ひまわり油 栽培 播種時期 収穫 乾燥

ひまわり油の栽培で、播種時期・密度・病害虫・収穫乾燥までを、油分と品質の視点で整理します。畑の条件に合わせて粗油量を伸ばすには何から手を付けますか?

ひまわり油 栽培

ひまわり油 栽培の全体像(播種→収穫→乾燥→搾油)
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播種時期と株間で“倒伏と収量”が決まる

播種が遅れると収量が落ちやすく、密植しすぎると倒伏リスクが上がります。まずは地域の適期と株間を基準化します。

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病害虫は「湿害」と「過繁茂」が引き金

菌核病などは過湿・通風不良で増えやすいので、排水と適正密度が最優先。薬剤は最後の手段として計画的に。

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収穫後の乾燥が“油の品質”を左右する

収穫直後の種子は水分が高く、堆積すると発熱・カビで油が劣化しやすい。早期乾燥と異物除去を標準作業にします。

ひまわり油 栽培の播種時期と品種(春りん蔵)


油糧用のヒマワリは、観賞用と違って「油をどれだけ安定して採るか」が目的なので、まず“品種”と“播種時期”の組み合わせが重要です。
関東地域の試験では、油糧用品種「春りん蔵」は短稈で稈が太く、挫折倒伏しづらい点が栽培性の強みとして示されています。播種適期は6月上旬~7月上旬で、7月下旬以降の播種では収量低下が起こりやすいと整理されています。
ここで押さえたいのは、「播種を早めればいつでも得」という単純な話ではないことです。別資料では、ヒマワリの播種期や栽培条件が“含油率や脂肪酸組成”に関係することが示されており、油の売り方(高オレイン酸など)を意識するなら、収量だけでなく品質も同時に見る必要があります。


現場での実務ポイントは次の通りです。


  • 播種は「適期内で、作業が安定する日」を固定する(毎年ブレると、収量と品質の比較ができない)。
  • ナタネ後作などで遅播きになる体系を組む場合は、収量低下の織り込みと、品質(脂肪酸組成)の狙いをセットで決める。
  • 早播きに寄せるほど、雑草の初期競合・湿害・低温発芽など別リスクが出るので、圃場条件(排水、地温、作業分散)で最適点を探す。

参考:油糧用品種「春りん蔵」の播種適期・株間など(技術情報)
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/noken/seika/h22pdf/documents/gj4.pdf

ひまわり油 栽培の株間と条間(密植と倒伏)

油糧作物は「面積当たりの粗油量」を上げたいので、つい密植に寄せがちです。ところが、一定の条間で株間を詰めると多収になりやすい一方で、挫折倒伏しやすく収量の安定性に欠ける、という“現実の壁”が試験で明確に言語化されています。春りん蔵の場合、株間は30cmがよいとされています。
密植設計で実際に起きる問題は、倒伏だけではありません。


  • 過繁茂→通風低下→病気が入りやすい(後述の菌核病など)
  • 収穫機(コンバイン)での刈取りロスが増える(倒れ株、頭花位置のばらつき)
  • 追肥を入れた年だけ過繁茂になり、年次変動が大きくなる(収量が読めない)

したがって、まずは「条間60cm×株間30cm」など、公的データで語られている基準点から始め、圃場の肥沃度・倒伏歴・収穫体系に合わせて微調整するのが安全です。なお、窒素施肥を増やした場合の収量影響は年次変動が大きいことも示されているため、“増やす前提の設計”は避け、倒伏しにくい範囲での最小限調整が実務向きです。


ひまわり油 栽培の雑草と湿害(明渠・土壌処理)

油糧用ヒマワリは、初期生育で雑草に負けると一気に収量を落とします。しかも、後から草丈が伸びても、畝間が荒れると収穫作業の効率が落ち、刈取りロスも増えます。
そのため「播種後の土壌処理(除草剤)で、生育初期の雑草防除を徹底する」ことが技術情報の留意点として挙げられています。
もう一つが湿害です。水田転換畑や低地の圃場では、雨が続くと根が止まり、立ち枯れ・低収に直結します。実際、試験でも“播種後の湿害により低収となった区”が記録されています。湿害を受けやすい圃場では、明渠を掘って湿害対策を行う、という指針が明記されています。


現場での“効く順番”は次です。


  • 排水(明渠、枕地の水溜まり解消、暗渠の点検)
  • 初期除草(播種直後~発芽前の一手)
  • 追肥・潅水などの追加投入は、上の2つが機能してから

「肥料で押す」より「足元(排水・雑草)を整える」ほうが、油糧作物では費用対効果が高くなりやすい点が、ひまわり油 栽培の盲点です。


ひまわり油 栽培の病害虫(菌核病・アブラムシ)

害虫は地域差が大きいので、ここでは“発生させない圃場づくり”に絞ります。ヒマワリの大敵としてしばしば問題になる菌核病は、通風不良や過湿条件で助長されやすいため、過繁茂にしない・排水対策をとる、といった耕種的対策が要点になります。
つまり、病害虫の対策は「薬剤の選定」より先に、栽植密度と排水の話に戻ります。株間を詰めて一時的に草勢が勝つと、圃場内の湿度が上がり、結果として病気が出て収量も品質も落ちる、という逆転が起きます。


アブラムシなど吸汁害虫も、発生初期の見回りが遅れるとウイルス病やすす病の引き金になりやすいので、“いつ見るか”を作業計画に組み込みます(播種後~伸長期、開花前後、登熟期)。


実務での最低限のチェックリスト(入れ子なし)

  • 雨後に圃場を歩いて「ぬかるみ・水溜まり」が残っていないか。
  • 風の通り道があるか(草丈が揃っていても株元が蒸れる圃場は危険)。
  • 葉裏にアブラムシのコロニーが出始めていないか(早期なら局所対処が可能)。
  • 病斑株を見つけたら、圃場の“湿る場所”と重なっていないか(原因は土のほうにあることが多い)。

ひまわり油 栽培の収穫乾燥と搾油(含油率・品質劣化)

ひまわり油 栽培で“意外と差が出る”のが、収穫後の乾燥と保管です。収穫直後の種子は水分が多く、堆積すると発熱やカビの発生によって油分が変質劣化しやすいので、速やかな乾燥が必要だと、加工現場の説明で強調されています。
また、実際の製造工程では、乾燥→焙煎→圧搾→精製(湯洗など)→濾過→脱ロウといった工程を踏む事例が示されており、原料品質が悪いと後工程で取り返しがつきません。
収穫乾燥での“失敗あるある”は、次の2つです。


  • 乾燥が遅れ、種子がムレて酸価が上がる(搾っても香りが鈍く、販売単価が伸びない)。
  • 異物(茎葉片、未熟粒、カビ粒)が混じり、圧搾機のトラブルや油の濁りにつながる。

目標値は地域・設備で変わりますが、行政の加工例では「水分10%未満まで乾燥」してから搾油工程へ進める運用が紹介されています。乾燥は“単なる水分調整”ではなく、「油の劣化を止める工程」だと捉えると判断がブレません。


ここは検索上位が栽培(播種・肥培)に寄りがちで、収穫後管理が薄くなりやすい領域ですが、油糧作物は“原料の鮮度”がそのまま商品価値になります。収量がそこそこでも、乾燥・選別・保管で勝てば、手取りが逆転することが現場では珍しくありません。


参考:収穫後の乾燥の重要性、搾油工程(名寄の事例)
https://www.kamikawa.pref.hokkaido.lg.jp/ss/srk/kamitabe/101_kagayaki.html
参考:乾燥・選別→焙煎→圧搾→湯洗精製→濾過(工程の全体像)
https://kitanokagayaki.jp/oil-expression/
参考:乾燥(通風乾燥で水分10%未満)と、焙煎温度(約90℃)・搾油率(30%前後)の具体例
https://www.city.sumoto.lg.jp/site/enepa/7623.html




Zucchi(ズッキ) ひまわり油 2L