栄養療法クリニックの費用と保険や血液検査のおすすめな選び方

慢性的な疲れを感じる農家の方へ。栄養療法クリニックの費用や保険適用、特殊な血液検査の内容を詳しく解説します。自分に合ったクリニックの選び方を知り、土壌改良のように身体の内側から体質改善しませんか?

栄養療法とクリニック

記事の概要
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費用と保険

基本的に自由診療。初期費用は3〜5万円、サプリメント代は月2万円〜が目安。

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血液検査の重要性

一般的な検査では見抜けない「隠れ栄養失調」を60項目以上のデータから解析。

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農家への推奨理由

肉体労働による激しいミネラル消費と、土壌管理と同じ視点での健康管理。

毎日の農作業、本当にお疲れ様です。早朝からの収穫重量物の運搬、そして厳しい天候下での作業。「休んでも疲れが取れない」「なんとなく身体が重い」と感じて病院に行っても、検査結果は「異常なし」。そんな経験はありませんか?
実は、一般的な健康診断の基準値は「病気ではない範囲」を示しているだけで、「健康で活力が溢れる状態」を示しているわけではありません。農作物の栽培において、土壌の窒素・リン・カリウムだけでなく、微量要素(ミネラル)のバランスが重要であるのと同様に、人間の身体も微量な栄養素のバランスが崩れると、深刻な不調を引き起こします。

 

ここでは、細胞レベルで栄養状態を解析し、根本的な体質改善を目指す「栄養療法クリニック」について、特に農家の方が知っておくべき情報を深掘りして解説します。

 

栄養療法クリニックの費用と保険の料金

 

栄養療法(オーソモレキュラー療法)を検討する際、最も気になるのが費用の問題でしょう。結論から申し上げますと、本格的な栄養療法を受ける場合、そのほとんどは健康保険が適用されない「自由診療(自費診療)」となります。

 

なぜ保険が効かないのでしょうか?それは、日本の保険診療が「病気を治す(マイナスをゼロにする)」ことを目的としているのに対し、栄養療法は「細胞の機能を最適化し、健康レベルを引き上げる(ゼロをプラスにする)」ことを目的としているからです。病名がつかない「未病」の段階で治療を行うため、公的な保険制度の枠組みから外れてしまうのです。

 

具体的な費用の相場(目安)は以下の通りです。クリニックによって大きく異なりますが、事前に予算感を把握しておくことは非常に重要です。

 

  • 初診料・カウンセリング料: 5,000円〜11,000円程度
    • 医師による詳細な問診や、専門カウンセラーによる生活習慣の聞き取りが行われます。通常の病院の3分診療とは異なり、30分〜1時間かけて丁寧に背景を探ります。
  • 栄養解析検査(血液検査)費用: 15,000円〜25,000円程度
    • これが栄養療法の肝となる検査です。一般的な健康診断が20〜30項目であるのに対し、栄養療法では60項目以上を詳細に調べます。
  • 解析レポート・結果説明料: 5,000円〜10,000円程度
    • 検査結果に基づいた詳細なレポート作成と、医師による解説の料金です。
  • サプリメント費用(月額): 20,000円〜80,000円程度
    • 個人の栄養欠損状態によって大きく変動します。治療開始直後の「満タンにする期間」は高額になりがちですが、数値が改善すれば減らすことが可能です。

    ⚠️ 意外なコストの落とし穴
    「検査だけ受けて、サプリは市販の安いのを買えばいいや」と考える方が多いですが、これは失敗の典型例です。クリニックで処方される医療機関専売サプリメントは、市販品とは「含有量」と「吸収率」が桁違いです。例えば、ビタミンC一つとっても、市販品は添加物が多く有効成分が少ないことがありますが、医療用は高純度です。結果が出なければ、検査費が無駄になってしまいます。

     

    また、一部のクリニックでは「貧血」などの明確な病名診断がつく場合に限り、一部の検査や処方が保険適用になるケースもありますが、栄養療法本来の効果(オーソモレキュラーとしての全身調整)を期待する場合、やはり自費診療の範囲が必要になることが大半です。

     

    「高い」と感じるかもしれませんが、農業機械への投資と同じです。ご自身の身体という「資本」への設備投資と考えれば、将来的な大病を防ぐためのコストパフォーマンスは決して悪くありません。

     

    日本オーソモレキュラー医学会による、栄養療法の基本的な考え方と医療機関の検索機能が含まれるページです。

     

    一般社団法人 日本オーソモレキュラー医学会 | 公式サイト

    栄養療法クリニックの血液検査とオーソモレキュラー

    「会社の健康診断でA判定だったから大丈夫」という農家の方こそ、この項目を熟読してください。栄養療法クリニックで行う血液検査は、一般的な検査とは「読み方」が全く異なります。

     

    これを「オーソモレキュラー(分子整合栄養医学)的な判読」と呼びます。

     

    通常の医療では、基準値(多くの人の平均値)に入っていれば「異常なし」とされます。しかし、栄養療法では「理想値(オプティマル値)」を目指します。基準値内であっても、理想値から外れていれば「重度の栄養欠乏」と判断されるのです。

     

    具体的に、農家の方が特に注目すべき検査項目とその意味を挙げます。

     

    • フェリチン(貯蔵鉄)
      • 一般的な解釈: ヘモグロビンが正常なら貧血ではない。
      • 栄養療法の解釈: ヘモグロビンは「財布のお金」、フェリチンは「銀行の預金」です。財布にお金があっても預金がゼロ(フェリチン値が低い)なら、身体はガス欠寸前です。特に女性農家だけでなく、激しい肉体労働をする男性も、汗や消化管出血で鉄を失い、フェリチン不足による「隠れ貧血」でうつ状態や慢性疲労に陥っているケースが多発しています。
    • AST / ALT(肝機能酵素)
      • 一般的な解釈: 高いと肝臓が悪い。低い分には問題ない。
      • 栄養療法の解釈: これらは酵素であり、働くために「ビタミンB6」が必要です。数値が低すぎる(一桁など)場合、肝臓が良いのではなく、「ビタミンB6が枯渇して酵素が作れていない」ことを示唆します。タンパク質の代謝が滞り、筋肉の修復が遅れる原因になります。
    • ALP(アルカリホスファターゼ
      • 一般的な解釈: 肝臓や骨の病気で上がる。
      • 栄養療法の解釈: この酵素の活性には「亜鉛」が必須です。数値が低い場合、深刻な亜鉛欠乏を疑います。亜鉛は細胞分裂や味覚、免疫に関わるため、不足すると傷の治りが遅くなったり、風邪を引きやすくなったりします。
    • BUN(尿素窒素)
      • 一般的な解釈: 腎機能の指標。
      • 栄養療法の解釈: タンパク質の摂取量と吸収能力を反映します。数値が低いと、肉や魚を食べているつもりでも「実は消化吸収できていない」、つまり身体の材料不足状態にあることが分かります。

      このように、血液検査のデータは「身体からのSOS」の宝庫です。栄養療法クリニックでは、これらの数字の裏にある「代謝の滞り」を読み解き、どの栄養素がどのくらい足りないのかをピンポイントで特定します。これは、土壌分析をしてpHやEC値を測定し、施肥設計をするプロセスと全く同じです。

       

      「なんとなく」でサプリを飲むのではなく、データに基づいて欠損を埋める。これがオーソモレキュラーの真髄であり、最短距離で体調を回復させる鍵となります。

       

      血液検査データの深読みについて詳しく解説されている、栄養療法に特化したクリニックのコラムです。

       

      自分を知る栄養解析採血 栄養療法の基本 | 宮本内科クリニック

      栄養療法クリニックのサプリメントの効果

      「サプリメントなんて気休めでしょ?」と思っている方も多いかもしれません。しかし、栄養療法クリニックで処方されるサプリメントは、ドラッグストアで売られているものとは明確に異なります。それは「ドクターズサプリメント(医療機関専売品)」と呼ばれ、治療効果を出すために設計されているからです。

       

      主な違いは以下の3点です。

       

      1. 含有量の圧倒的な差
        • 市販のビタミンB群が数mg〜数十mg単位であるのに対し、医療用は100mg単位で配合されていることが珍しくありません。栄養療法では、欠乏症を防ぐための「所要量」ではなく、酵素反応を活性化させるための「薬理量(メガビタミン)」を使用するため、桁違いの量が必要です。
      2. 原材料の品質と安全性
        • 市販品には、錠剤を固めるための賦形剤(添加物)が多く含まれていることがあります。安価なサプリを大量に飲むと、逆に肝臓に負担をかけるリスクすらあります。医療用は、天然由来の原料を使用し、添加物を極限まで排除しています。例えば、安価な「ヘム鉄」ではなく吸収率の高いキレート鉄を使用するなど、生体利用率が考慮されています。
      3. 吸収への配慮
        • どんなに良い成分でも、吸収されなければ意味がありません。例えば、ビタミンCは脂質でコーティングして血中濃度を維持する工夫がされていたり、腸内環境が悪くても吸収されやすい形態になっていたりと、バイオアベイラビリティ(生体利用率)が高められています。

      期待できる効果と期間
      効果の現れ方は人それぞれですが、適切な処方が行われた場合、以下のような経過をたどることが多いです。

       

      • 開始2週間〜1ヶ月: 「朝の目覚めが良くなった」「夕方のガス欠感が減った」という体感を持ち始めます。特にビタミンB群や鉄の補充は即効性を感じやすいです。
      • 3ヶ月目(細胞の入れ替わり): 赤血球が入れ替わるサイクルがおよそ120日です。3ヶ月〜4ヶ月経つと、肌ツヤが良くなる、メンタルが安定する(イライラしなくなる)、アレルギー症状が軽減するなど、目に見える変化が現れます。
      • 半年〜1年: 根本的な体質改善が定着します。この段階で再検査を行い、数値が改善していればサプリメントの量を減らしたり、食事中心の管理に移行したりします。

      農家の方は、野菜の生育において「肥料の質」と「タイミング」がいかに重要かをご存知のはずです。安価な化学肥料だけでなく、良質な有機肥料やアミノ酸肥料を使うと作物の味が変わるように、人間の身体も取り入れる栄養素の質で、出力されるパフォーマンス(体力・集中力)が劇的に変わります。

       

      ただし、サプリメントは魔法の薬ではありません。「飲めば治る」のではなく、「身体が治るための材料を供給する」ものです。材料があっても、休息(睡眠)という工事期間がなければ修復は進みません。

       

      栄養療法クリニックのおすすめな選び方と疲労

      農家の方が栄養療法クリニックを選ぶ際、どのような基準で選べばよいのでしょうか?「家から近いから」という理由だけで選ぶと、専門性の低いクリニックに当たってしまい、効果が出ないことがあります。特に農作業特有の疲労(副腎疲労や慢性的な炎症)に理解のあるクリニックを選ぶことが重要です。

       

      以下のチェックリストを参考に、ご自身に合ったクリニックを探してください。

       

      ✅ 1. 「副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)」に対応しているか
      農家の方に最も多いのが、この副腎疲労です。早朝からの労働、厳しい暑さ寒さ、肉体的なストレスにより、抗ストレスホルモンを出す「副腎」が疲れ切ってしまっている状態です。「朝起きられない」「カフェインがないと動けない」「塩辛いものが無性に食べたい」といった症状がある場合、単なる栄養補充だけでなく、副腎ケア(高濃度ビタミンC点滴や、甘草などのハーブ療法)が必要になります。ウェブサイトに「副腎疲労」の記載があるクリニックを選びましょう。

       

      ✅ 2. 腸内環境(遅延型フードアレルギー)の検査ができるか
      「良いものを食べているのに元気が出ない」という場合、腸に穴が開いて有害物質が漏れ出す「リーキーガット症候群」の可能性があります。農薬散布をする農家の方の中には、解毒機能への負担から腸内環境が乱れているケースも見受けられます。腸を治さずにサプリを飲んでも吸収されません。腸内フローラ検査や遅延型フードアレルギー検査を行っているクリニックがおすすめです。

       

      ✅ 3. 医師自身が栄養療法を実践しているか
      ブログやSNSで、医師自身が食事やサプリメントについて発信しているかを確認してください。栄養療法は日々進化しており、教科書通りの知識だけでなく、医師の実践知が非常に重要です。熱心な医師は、農作業による脱水とミネラル喪失の関係など、ライフスタイルに合わせた指導をしてくれます。

       

      ✅ 4. 解析レポートのサンプルが公開されているか
      血液検査の結果を「紙一枚」渡されて終わり、というクリニックは避けましょう。詳細な解析レポート(冊子になっていることが多い)を作成し、分子整合栄養医学に基づいた解説をしてくれる場所を選ぶべきです。HPにレポートのサンプルが掲載されているか確認しましょう。

       

      農家の方への特記事項:汗とミネラル
      農作業、特に夏場のハウス作業などでは大量の汗をかきます。この時、水分だけでなく、マグネシウムや亜鉛などの重要ミネラルが大量に流出します。これらが不足すると、足がつる(こむら返り)だけでなく、インスリンの働きが悪くなり、急激な血糖値の乱れ(低血糖症)を引き起こし、猛烈な眠気やだるさに襲われます。

       

      クリニックを選ぶ際は、初診時に「農業従事者であり、発汗量が多い」ことを必ず伝えてください。それにより、通常よりもミネラルの設定量を増やしてくれる柔軟なクリニックがベストです。

       

      大阪市内で評判の良い栄養療法対応クリニックがまとめられている外部サイトの記事です。地域ごとの特徴比較に役立ちます。

       

      【2025年】大阪市の栄養療法 おすすめしたい6医院 | Medical DOC

      栄養療法クリニックの治療と食事の意外な盲点

      最後に、検索上位の記事にはあまり書かれていない、しかし農家の方にとって非常に重要な「独自視点」をお伝えします。それは、「自分で作った野菜が、自分の不調の原因かもしれない」というパラドックス(逆説)です。

       

      栄養療法クリニックを受診すると、多くの農家の方が衝撃を受けます。「毎日新鮮な野菜を山ほど食べているから、ビタミンは足りているはずだ」と自信を持っている方が、検査をすると深刻なビタミン・ミネラル不足と診断されることが多いからです。

       

      これには2つの意外な理由があります。

       

      1. 糖質過多と「消費」の問題
      農家の方は、お米がおいしいこともあり、白米を非常に多く摂取する傾向があります。また、作業の合間に缶コーヒーや甘いお菓子を摂る習慣も多いです。

       

      糖質をエネルギーに変えるためには、ビタミンB群が大量に消費されます。つまり、「野菜でビタミンBを摂っている」以上に、「糖質代謝でビタミンBを浪費している」状態なのです。これが慢性的な疲労の原因となります。クリニックでは、食事指導として「まずは主食を少し減らし、タンパク質(肉・魚・卵)を毎食手のひら一枚分食べる」ことから指導されます。野菜作りはプロでも、自分の身体を作るタンパク質摂取はおろそかになっていることが多いのです。

       

      2. 消化力の低下と「胃酸」の問題
      「胃もたれするから肉はあまり食べない」という方は要注意です。栄養療法の血液検査(ペプシノーゲンなど)で見ると、多くの方が「胃酸不足」に陥っています。胃酸が足りないと、鉄や亜鉛などのミネラル、そしてタンパク質を分解・吸収できません。

       

      ここで重要なのが、「胃酸を作るのにもタンパク質とビタミンが必要」という事実です。

       

      「タンパク質不足 → 胃酸が出ない → 肉が食べられない → さらにタンパク質不足」
      この負のスパイラルに陥っていると、いくら良いサプリを飲んでも効果が出ません。クリニックでは、消化酵素剤(ベタインなど)を使いながら、まずは「吸収できる胃袋」を取り戻す治療からスタートすることもあります。

       

      農家だからこそできる「最強の治療」
      しかし、悲観することはありません。農家の方には、他の職業にはない最強の武器があります。それは「食材へのアクセス」です。

       

      栄養療法クリニックで「自分に足りない栄養素」が判明したら、それを補う野菜をご自身で栽培計画に組み込むことができるのです。「今年は自分用に、鉄分豊富なビーツやパセリを強化しよう」「亜鉛を意識して、堆肥に牡蠣殻石灰を多めに混ぜてみよう」。

       

      このように、ご自身の身体のデータと、圃場の土作りをリンクさせることができるのは、農家ならではの特権です。

       

      サプリメントはあくまで「急場しのぎのブースター」です。最終的なゴールは、ご自身の手で育てた栄養価の高い作物と、適切なタンパク質摂取によって、サプリいらずの身体を作ること。栄養療法クリニックは、そのための「身体の土壌診断」を行う場所だと考えてください。まずは一度、ご自身の「血のデータ」を見てみることから始めてみてはいかがでしょうか。

       

       


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