悪玉コレステロール(LDL)が高い状態が続くと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなるため、まず「上げる要因」をほどくことが近道です。
食べ物の中でも、特に影響が大きいのが飽和脂肪酸で、肉や乳製品の脂(脂身・クリーム・バター等)に多く、適正エネルギーの範囲で飽和脂肪酸を制限すると動脈硬化性疾患リスクが低下すると整理されています。
さらに、マーガリンやショートニング等にはトランス脂肪酸が多い製品もあり、栄養成分表示で確認することが推奨されています。
ここで現場的に厄介なのは、「脂っこいもの=全部ダメ」と単純化しやすい点です。実際には脂の種類が違えば血中コレステロールへの作用も違い、同じカロリー条件で炭水化物の一部を脂肪酸に置き換えた試験をまとめた報告では、総コレステロールやLDLが上がったのは飽和脂肪酸だけで、多価不飽和脂肪酸では下がる方向が示されています。
参考)脂質(あぶら)|佐々木先生のためになる栄養学|食DE健康|生…
つまり、悪玉コレステロール対策の「第一手」は、油をゼロにするよりも、飽和脂肪酸が多い食べ物の頻度と量を落とし、油の質を寄せることです。
農業従事者の食事で起きがちなパターンも、この観点で見直すと改善点が見つかります。
・朝:菓子パン+バター系、昼:カップ麺、夜:肉中心…という流れは、飽和脂肪酸や加工食品に寄りやすいので、肉の脂身を避けて赤身に寄せる・乳製品を低脂肪にする、といった置換が現実的です。
参考)脂質異常症の食事
・「揚げ物を完全にやめる」より、揚げ油の種類と食べ過ぎ(総カロリー)を管理するほうが続きやすい、という発想も持てます(揚げ物のカロリー自体は高いので量には注意)。
LDLが高い人については、食事由来コレステロールの摂取量を1日200mg未満に抑えることが推奨され、卵類、肉類、魚肉の内臓など「コレステロールを多く含む食べ物」の過剰摂取を避けるよう示されています。
ただし、コレステロール対策は「卵だけ悪者」のように単純化すると外しやすく、食事全体のエネルギーや脂の質(特に飽和脂肪酸)を優先して見直す、という整理も同時に重要です。
現場の食事では、卵をゼロにするより「卵+ベーコン+バター」のセットを常態化させない、という見直しの方が効くことが多いです(飽和脂肪酸の束になりやすいため)。
「何を食べてはいけないか」だけだと、繁忙期に反動が来やすいので、次のように“上限を意識する枠”を作ると運用しやすくなります。
・加工肉(ベーコン・ソーセージ)を毎日ではなく「週○回まで」にする(飽和脂肪酸が増えやすい)。
・内臓系(レバー等)は栄養価は高いがコレステロールも多いので「量と頻度を決める」。
・卵を使う日は、乳製品や脂身肉を“同日に重ねない”ようにする(飽和脂肪酸の総量を抑える発想)。
権威性のある日本語の参考リンク(食事全体の方針・飽和脂肪酸・食物繊維・魚・ナッツ・果物の目安がまとまっています)
厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症の食事」
食物繊維は「脂質異常症の食事」の中でも中核に置かれており、緑黄色野菜を含む野菜、海藻、大豆および大豆製品から食物繊維をしっかり取ると、血中脂質の改善が期待でき、心血管疾患や脳血管疾患の発症・死亡リスクが低くなるとされています。
また、野菜は1日350g以上が必要とされ、漬物などで食塩が過剰にならない注意も同時に示されています。
さらに、精製度が低い五分づき米や玄米などは、食物繊維に加えビタミンB1やマグネシウムなども取りやすいとして推奨されています。
農業従事者の実態に寄せると、食物繊維は「料理を増やす」のではなく「足し算のルール」で確保すると破綻しにくいです。
・汁物に“海藻かきのこ”を足す(みそ汁、けんちん汁等)→噛む回数も増え、満腹感が早い。
・主菜を肉の日でも、付け合わせで“豆(大豆製品)”を置く(冷ややっこ、納豆、豆サラダなど)。
・主食を毎回変えるのが難しければ、週の一部だけ“五分づき米・玄米”に寄せる。
意外と見落としやすいのが「果物の扱い」です。果物摂取は心血管疾患・脳血管疾患リスク低下や血圧低下が知られる一方で、過剰摂取や缶詰・ジュースは高トリグリセライド血症の原因になり得るため、加工品よりフレッシュを、目安は1日200g程度とされています。
畑で果物を扱う人ほど“つまみ食い”が積み上がるので、「収穫作業日は量を決める」という運用が現実的です。
魚の位置づけは「脂を減らす」ではなく「脂を置き換える」です。
厚生労働省の整理では、EPAやDHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸は高トリグリセライド血症の改善や冠動脈疾患発症の抑制が期待でき、青魚や脂の多い魚に多いので積極的に食べるとよいとされています。
また、脂肪酸の比較に関する解説では、同カロリー条件で飽和脂肪酸だけがLDLを上げ、多価不飽和脂肪酸は下げる方向が示されており、魚や植物油を“使い分ける発想”の根拠になります。
農業の生活に落とすなら、「魚を増やす」は回数設計がコツです。
・週のうち2〜3回、主菜を青魚(サバ、イワシ等)にする(焼き・煮・缶詰でも可)。
・肉の日は、乳製品やバター系を同日に重ねず、飽和脂肪酸の総量を抑える。
・忙しい日は、サバ缶+野菜(カット野菜でも可)で“食物繊維とセット化”し、脂質改善の柱を1食で成立させる。
権威性のある日本語の参考リンク(脂肪酸の違い、飽和脂肪酸とLDL、多価不飽和脂肪酸の考え方、参考文献がまとまっています)
食DE健康「脂質(あぶら)」
数値を改善しようとすると、食べ物のテクニック以前に「検査値の揺れ方」を知っておくと、判断ミスを減らせます。
健診の数値は日々揺れており、再検査で平均的に下がりやすい現象(平均への回帰)があり得るため、短期の上下だけで「この食べ物が効いた/効かない」を断定しない姿勢が大切だ、という注意が解説されています。
つまり、悪玉コレステロール対策は“単発のスーパーフード探し”より、飽和脂肪酸を減らして食物繊維・魚・大豆を増やす基本設計を、少なくとも数週間〜数か月の単位で積み上げるほうが安全です。
農業従事者向けに、実行と評価のズレを減らすコツを、作業カレンダーに合わせて提案します。
・繁忙期(食事が乱れがち):完璧を狙わず「肉の脂身を避ける」「低脂肪乳製品にする」「野菜か海藻を1品足す」の3点だけ固定する。
・閑散期(整えやすい):主食を一部、五分づき米・玄米に寄せ、魚の回数を増やして食物繊維とn-3系脂肪酸を底上げする。
・検査前だけ頑張るのではなく、体重や摂取エネルギーの調整を含めた“生活習慣としての食事”にする、という考え方が示されています。
論文の参考(脂肪酸と血清脂質の変化をまとめたメタ解析が挙げられています)
Mensink RP, et al.(メタ解析紹介ページ:食DE健康「脂質(あぶら)」内)

【機能性表示食品】 コレス&ミドルケア タブレット(粒タイプ)28粒(14日分)大正製薬 リビタ(Livita)/コレステロール・中性脂肪が気になる方に/エラグ酸配合/届出番号:H228