代かきは、水を張った田んぼで土を細かく砕き、かき混ぜ、表面を平らにして田植えしやすい状態を作る作業です。代かきハローはこの「砕土」と「均平」を同時に狙う専用作業機として設計され、田植えの姿勢・植え付け深さ・苗の活着に影響する下地を作ります。
代かきハローで得られる効果は、見た目のきれいさだけではありません。現場で効くポイントを、作業の目的として言語化しておくと設定が迷いません。
これらは「とりあえず回す」だけでは揃いません。どれを最優先にするかで、深さ・水・速度・回数・走り方が変わります。ノウキナビでも、ハローによる代かきは砕土性と均平性を狙い、雑草抑制や元肥混和など複数の目的がある点が整理されています。
意外と見落とされがちなのが、「均平が出る=水管理が楽になる」だけではなく、「田植え機の植付ユニットが暴れにくくなる」ことです。苗の姿勢が揃うと初期生育のムラが減り、結果として追肥や中干しの判断がしやすくなる圃場もあります(圃場差は出ますが、作業の狙いとしては重要です)。
ロータリーは耕うん爪で土を砕きながら攪拌し、砕土・整地を幅広くこなす作業機です。一方、代かきハローは代かき専用で、広い耕幅と高い均平性を狙い、田植え前の仕上げを効率よく行うのが主目的です。ノウキナビでは、ハローは代かき専用の爪(代かき爪)を持ち、ロータリーの耕耘爪より短めで「そもそも深く耕せない」設計になっている点が説明されています。
この「深く耕せない設計」は一見デメリットに見えますが、代かきではむしろメリットになりやすいです。代かきの狙いは、深層まで掘り返すことより、表層を適度に練って平らにし、田植えに必要な硬さと柔らかさのバランスを作ることだからです。広い耕幅で回数が減るのも、作業時間だけでなく燃料・疲労・圃場の荒れ(無駄な轍)を減らす方向に働きます。
ただし、ロータリー代かきが完全に悪いわけではありません。ハローが無い、圃場が小さく付け替えが手間、代かきより先に耕うん要素が欲しい、など条件次第ではロータリーでも成立します。重要なのは「今やる作業が荒代(混ぜる・砕く)寄りか、仕上げ(均す)寄りか」を切り分けて、作業機の特性に合わせることです。
代かきハローで一番効く調整は、実は“深さ”です。耕深が浅すぎると土の吐き出しが多くなったり、目的の形(畦の立ちや整地)が崩れたりし、逆に深すぎると抵抗が増えて仕上がりも乱れやすい、という現場の注意点が紹介されています。
深さ調整は「機械側のゲージ・リンク設定」と「トラクタ側の油圧(ポジション/ドラフト)」の組み合わせで決まります。まず基本として、代かきは深く掘る作業ではないため、“最小限で効く深さ”から合わせるのが安全です。ノウキナビの整理どおり、ハローは深く耕せない設計なので、深さを上げすぎようとしても限界がありますが、その範囲内でも抵抗と泥の流れは大きく変わります。
深さ調整で起きがちな失敗例を、症状から逆引きできるように並べます。
意外な対策として効くのが「同じ設定で粘らない」ことです。圃場の高低差や水の偏りがあると、一定設定で走るほど“悪いところだけが強調される”ことがあります。入口付近・水口付近・低いところなど、圃場内でも条件が変わる前提で、1枚の中で微調整する勇気が仕上がりを上げます(安全確認は必須)。
代かきハローは、速度が上がるほど作業が雑になるというより、「泥の流れ方」が変わり、均平性の出方が変わります。メーカー側でも、代かき作業はほ場ごとに最適な作業速度が異なること、また高速作業を特徴として訴求する機種があることが示されています。
速度は“仕上がりの見た目”以上に、次工程へ影響します。速すぎると表面は一見きれいでも、苗が入る層の練りが不足して植え付け後に沈下ムラが出ることがあります。逆に遅すぎると、同じ場所を練り過ぎて泥が締まりすぎたり、土が流動化して波が出たりする圃場もあります(特に水が多い条件で起こりやすいです)。
作業速度を決めるときは、次の3点セットで見るとズレにくいです。
また、代かきハローは広い耕幅で回数が少なく済むメリットがあるため、時間短縮のために速度を上げたくなります。ノウキナビでも、広い耕幅で回数を減らし「きれいな代かき」ができる点がメリットとして書かれています。
ただ、短縮したいなら速度だけでなく「外周→内側」の走り方、2回通しの分け方、入口の処理(最後にタイヤ跡を消しながら上がる等)まで含めた段取りで詰めた方が、失敗が減って結果的に速く終わります。
浮きワラや雑草の問題は、「代かきハローの性能不足」ではなく、工程の切り分け不足で起きることが多いです。ハローは代かき専用で深く耕せない設計のため、表面での混和・均平に強い反面、条件によっては“浮くものを沈めきれない”タイミングが出ます。
独自視点として提案したいのが、“浮くものを沈める作業”を代かきの中に混ぜ込まず、最初から二段階に分けて設計する考え方です。
この分け方をすると、仕上げで「表面だけ撫でてワラが浮いたまま」という事故が減ります。さらに、浮き物が減ると除草剤散布のムラが出にくくなり、水面に漂うワラで薬剤が偏るリスクも下がります(地域の薬剤体系にもよるので、最終判断は現場の指導・ラベルに従ってください)。
最後に、意外と効く小技は「入口・出口の処理を“最後の仕上げ”にする」ことです。代かきはどうしても出入り口が荒れますが、ここを最後に回してタイヤ跡を消すだけで、圃場全体の見た目と田植えのストレスがかなり変わります。ノウキナビでも、ハローは均平精度が高く田植え作業が楽になる方向に効くことがまとめられています。
取扱・安全・各部名称など(作業前点検や調整の注意点の根拠)
ハロー取扱説明書(安全上の注意、点検・調整、作業時の禁止事項の確認に有用)