遊離アミノ酸の種類と農作物への効果

植物の成長や品質向上に重要な遊離アミノ酸には、グルタミン酸やアスパラギン酸など複数の種類があり、それぞれ異なる機能を持っています。農業現場で活用できる遊離アミノ酸の種類と効果を詳しく解説します。あなたの作物づくりに役立つ情報を見逃していませんか?

遊離アミノ酸の種類と特徴

この記事で分かる3つのポイント
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遊離アミノ酸の基本構造と分類

18~24種類の遊離アミノ酸が存在し、必須・非必須アミノ酸に分類される

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農作物における遊離アミノ酸の役割

植物の成長促進、ストレス耐性向上、品質改善に直接的に作用

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主要な遊離アミノ酸の種類と機能

グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニンなど各種類の特性と効果

遊離アミノ酸の基本的な種類と分類

 

遊離アミノ酸は、タンパク質と結合せず単独で血液や細胞内に存在するアミノ酸のことを指します。食品分析では18種類から24種類、さらに詳細な分析では41種類までの遊離アミノ酸を測定することが可能です。基本的な測定対象となる20種類の遊離アミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、グリシン、トレオニン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、プロリンなどが含まれます。

 

参考)おいしさの成分「グルタミン」「グルタミン酸」と遊離アミノ酸の…

これらの遊離アミノ酸は、必須アミノ酸と非必須アミノ酸に大きく分類されます。必須アミノ酸は体内で合成できないため食物から摂取する必要があり、非必須アミノ酸は体内で合成可能ですが、ストレス状況下では不足する場合もあります。有償オプションとして測定できる遊離アミノ酸には、GABA(γ-アミノ酪酸)、タウリンオルニチンヒドロキシプロリンなども存在します。

 

参考)アミノ酸分析|【受託サービス】製品情報|試薬-富士フイルム和…

食品や農作物に含まれる遊離アミノ酸の種類と量は、生物種や部位ごとに大きく異なる特徴があります。特にノリでは、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸が主要な遊離アミノ酸として知られ、昆布ではグルタミン酸とアスパラギン酸が全遊離アミノ酸の83~92%を占めることが報告されています。

 

参考)https://www.pref.miyagi.jp/documents/47887/nori.pdf

遊離アミノ酸の主要な種類別特性

遊離アミノ酸は、その化学的性質によって味覚への影響が異なります。甘味を呈するアミノ酸として、グリシン、アラニン、トレオニン、プロリン、セリンがあり、これらは食品の味わいに甘みをもたらします。一方、苦味を呈するアミノ酸には、フェニルアラニン、チロシン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン、リジンがあります。

 

参考)味に関わるおいしい話④ 遊離アミノ酸と味について

うま味と酸味を呈する代表的な遊離アミノ酸は、グルタミン酸とアスパラギン酸です。グルタミン酸は昆布や野菜に含まれる代表的なうま味成分として知られ、食品の風味や栄養価に直接影響を与えます。アスパラギン酸は疲労回復効果があることでも注目されており、食品の味の評価や品質管理において重要な指標となっています。

 

参考)遊離アミノ酸一斉分析 - 株式会社AHC

プロリンはコラーゲンの主要構成成分として重要な非必須アミノ酸で、ブロッコリーの花芽に多く含まれることが確認されています。GABAは抗ストレス作用を持つ神経伝達物質として機能し、野菜ジュースなどにも含まれる健康成分として注目されています。オルニチンは肝機能改善効果が期待される遊離アミノ酸で、グルタミン酸と相互に変換できる特性を持ちます。

 

参考)https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010793342.pdf

遊離アミノ酸の農作物への効果と応用

遊離アミノ酸は農業において、植物の成長促進、ストレス耐性の強化、土壌構造の改善、作物の品質向上など重要な役割を果たします。植物にアミノ酸を与えることで、植物自身がエネルギーを消費してアミノ酸を合成する必要がなくなり、スムーズにタンパク質合成が行われるようになります。これは光合成ができない曇天や高温・低温などのストレス環境下で特に有効です。

 

参考)遊離アミノ酸のメリットと提案 - シティマックス

遊離アミノ酸を施用することで、植物の光合成効率が向上する効果も報告されています。タンパク質合成の過程において糖の消費を抑えられるため、植物体内に糖を蓄えることが期待でき、結果として果実や種子の品質向上につながります。実際に、遊離アミノ酸ベースの製品を使用することで、果実の数や重さが増加し、乾燥や熱などのストレス状況でも収穫損失を大きく減らせることが確認されています。

 

参考)知ってる?植物に必要なアミノ酸の6つの効果!

アミノ酸は植物に直接吸収されて成長促進効果をもたらす栄養成分として期待されており、亜臨界水処理などの技術により肥料原料としての利用も研究されています。遊離アミノ酸を豊富に含む資材は吸収されやすく効果が早く現れるため、多くの農薬と混用して散布できる使い勝手の良さも農業現場で評価されています。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/shokusan/biomass/attach/pdf/arinkai-13.pdf

植物に必要なアミノ酸の6つの効果について詳しく解説

遊離アミノ酸の測定方法と分析技術

遊離アミノ酸の分析には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法が広く用いられています。この方法は試料中の成分を高精度かつ高感度で分離・定量できるため、食品中の遊離アミノ酸の測定や品質評価に不可欠な技術となっています。分析期間は通常10営業日程度で、検体必要量は100g以上が標準的です。

 

参考)https://ahc-bact.co.jp/faq/1672-3/

遊離アミノ酸の分析と総アミノ酸の分析は異なる検査で、出てくる数値も大きく異なります。遊離アミノ酸分析では前処理に加水分解を実施せず、遊離状態のアミノ酸のみを測定しますが、総アミノ酸分析では加水分解によりタンパク質を構成するアミノ酸も含めて測定します。グルタミン酸はグルタミンを含み、アスパラギン酸はアスパラギンを含むため、測定結果の解釈には注意が必要です。

 

参考)アミノ酸類

味の評価を目的とした検査では24種一斉分析が適しており、遊離状態のアミノ酸は食味として感じられるため、含有量の差異により食味の度合いを比較できます。遊離アミノ酸データベースも整備されており、穀類、豆類、肉類、魚介類、卵類、乳類などの食品群における遊離アミノ酸含量の情報が公開されています。

 

参考)https://www.mgu.ac.jp/main/educations/library/publication/seikatsu/no51/yuri_aminosan_db.pdf

日本食品分析センターによる遊離アミノ酸分析サービスの詳細

遊離アミノ酸種類の変動要因と管理手法

農作物に含まれる遊離アミノ酸の種類と量は、栽培方法や処理方法によって大きく変動することが知られています。大豆を水浸漬することで、遊離アミノ酸総量が約2倍に増加し、特にアルギニンやグルタミン酸が顕著に増加することが報告されています。このような変動は加工プロセスでも観察され、肉の熟成では遊離アミノ酸が増加し、グルタミン酸は1.6倍、アスパラギンは2.5倍に増加することが確認されています。

 

参考)大豆の水浸漬による遊離アミノ酸の変動

高リジン変異を導入した大麦では、全粒粉の総遊離アミノ酸含量が未導入の130mg/100gから、変異の種類により225~1717mg/100gまで増加することが明らかになっています。このように遺伝的改良によっても遊離アミノ酸の種類と量を制御できる可能性があります。ブロッコリーでは部位によって遊離アミノ酸の組成が異なり、花芽にプロリン、GABA、アラニンなどが他の部位より多く含まれることが分かっています。

 

参考)https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/599585.pdf

県内産農産物における遊離アミノ酸組成の研究では、L-オルニチンの肝機能への改善作用や、疲労・肌質の改善効果など、各種遊離アミノ酸の機能性に関する知見が蓄積されています。これらの情報は、機能性を重視した農作物生産や、付加価値の高い農産物の開発に活用できます。農業従事者にとって、遊離アミノ酸の種類とその変動要因を理解することは、作物の品質管理と収益向上の両面で重要な意味を持つといえるでしょう。

日本栄養・食糧学会による食品の遊離アミノ酸含量表

 

 


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