時のエネルギー代謝がスムーズに行われないからです。

 

しかし、熱帯地域原産のココヤシ(ココナッツ)アブラヤシ(パーム)は事情が異なります。常に気温が高い環境で育つため、油が液体である必要性が低く、むしろ酸化や熱に対して安定性の高い「飽和脂肪酸」を多く蓄えるように進化しました。これが、植物性油脂でありながらココナッツオイルやパーム油が例外的に飽和脂肪酸を大量に含んでいる理由です。

 

農業従事者として、作物ごとの原産地や生育環境を考えることは、その作物が持つ栄養特性を理解する助けになります。

 

家畜の飼料と脂肪酸組成の関係
一方、動物性油脂(牛脂や乳脂肪)の飽和脂肪酸の量は、家畜が何を食べて育ったか(飼料)によって変化することをご存知でしょうか。

 

牛などの反芻(はんすう)動物は、胃の中の微生物の働きによって、摂取した不飽和脂肪酸の一部を飽和脂肪酸に変換(水素添加)します。そのため、基本的に牛脂やバターは飽和脂肪酸が多くなります。

 

しかし、最近の畜産研究では、飼料に米ぬかや亜麻仁(アマニ)などを配合することで、牛肉や牛乳に含まれる脂肪酸のバランスを変える取り組みが行われています。例えば、米ぬかを給与された牛の脂肪は、融点の低い「オレイン酸(不飽和脂肪酸)」の割合が増え、口溶けが良く、飽和脂肪酸の比率が相対的に下がることが報告されています。

 

「霜降り肉は脂っこい」と思われがちですが、こだわりの飼料で育てられた和牛の脂は、融点が低くサラッとしていることがあります。これは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率がコントロールされている証拠でもあります。

 

生産者として知っておきたい「見えない油」
日本国内で使用される食用油のうち、パーム油は菜種油に次ぐ消費量を誇りますが、家庭用としてボトルで売られることは稀です。そのほとんどが、加工食品、即席麺、業務用フライ油、マーガリンなどの原料として使われています。

 

農業の現場では、自分たちが作った作物が加工される過程で、どのような油脂が添加されているかを知ることも重要です。例えば、ヘルシーなイメージの野菜チップスでも、揚げ油にパーム油が使われていれば、飽和脂肪酸の摂取量は跳ね上がります。

 

「素材は健康的でも、加工で脂質が変わる」という視点を持つことは、自身の健康を守るだけでなく、付加価値の高い農産物加工品(6次産業化商品)を開発する際にも重要なポイントとなるでしょう。

 

日本植物生理学会:植物ごとの脂肪酸組成の違いに関する植物生理学的解説
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1439
農研機構:米ぬか給与による牛の脂肪酸組成変化(オレイン酸増加)の研究成果
https://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/seika/kanto19/03/19_03_02.html

飽和脂肪酸の過剰摂取が健康に与えるリスクと対策

飽和脂肪酸のとりすぎが問題視される最大の理由は、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患のリスクを高める点にあります。

 

なぜLDLコレステロールが増えるのか
肝臓には、血液中のLDLコレステロールを取り込んで処理する「LDL受容体」という受け皿があります。飽和脂肪酸(特に肉類や乳製品に含まれるパルミチン酸やミリスチン酸)を過剰に摂取すると、このLDL受容体の働きが低下し、肝臓が血液中からコレステロールを回収しにくくなると考えられています。その結果、行き場を失ったLDLコレステロールが血液中に溜まり、血管の壁に入り込んで動脈硬化を進行させてしまうのです。

 

特に、農業従事者は体が資本です。動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、ある日突然、狭心症や脳卒中として発症することがあります。重い肥料袋を持ったり、炎天下で作業したりする際の心臓への負担を考えると、血管の健康維持は職業寿命を延ばすことにも直結します。

 

リスクを減らすための具体的な対策

  1. 「置き換え」のテクニックを使う

    飽和脂肪酸を減らすには、単に脂質をカットするのではなく、脂質の「質」を変えるのが効果的です。

     

    • バター(飽和脂肪酸) → オリーブオイル(一価不飽和脂肪酸
    • 肉の脂身(飽和脂肪酸) → 青魚の脂(多価不飽和脂肪酸・EPA/DHA)
    • スナック菓子 → 素焼きナッツや果物

      特に、魚に含まれるEPAやDHAは、血液をサラサラにし、中性脂肪を下げる働きがあるため、肉中心の食生活から魚中心へシフトするだけで、リスクを大幅に低減できます。

       

  2. 食物繊維を味方につける

    どうしても脂っこい食事が避けられないときは、食物繊維を一緒に摂ることを意識しましょう。野菜、海藻、きのこ、そして大麦や玄米などの穀物に含まれる食物繊維は、余分な脂質やコレステロールを吸着して体外に排出する働きがあります。

     

    農家の方であれば、自家製の野菜をたっぷり使った味噌汁や、精米歩合を下げたお米(分づき米)を主食にするのがおすすめです。

     

  3. 加工食品の「植物油脂」表示をチェック

    原材料名の表示を見て、「植物油脂」が上位に来ている加工食品やパンは、パーム油が多く使われている可能性が高いです。できるだけ原材料がシンプルなもの、加工度が低いものを選ぶ習慣をつけましょう。

     

  4. 定期的な健診データの確認

    年に一度の健康診断で、LDLコレステロール値、HDL(善玉)コレステロール値、中性脂肪値のバランスを確認してください。LDLが高い場合は、まず飽和脂肪酸の摂取量を見直すことが第一歩です。

     

食事は毎日の積み重ねです。完全にゼロにする必要はありませんが、「今日の昼は揚げ物だったから、夜は刺身にしよう」といったバランス感覚を持つことが、長く元気に働き続けるための秘訣です。

 

明治:チョコレート摂取とコレステロールの関係についての研究結果
https://www.meiji.co.jp/hello-chocolate/column/94/
厚生労働省:脂質異常症を防ぐための食事バランスガイド
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001491970.pdf

飽和脂肪酸と上手に付き合うための食事バランスのコツ

ここまで飽和脂肪酸のリスクや含有量について解説してきましたが、極端に「油抜き」をすることは推奨できません。脂質は細胞膜やホルモンの材料となり、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収を助ける重要な栄養素だからです。特に肉体労働を伴う農業において、脂質不足はエネルギー切れや肌荒れ、免疫力の低下を招く恐れがあります。

 

重要なのは「飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸」のバランスです。

 

理想的な比率は「3:4:3」と言われています。現代の食生活では、どうしても最初の「3(飽和脂肪酸)」が過剰になりがちです。

 

明日からできる「ちょい足し・ちょい引き」健康法

  • 朝食: トーストにバターをたっぷり塗るのをやめ、オリーブオイルと塩に変えてみる。または、和食にして納豆(植物性タンパク質)を取り入れる。
  • 昼食: ラーメンや丼もので済ませる場合、野菜の小鉢を一品追加する。スープや汁は全部飲まずに残す(汁には溶け出した脂が多い)。
  • 夕食: 肉料理メインの日と、魚料理メインの日を交互にする。肉を食べる際は、バラ肉(脂身が多い)ではなく、ヒレやモモ肉(赤身)を選ぶ。調理法を「揚げる」から「蒸す・茹でる」に変えると、余分な脂が落ちて飽和脂肪酸を減らせます。

また、農業従事者ならではの強みとして、「新鮮な農産物をふんだんに使える」ことがあります。採れたての野菜には抗酸化ビタミンが豊富に含まれており、これが体内で脂質が酸化する(過酸化脂質になる)のを防いでくれます。

 

「悪い油を減らし、良い油を適量摂り、野菜の力で酸化を防ぐ」。このシンプルなサイクルを意識することが、生涯現役で農業を続けるための最強の健康法と言えるでしょう。

 

吉野内科・神経内科医院:パーム油とココナッツオイルの医学的なリスク解説
https://www.yoshino-naika.com/blog/97120/
JA福井県厚生連:脂質異常症を防ぐための具体的な食品選択のアドバイス
http://www.ja-fukui.or.jp/kouseiren/s_advice/s_shishitu.html

 

 


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