代かき機とは、田植え前に行う「代掻き(しろかき)」作業を効率よく行うための農機(または作業機)の総称として理解すると分かりやすいです。中心になるのはトラクタに装着する代かきハローで、田面をならし、植え付け精度とその後の生育を左右する“田んぼの最終仕上げ”を担います。
代掻きの目的は「ただ平らにする」だけではありません。代表的な狙いは次のとおりです。
これらは、代掻きの目的・効果として整理されており、代かき作業が「収量・品質のブレ」を減らす工程であることが読み取れます。
意外と見落とされがちなのが「均平=水管理の省力化」に直結する点です。田面が高い所と低い所で水深がズレると、低い所は深水で活着遅れ、高い所は浅水で雑草が出やすい、といったムラが起きやすくなります。だからこそ代かき機の役割は、田植機が走れるだけでなく、田植え後の管理をラクにするための“水面づくり”でもあります。
参考:代掻きの目的と効果(漏水防止、均平、活着、元肥混和、雑草抑制、有害ガス)
https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/rice/planting/ploughing_01.html
現代の代掻きでよく使われる「代かき機」の中心は、トラクタ後部に装着するハローです。ハローは英語で馬鍬(まぐわ)を意味し、昔の馬鍬の発想を機械化したもの、と説明されています。
ハローの重要ポイントは“爪”で、代掻き専用の「代掻き爪」が付いています。代掻き爪は、一般的なロータリの耕耘爪より短めに設計されているとされ、深く耕し過ぎず「表層を練って均す」方向に働きやすいのが特徴です。
さらに、仕上がりを左右するのがハロー後段の部品です。
この並びがあるから、単に土を混ぜるだけではなく「沈ませる」「ならす」まで一連で行えます。
また、作業性の面で知っておきたいのが折りたたみ式ハローです。狭い田んぼや畦際など、取り回しや精密作業が必要な場面で折りたたんで使える、と説明されています。圃場条件が多様な地域では、この“作業幅を可変にできる”特徴が、地味に効いてきます。
参考:ハロー・代掻き爪・レーキ・レベラーの説明
https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/rice/planting/ploughing_01.html
代かきは「田起こしが終わった田んぼに水を張ってから」行う工程で、段取りが結果を左右します。一般的な流れとして、代掻きの1〜2日前に入水し、元肥は代掻き前に散布しておく、という手順が示されています。
作業中は、トラクタ後部の代かきハローが田面のデコボコをならしながら、ワラ・雑草・肥料などを土に埋め込むように働きます。走行速度の目安として時速約2〜4kmが挙げられ、掻き過ぎを防ぐため「できるだけ低速で」とされています。
そして、実務で大事なのが「代かき後すぐ田植え」ではなく、田植えの5〜6日前に代かきを行って少し間を置き、土を落ち着かせる、という考え方です。均平精度が高いと苗立ちが均一になり、その後の生育ムラが減って品質につながる、と説明されています。
ここでのコツは、代かき機の性能だけで勝負しないことです。
結局「いつ入れて、いつ仕上げて、いつ植えるか」というスケジュール設計が、代かき機の性能を活かす最大の調整項目です。
参考:代掻き作業の手順(入水、元肥、速度、田植えの5〜6日前)
https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/rice/planting/ploughing_02.html
代かきでよくある失敗の代表が「掻き過ぎ」です。きれいに見えるほど練るほど良い、と思いがちですが、掻き過ぎると透水性を低下させ、古い水が溜まりやすい田んぼになって水が腐敗しやすく、稲の成長に悪影響を与える、と注意されています。
さらに掻き過ぎると、せっかく鋤き込んだワラなどの有機物が土から分離して浮いてしまうことがある、とも説明されています。田植えの直前・直後にワラが浮くと、植え付けの乱れや苗の倒れ・浮き苗の原因になり、後から地味に効いてきます。
現場での判断基準を言語化すると、次の2つを両立させるイメージです。
「きれいに仕上げる」と「根が呼吸できる」を同時に満たすのが、代かき機を使いこなす難しさであり面白さです。
参考:掻き過ぎの悪影響(透水性低下、水腐敗、有機物が浮く)
https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/rice/planting/ploughing_02.html
検索上位の「代かきの手順」だけだと見落とされがちですが、代かき機の使い方は“見た目の均平”だけでなく、田んぼの中で起きる還元(酸欠)とも関係します。入水後は大気からの酸素供給が断たれて酸欠状態になりやすく、これが有害ガス発生(ワキ)につながって苗の活着不良や根腐れを招く、という整理があります。
この「有害ガス」の代表例として硫化水素が挙げられ、特に稲わら等の腐熟が不十分な条件では、分解のために土壌中の酸素が消費され還元状態になり、根に有害なガス(硫化水素)が発生し得る、と説明されています。つまり、代かき機でワラを“きれいに埋めた”つもりでも、条件がそろうと逆に根に負担が出る可能性がある、というのが現場での落とし穴です。
ここでの対策は、機械の高性能化より「段取りの保険」を持つことです。
代かき機はあくまで道具で、ガス湧きの回避は「水・有機物・時間」の管理で決まる、という視点を持つと失敗が減ります。
参考:入水後の酸欠→ワキ→硫化水素などの有害ガス、活着不良・根腐れの説明
https://www.ja-saitama.or.jp/service/support_20.php