硝酸カリウム肥料は、窒素(N)と加里(K)を同時に供給できる単肥として、施肥設計の「足りない所だけを狙って補う」用途で使われます。肥料グレードでは、窒素含有量が概ね12.5~13.5%、加里(K2O)含有量が概ね43~46%という整理が一般的で、配合設計や原液タンク計算の前提になります。
窒素が硝酸態である点は、効きが早い一方で、土壌条件によっては流亡・過剰を起こしやすい側面もあります。ここで重要なのは「硝酸態が良い/悪い」ではなく、作物の吸収が強い時期に当てて、外すべき時期は外すという考え方です(例:果菜類の収穫が続く時期はK需要が上がりやすく、同時に硝酸態Nも効くが、草勢過多になりやすい圃場ではNを足さない設計が要る)。
また、加里は糖度・着果・品質に関わると言われますが、現場では「加里を足したのに品質が上がらない」ケースも多いです。原因の典型は、(1) 根域のECが高く吸えない、(2) CaやMgとのバランスが崩れて吸収競合が出る、(3) そもそも水・根の状態が悪い、のいずれかです。硝酸カリウム肥料は“効かせやすい”反面、効きすぎも起きやすいので、量よりも当て方(濃度・回数・タイミング)が収量と品質を分けます。
硝酸カリウム肥料の代表的な使い方は、土耕では追肥(特に点滴灌水での少量頻回)、施設では養液(A液/B液の原液)での設計です。一般論として「水に溶かして使える」ことが強みで、点滴チューブや灌水チューブで薄めながら施用する例が紹介されています。
ただし“水に溶ける=何でも簡単”ではありません。肥料は根に対して濃度で効くので、同じ10aあたりのkgでも「1回でドン」か「週1で割る」かで根への当たり方が変わり、肥料やけや吸収効率が変わります。現場で事故が多いのは、(1) 原液の溶け残りが流れて局所高濃度になる、(2) 灌水ムラで一部だけ濃く当たる、(3) 乾いた畝に高濃度が入って根がやられる、のパターンです。
市販資材の例では、土耕の追肥(点滴)で果菜類1~4kg/10a/週、イチゴ1~2kg/10a/週などの目安が示されることがありますが、これはあくまで「分析・処方が前提」という但し書き付きで、土壌・水質・作型・収量目標で上下します。
参考)硝酸カリ_ 25 kg
自分の圃場に落とす時は、次の順番で安全に詰めると失敗が減ります。
「追肥で一気に効かせたい」誘惑は強いですが、硝酸態Nが入る以上、草勢が動きやすい作物では特に“分割”が安定です。
硝酸カリウムは水に溶ける性質があり、SDSの物性情報として25℃で357g/Lという溶解度の記載があります。
この「溶ける」という情報は、液肥の現場ではかなり重要で、濃い原液を作りたい時ほど“温度”と“攪拌”が効いてきます。
意外と見落とされるのが、硝酸カリウムは溶ける時に液温が下がる(吸熱的)ことがあり、冷たい水で一気に溶かそうとすると、さらに温度が下がって溶けにくくなる現象です。教育系の実験報告でも、溶解に伴って水溶液の温度が低下する観察が示されています。
参考)https://nwuss.nara-wu.ac.jp/media/sites/11/22-1-26_solubility-of-potassium-nitrate.pdf
冬場のハウスで「いつも通りに溶かしたのに底に残る」「フィルターが詰まる」原因の一部はこれです。
液肥での実務ポイントは、次の3つに集約できます。
また、硝酸カリウムは“混ぜ方”でも事故が起きます。強い酸化剤としての性格があるため、可燃物や還元性物質との接触を避けるべきで、SDSでも「酸化性固体(区分3)」や「可燃物から遠ざける」などの注意が明記されています。
参考)Redirecting to https://www.qei…
液肥タンク周りは、有機資材の粉・油分・木屑などが混在しやすいので、保管と作業場所の整理が安全面で効きます。
施肥面の注意点は、過剰施用による塩類障害(根傷み)と、硝酸態窒素による草勢の暴れです。一般向け解説でも、過剰なカリウムが根の火傷(肥料やけ)や塩害の原因になり得る、という注意が書かれています。
現場で言い換えるなら「効かない時は不足ではなく、根が吸える環境が壊れている可能性を先に疑う」です。
取り扱い安全の注意点は、硝酸カリウムが火災を助長し得る酸化性物質であることです。安全衛生情報センターのモデルSDSでは、GHS分類で酸化性固体(区分3)に分類され、可燃物から遠ざける、熱・火花・裸火から遠ざける、施錠して保管する等の注意が示されています。
また、ばく露に関しては「血液の障害」「長期または反復ばく露による血液の障害」などの危険有害性情報が記載されており、粉じんを吸い込まない、保護具を使う、作業後に手洗いをする、といった基本動作が合理的です。
さらに、農業の現場ならではの“意外な落とし穴”が保管場所です。肥料庫に紙袋・段ボール・油・燃料・ウエスが一緒に置かれていると、酸化性物質の観点では望ましくありません(硝酸カリウム自体は燃えにくくても、周辺の燃焼を加速し得るため)。SDSには「それ自身は燃えないが、支燃性」「可燃物を発火させるおそれ」などの記載があります。
最後に運用の注意として、販売・譲渡の局面で「用途確認」が求められることがあります。農林水産省は、肥料・農薬販売時の未然防止の観点から、硝酸カリウムについて栽培品目の聞き取り等で使用目的が農作物栽培であることを確認し、合理的・具体的に説明できない場合は販売を差し控える、といった留意事項を示しています(現場では“急に買えない/説明が必要”が起き得る)。
参考)爆発物を使用したテロ等の未然防止のために肥料・農薬販売業者等…
参考:硝酸カリウムの危険有害性(酸化性固体、保管、応急措置、物性)を確認する
安全衛生情報センター:化学物質:硝酸カリウム(モデルSDS)
参考:硝酸カリウムの販売時の留意点(使用目的確認など、現場の調達に関わる)
農林水産省:肥料・農薬販売時の留意事項(硝酸カリウム等)

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