多価不飽和脂肪酸、特に健康効果で注目されるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、私たちの体内でほとんど作ることができない必須脂肪酸です。これらを効率的に摂取できる代表的な食品が、サバ、イワシ、サンマといった青魚です 。EPAには血液をサラサラにする効果や血中中性脂肪を低下させる働きが、DHAには脳の活性化や認知機能の改善効果が期待されています 。
これらの栄養素を最大限に活かすには、「食べ方」が重要です。EPAやDHAは熱に弱く、調理法によっては失われやすい性質を持っています。最も効率的なのは、刺身や寿司など「生」で食べることです 。加熱調理をする場合は、焼いたり揚げたりするよりも、煮物や汁物のように脂が汁に溶け出す調理法を選ぶと、栄養を余さず摂取できます 。例えば、サバの味噌煮やイワシのつみれ汁などは理にかなった食べ方と言えるでしょう。手軽さで言えば、缶詰も非常に優秀です 。水煮や味噌煮の缶詰は、製造工程で高温加熱されますが、汁ごと食べられるため、溶け出した栄養素も一緒に摂ることができます。
1日の摂取目安量は1g〜1.5gとされており、これは焼いたサンマ約1尾、小型のイワシなら約2尾に相当します 。毎日魚を食べるのが難しい場合でも、週に3回程度、脂肪の多い魚を取り入れることを意識するだけでも、健康維持に繋がります 。
植物油も多価不飽和脂肪酸の重要な供給源ですが、種類によって含まれる脂肪酸のタイプが大きく異なります。特に知っておきたいのが「オメガ3系」と「オメガ6系」です。
意外な万能選手として「米油」が挙げられます。オメガ6とオメガ9のバランスが良く、ビタミンEなどの抗酸化成分も含むため、比較的加熱に強い油として注目されています 。用途に応じて油を使い分ける知識を持つことが、賢い健康管理の第一歩です。
魚や油だけでなく、もっと手軽に多価不飽和脂肪酸を補給できるのがナッツや種子類です。これらは「天然のサプリメント」とも言えるほど栄養価が高く、毎日の食生活にぜひ取り入れたい食品です。
特に注目すべきは「くるみ」です。ナッツ類の中でもトップクラスのオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)含有量を誇ります 。また、アーモンドやマカダミアナッツには、悪玉コレステロール値を下げる働きのあるオレイン酸(オメガ9)が豊富に含まれています 。
毎日の食事への取り入れ方はとても簡単です。
意外なところでは、「かぼちゃの種(パンプキンシード)」も多価不飽和脂肪酸やミネラルが豊富です。普段捨ててしまいがちな部分にも、実は栄養が詰まっています。ナッツや種子を上手に活用して、食生活をより豊かにしてみてはいかがでしょうか。
多価不飽和脂肪酸を健康に活かすためには、「量」だけでなく「バランス」が非常に重要です。特に、炎症を促進する作用がある「オメガ6」と、炎症を抑制する作用がある「オメガ3」のバランスが崩れると、アレルギー疾患や生活習慣病のリスクが高まる可能性が指摘されています。
厚生労働省も食事摂取基準の中でこのバランスに言及しており、理想的な比率は「オメガ6:オメガ3 = 4:1」程度とされています 。しかし、揚げ物や加工食品、外食が多い現代の食生活では、このバランスが「10:1」や、ひどい場合には「50:1」にまで偏っていると言われています 。これは、多くの市販の食品や外食産業で、安価で使いやすいオメガ6系の油(大豆油やコーン油など)が多用されているためです。
この乱れたバランスを理想に近づけるためには、以下の点を意識することが大切です。
【バランス改善のための食生活のポイント】
| 意識的に増やすもの (オメガ3) | 意識的に減らすもの (オメガ6) |
|---|---|
| 🐟 青魚(サバ、イワシ、サンマなど) | 🍔 ファストフードや揚げ物 |
| 🌿 えごま油、アマニ油(非加熱で) | 菓子パン、スナック菓子 |
| 🥜 くるみ、チアシード | 多くの加工食品 |
まずは、週に2〜3回は魚を食卓に上げること、そしてドレッシングをアマニ油ベースの手作りに変えてみるなど、できることから始めてみましょう 。意外な盲点として、私たちが食べる肉や卵の脂肪酸バランスも、家畜が何を食べて育ったかに影響されます。牧草を食べて育った牛(グラスフェッドビーフ)は、穀物飼育の牛に比べてオメガ3の比率が高いことが知られています。食材が作られる背景にまで目を向けることが、究極の健康管理に繋がるかもしれません。
下記の参考リンクは、農林水産省が脂質の健康への影響についてまとめたページです。脂肪酸の種類や役割について、公的な情報を確認できます。
多価不飽和脂肪酸というと、魚や特定の植物油が注目されがちですが、実は私たちの足元、日本の伝統的な農産物や食文化の中にも、その供給源となる作物が存在します。農業従事者の方にとっては、新たな付加価値作物の可能性を秘めている分野かもしれません。
その代表格が「えごま(荏胡麻)」です。シソ科の一年草で、その種子から搾られる油はα-リノレン酸を非常に豊富に含みます。日本では古くから栽培され、灯明用の油として、あるいは「じゅうねん」という名前で郷土料理にも使われてきました。近年、その健康効果が見直され、福島県や富山県などを中心に栽培面積が増加しています 。栽培自体は比較的容易で、家庭菜園でも育てることができます 。種実を搾油するだけでなく、栄養豊富な若葉を香味野菜として活用するなど、多様な商品展開が可能です。
また、「在来種の大豆」にも注目です。現在流通している大豆の多くは品種改良が進んだものですが、日本各地には古くからその土地で栽培され続けてきた在来種が存在します。例えば、神奈川県の「津久井在来大豆」は、一般的な大豆とは糖質や脂質の組成が異なるとされています 。こうした在来種の中には、まだ解明されていない特有の脂肪酸組成や機能性成分を持つものが眠っている可能性があります。地域の伝統野菜としてだけでなく、健康成分という新たな切り口で価値を見出すことができるかもしれません。
さらに、緑黄色野菜の葉や、山菜などにも微量ながらα-リノレン酸は含まれています 。伝統的な和食が、主食(米)に、汁物(味噌汁)、主菜(魚)、副菜(野菜や豆類)を組み合わせるスタイルであることは、多様な食材からバランス良く栄養素を摂取するための知恵と言えるでしょう 。忘れ去られがちな伝統作物や食文化の中に、現代人の健康課題を解決するヒントが隠されているのです。

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